キャリア Vol.735

【GoodMorning 酒向萌実】家入一真の打診で突然の社長就任!25歳で迎えたキャリアの転機、乗り越えられた“100個の理由”

叶えたい夢や、チャレンジしてみたい仕事はあるけど、なかなか自信は持てないし、タイミングだって分からない。そこで、20代のトップランナーたちが、どうやって“始めの一歩”を踏み出したのかを聞いてみた。今の活躍に到るまで、どんな不安や葛藤があったのか、そして踏み出した先には何があるのか−−。同年代の言葉に耳を傾けてみよう

国内最大のクラウドファンディングサービス『CAMPFIRE』から、社会的意義の高い課題解決に特化するために事業分社化した『GoodMorning』。新会社の代表に就任したのは、社会人4年目の酒向萌実さん。25歳での代表就任は責任も大きく、「代表になったら、しばらく他のことはできないかも」という不安を彼女に感じさせた。

それでも、今は「自分の選択に心から納得している」と微笑む酒向さん。キャリアの転機に直面した時、どうやって一歩前に足を踏み出したのだろうか。

株式会社GoodMorning 代表取締役社長 酒向萌実さん(25歳)
1994年2月生まれ、東京出身。国際基督教大学卒業後、アパレル企業の株式会社TOKYO BASEを経て、2017年1月、株式会社CAMPFIREに参画。社会課題解決に特化したクラウドファンディングサービス『GoodMorning by CAMPFIRE』の立ち上げに携わり、18年1月より事業責任者として活躍。19年4月、GoodMorningの事業分社化に伴い、代表取締役社長に就任

代表就任を決めたのは「今の私にしかできない」から

――新会社のGoodMorningは、社会問題解決型のクラウドファンディングサービスとのこと。酒向さんは、もともと社会的な問題への関心が高かったんですか?

そうですね。両親も社会課題に関心が高くて新聞の切り抜きを習慣にしていましたし、私自身も幼い頃から興味を持っていました。ただ新卒の時は環境問題やダイバーシティー問題のような「社会課題」に関心はあったものの、具体的に仕事にするイメージまではできていなくって。洋服が好きだったので、大学卒業後はアパレルのベンチャー企業に就職して、その9カ月後にCAMPFIREに転職したんです。

――好きな仕事だったのに、9カ月で転職を?

就職する時の私は、「好きを仕事にする」のが正しいと思っていました。大好きなファッションに関わる仕事は、絶対に楽しいはずだと。でも実際にやってみると、楽しいは楽しいけれど、わざわざ仕事にしなくてもいいのかなとも思ってきて。

――それはなぜ?

自分が一番エネルギーを出せるのは、「課題を見つけて、解決するにはどうすればいいのか試行錯誤している時」だと分かったからです。私はアパレル店舗で働いていてたんですが、例えばベビーカーが通れない通路があったりすると、めちゃくちゃ腹立つんですよ。「この通路のせいでお買い物ができない人がいるなんておかしい! どうすればこの問題を解決できるんだろう?」なんて考えている時が、一番楽しいし、力を発揮できるなって思って。

その時、「服は好きだけど、私が仕事としてやりたいのは“課題解決”なんだ」と気付きました。それならファッションにこだわる必要はないな、と。それ以来、服は趣味だと割り切りました(笑)。

――そこで、社会課題の解決を仕事にしようと決めたんですね。

はい。社会における「課題」って無数にあるので、何にコミットするのか、なかなか一つに絞れませんでした。そこで中間支援的に社会問題と向き合う人をサポートできないかと考え、思いついたのがクラウドファンディングの領域。ちょうどCAMPFIREがGoodMorningをサブブランド化する、立ち上げのタイミングで参画させてもらえました。

GoodMorningは、被災地の復興、経済的な格差、教育格差、人権問題など、あらゆる社会課題に対して解決しようと挑戦しているプロジェクトの資金集めをサポートする事業です。社会問題という広義なテーマを扱っているので、「何か課題に対して解決策を考え実行している時が、一番力を出せる」と考えている私にはピッタリの環境でしたね。

――入社して1年で事業責任者となり、今回の分社化に伴い、代表に就任されました。家入さん(CAMPFIRE代表)から打診されたんですよね。

分社化すると話を聞いて家入さんに「誰が代表になるんですか?」と聞いたら、「やってみたい?」と返されて。あ、そういう選択肢もあるのかと。もともと私は経営者志望ではなかったですし、自分が社長になるという発想は全くなかったので驚きました。

――突然の打診に、何て返事をしたんですか?

その時は「ちょっと考えさせてください」と答えましたが、そもそも経営者が何をやるのかすら、さっぱり分からなくって。「社長」「仕事」「生活」と思いつくままキーワードを入れて、ひたすらググりました(笑)

何より代表という責任ある立場に就いたら、簡単には投げ出せない。しばらくは結婚したり子どもを産んだりして現場を離れることもできないはずだし、転職したり、いつか行きたいと思っていた大学院に行くこともできないかもしれない。他の選択肢を手放さなければならないのかと思うと、不安でした。

――それでも引き受けると決断したのはどうしてですか。

よくよく考えたら、私がやりたいと思っていたことって、20代で全部やらなくてもいいし、後からでもできることなんですよね。でも、GoodMorningの代表になることは、今しかできないと思ったんです。立ち上げからずっと事業を見て、つくり上げてきたのは自分だという自負はありました。私以上にGoodMorningのことを考えている人間はいない、これは今の私にしかできないと思えたので、引き受けることを決めました。

新しい仕事は、今までの経験の延長線上にあるもの

――「代表」という仕事に対しての不安はなかったのでしょうか?

