キャリア Vol.733

kemio「自分らしくとか、一生不明」20代は周囲の人から恋してもらえる働き方してこー!

もうすぐ人間の仕事がAIに取って代わられるだとか、そのくせ老後までに2000万円貯蓄しろとか、働く人を取り巻くニュースは何だか最近テンションの下がるものばかり。

「人間らしい働き方をしよう」とか、「自分にしかできない価値を生み出せ」とか言われてもよく分からないし、そもそもなぜ働くのかと聞かれても、すぐに答えは出てこない。

そんなモヤモヤした気持ちを吹き飛ばしてほしくて、話を聞きに行ったのが、この人。kemioさん(24)

kemio(けみお)
1995年10月16日生まれ。YouTubeをはじめ、Instagram、Twitterなどを含めフォロワーが約300万人。女子中高生はもちろん、近年では大人からの支持も厚く、SNS社会で最も注目されるクリエイターとして大人気に。高校時代に動画アプリ・Vineで発信した投稿で注目を集め、2016年末に生活拠点をアメリカへ。卓越したワードセンスで繰り出す「あげみざわ」などの独自の語彙も親しまれ、若い世代に浸透中。モデルや発信者、歌手として多岐に活躍している
YouTube
◆Twitter:@mmkemio
◆Instagram:mmkemio

若者世代のスターであり、20’sの気持ち発信してくれる代弁者でもある。突如アメリカに拠点を置き、もはや「肩書きなんて何でも良くね?」って勢いでジャンルレスにやりたいことに取り組むkemioさんを見ていると、これが「人間らしく働く」っていうことなのかな、とさえ思う。だから思い切ってkemioさんに聞いてみた。

これからの時代に、人間らしく働くってどういうことですか?

機械が仕事を奪うんなら、
プラグ抜いて私が代わりにやりま~すじゃダメ?

えー、私、人生史上最も分からないことの一つが、「●●らしく」って言葉なんですけどー。男らしくも女らしくも分からないし、自分らしくも一生不明です。

よく撮影の時とかに、カメラマンの方から「kemio君らしくやっていいよ」って言われるんですけど、そのたびに「kemioくんらしいって何?」って思っちゃう。

「自分らしくって何だろ~? よく聞かれるけど、一生不明って感じです」

結局、「●●らしい」なんてものは他人にディスクライブされて初めて気付くもの。だから全然興味ないし、人間らしくっていうのもよく分かりません。

ただ、機械が人間の仕事を奪うっていうのは感じているかな。アパレルのお店なんかでも、どんどんレジを打つ人がいなくなっているし。そうやって働く場所が減っていくのだとしたら、こわい~。プラグ抜いて私が代わりにやりま~すじゃダメ(笑)?

あと、正直なところ、わざわざ人間らしく働くなんてことも考えなくてもいいと思います。もし将来が不安なら、機械が勝てないことで勝負するしかないかなぁ。それは何かって言ったら、やっぱりハートでしょ!

最近考えたんだけど、仕事をしている人の中には2種類の人がいると思うの。それは、仕事に恋をしている人と、人に恋をしている人。

で、私はどっちかって言うと、人に恋をする派なんですね。仕事をする中で出会った人たちを尊敬しているから、この仕事を続けたいって思ってる。

仕事って最終的には人と人でするもの。どんなになりたい職業で、そのために大学で一生懸命勉強したとしても、職場の人たちが皆デスノートに名前を書きたくなるような人ばっかりだったら、秒で辞めたくなる。

仕事をして最後に残るのって、この人と一緒に仕事ができて気持ち良かったとか、一緒にいいものがつくれて嬉しかったとかじゃない? お金とかよりも、最終関門はそこ。若くて経験がない20代なんて、スキルで先輩とかに勝てない分、人から「君と一緒に仕事ができてよかった」って言ってもうらうことがすべてだと思う。

周りから恋をしてもらえるような人でいられたら、いくら機械の方が正確でスピードが速くても、私の方が良くね? ってなるしね。まずはそこを目指していこー。

自分をオープンにしていれば、
居場所なんて探さなくても自然とできる

さっき、一緒に働く人が大事って話をしましたけど、いま私の周りにいる人たちは「一生付き合いたい」と思える人ばかり。じゃあ、どうやってそんな人たちを見つけたのかって皆さん気になりますよね。でも、その方法は私にも分からない。本当に、自然と集まってきたって感じ。

特別なことなんて何もしていないつもりだけど、あえて言葉にするなら、自分をオープンにしてきたっていうのはあるかもしれない。ファッションもそうで、誰かに好かれるためのものっていうよりは、自分が好きなものだけを身につけてきた。

だから、中高生の頃なんかは、「オカマ」って私を冷やかしてくる子もいて。でも、もうそういうのはやだし、こっちから先にイメージつけてこって思って、自分から「姫で~す♡」って言ったりして。そしたら、私のことを面白いと思ってくれる子たちが集まってきて、最高の友達ができた。逆に、自分を偽ったままでいたら、ずっと孤独だっただろうなぁとも思います。

あとは、ちゃんと「NO」の理由を聞くことも大事かな。一緒にお仕事をした人から「もう二度と使いたくない」って言われるようなことがあれば、私ならちゃんとその理由を聞きますね。自分の何が、相手にそう思わせてしまったのか。

「私、何かしちゃった!?ってちゃんと聞く」

聞いたところで今さら信頼は取り返せないけど、自分の人間力を向上させることにはなる。そうやって、ちょっとずつ人から恋してもらえる自分に近づいていくしかないよね!