仕事内容に関してはそこまで不安はなかったですね。「経営者」なんて言われるとものすごく難しいことのように聞こえますが、私は満足にビジネスメールさえ書けないところから、いろいろな人に教えてもらいながら、ここまでやってきました。それを振り返れば、「新しい仕事は、今までと同じように乗り越えていけばいいだけ」だと思えたので。

――満足にメールさえ書けなかったというと?

私、前職では店舗勤務だったので、CAMPFIREに入社するまで名刺交換もしたこともない、ビジネスメールの書き方も分からなかったんですよ。2年前の入社したばかりの頃は、「ビジネスメールの書き方」みたいな本を読んだり、メール送信前に社内の人に添削してもらったりしていて(笑)。ことあるごとに、いろいろな人に聞いて回っていたんです。当時は社内でも私が一番若かったので、皆さん親切に指導してくれました。

しかも、最初にGoodMorningの事業を始めた時のメンバーって、マネジャーと私の2人だったので。現場の仕事は私の担当で、右も左も分からないながらに、周りに聞きまくって何とか乗り越えてこられたんです。その時のスタンスは、今でも変わっていません。分からないことがあれば、調べたり周りに頼りながら進めていけば、何とかなる!って(笑)

――とはいえ、代表の仕事と現場では、仕事のレベル感もずいぶん違うのでは?

確かに、経営上の長期計画を考えたりしなければいけないし、責任の重さも変わってきます。先ほども申し上げましたが、就任前は私も「代表って何をすればいいんだろう……」という感じでしたし。でも、やってみるとそれってただ役割が変わっただけの話で、私自身が偉くなったわけでも何でもなくって。あくまでも、今まで経験してきた仕事の延長線上にいる感覚です。だから、代表といっても思っていたほど孤独じゃないなと感じていますね。

――酒向さんが代表になったことで、GoodMorningはどう変わったと思いますか?

分社化したことで、GoodMorningをどう育てていくかを、今まで以上にメンバーが一緒に考えてくれるようになって、チームで働いているという感覚はより強くなりましたね。私自身も、より一層GoodMorningで、社会課題解決のためにプラットフォームを使って何ができるかを突き詰めていきたいと思うようになりました。まずは、単にクラウドファンディングを掲載するだけではなく、その後ろにどんな社会課題があるのか、資金調達した後にそれがどのように解決されたのかまで発信していきたいと考えています。

――酒向さん自身に、変化したことはありますか?

私は相変わらず、できないことも多いんですけど(笑)、ありがたいことに周りがすごく助けてくれているので、より一層チームに感謝しながら仕事ができていますね。

あと私は個人的に、いつかは大学院に行って勉強したいという気持ちがあるんです。同じようにチームのメンバーも、それぞれやりたいことがあるはずなので、今このチームでの経験がそれぞれの人生のプラスになるような場所にしていければいいなと思うようになりました。

あらゆるリスクを想定して「安心材料」を増やそう

――今回のチャレンジを振り返ってみて、「今いる場所よりも一歩前に進む」際に大事なことは何だと思いますか?

これは私の癖でもあるんですけど、自分にとって大事なことは周りの人に相談しながら、徹底的に掘り下げて考えるようにしています。不安や悩みを極限まで分解して、頭を使いまくるんです!

代表の話を受けるか悩んだ時も、「生じるリスクや、メリット・デメリットなど、思いつく限りのことを書き出してみるといいよ」とアドバイスをもらって、実際にやってみました。事業がうまくいかなかったらどうしようとか、彼氏が転勤になってもついていけなくなるけどいいの? とか。公私にわたって、どんなことが起きるか100個以上はリストアップしましたね。

――100個も!?

はい、それは安心して進むための材料集めみたいなものですね。「もう何も思いつかない!」ってなるくらい、とにかくたくさん考えるんです。

一人で考えるのが難しければ、誰かに“壁打ち相手”になってもらってもいいと思いますよ。実は私も、一人で考え込むのが苦手なタイプ。自分では考えられない時は、同僚や先輩に「コーヒーおごるから、30分だけ話を聞いてほしい!」とお願いして、自分の話をじっくり聞いてもらうんです。人に話して、反応が返ってくれば「なるほど、そういう考えもあるのか」とさらに思考が深まりますから。そうやって考えていけば、今自分が行動を起こすべき理由が、それこそ100個以上出てくるんだと思います。

――そうやって、「今動くべき理由」を100個以上洗い出すと。

はい。そうやっていろいろな理由を考えた結果、もし私がここで話を断って他の人が代表になったら、いつか「あの時代表の話を受ければよかった」と後悔するだろうなと思いました。

――あらゆることを想定していたから、安心して前に進めた?

そうですね、ちゃんと事前に想定ができていれば、この先何か大変なことがあっても、「もっとよく考えて決めればよかった」と思うことは絶対にないと思うんですよ。私も自分が代表を受けるかどうかは、頭がすり切れるくらい考えたので、今後何があっても「なんであの時ちゃんと考えて代表にならなかったんだろう」とはならないと思います。「こんなにたくさん考えたんだから、もう何が起こっても大丈夫」と自分のことを信じられるようにもなりましたね。

――実際に今、後悔はありませんか?

もちろんです! 実際に代表になってから、すでに想定外のこともいくつか起きてはいるんですけど(笑)、「自分が本当に納得して選んだ道」だって胸を張れるから、しっかりと前を見て歩いていけるんだと思います。

取材・文/瀬戸友子 撮影/赤松洋太

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