夢への扉の鍵はどこに落ちているか分からない。
それを拾い上げるためにエブリデイ生きてこー

それから、もう一つ大事なことがあるとしたら、自分の好きなことをやること。好きのパワーはやっぱり強い。100%ラブだから。嫌なエキスゼロ。だからもし一つでも好きなことがあるなら、絶対それを人に伝えていくべき。

今はソーシャルメディアもあって、誰もが電波塔になれるんだから、自分の好きなことは声を大にして伝えられるはず。私もずっと芸能人になりたくて、オーディションを受けまくっていたけど全部落ちてた時期があって。

それが、自分の好きなことをソーシャルメディアで発信し始めたら、いろんな人が見てくれるようになった。夢への扉の鍵なんてどこに落ちているか分からないんだから、それを拾い上げるためにエブリデイ生きていこー。

もちろんやりたいことが分からないって人もいると思うんです。でも、ぶっちゃけ、私も将来の夢は曖昧。決まっているのは「エンターテイメントの世界で人をHAPPYにする」っていう軸だけ。

最終ゴールなんてものはなくて、私の夢ってイメージで言うとクリスマスに枕元につるす靴下みたいなものなの。そこに例えば「あの雑誌に出たい」とか「あの番組に出たい」とか、そういう細かいやりたいことがいっぱい詰まってて、それを自分というサンタからプレゼントしちゃおーっていう感じ。だから、夢なんてそんな大それたものじゃなくてもいいんじゃない?

「人生が何かって、ランウェイでしょ」

私は仕事をしている自分が好き。もし一生働かなくても十分なお金が手に入るとしても、私は働きます。なぜかと言うと、私にとって仕事を通してもらえるものってお金じゃなくて、自信だから。自分にもっと自信をつけるための方法が、仕事なんです。

一つ目標を達成するたびに、履歴書にこういうことをやってきましたって一行追加する感じ。私にとっての履歴書は自分の経歴を表すものじゃなくて、過去にこれだけのことをやってきた自分がいるんだから「大丈夫」って自分を納得させるもの。

高校時代にバイトしていた時は、全然そんなふうに思っていなかったけどね。お金がもらえるから、とりあえずやるっていう感じ。でも、今の私にとっての仕事は、夢に近づくための通過点。なぜ働くかと聞かれたら、それは夢を叶えるためでしかないの。

本当、ベタな言葉になってしまって申し訳ないんだけど、自分を信じる気持ちって大事。世界はあなたを必要としています。そう思い込んだもんの勝ち。それこそ好きなことをやるって話になったら、よく「自分は才能がないから……」とか言う人いるけど、才能とかで近道するなら最初から追いかけない方がいいんじゃない?

朝起きたらグラミー賞獲ってたなんてこと、現実にはあり得ないじゃないですか。みんな、自分の夢を叶えるために、日々やりたくないこともやって働いている。それは、誰でも同じじゃない?

それでも自分の可能性を信じられない人がいるなら、こう考えてみて。私、自分の人生をランウェイだと思っているの。

ファッションが好きで、ランウェイをモデルさんが綺麗に歩いているのを見るとめちゃくちゃアガるんだけど、それってその人の生き様とか自信とか、オーラが伝わってくるから。でも、裏では衣装を着替えたり、大変なこともいっぱいある。

人生も同じじゃないですか。嫌なこともゴタゴタもいっぱいあるけど、私は颯爽と清々しく歩いていきたい。大好きな音楽に合わせてね。

そう思うのは自由でしょ。自分なんかがランウェイなんておこがましい? 何言ってるの? 言論の自由、憲法で保障されてまーす!観客がゼロだっていいんだよ。転んだっていい。自分の人生だもの、誰にも口出しなんてさせない。

私は渋谷のスクランブル交差点が大好きなの。いつもあそこで信号が青になった瞬間、ここがランウェイだと思って、脳内テーマソングをかけて歩き出すんだけど、もう最高。一回やってみて。死ぬほどアゲだから

そんな感じでさ、人生、ランウェイだと思って生きていこー。それだけで働き方って結構変わるんじゃない?

Information

『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ』kemio著/KADOKAWA

やなこと全部、スワイプして消すよ。kemio流、あげみな生き方エッセイ。
独自のボキャブラリーや、意外に深い名言で若者の支持を集めるkemioが人間関係や将来、恋愛……目の前のあなたの悩みを、新機軸で吹き飛ばす、痛快な1冊。

>>Amazonで購入する

取材・文/横川良明 撮影/赤松洋太 企画・編集/栗原千明(編集部)

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