キャリア Vol.772

【人事対談】“若手が育つ組織”は何が違う? サイバーエージェント・メルカリの取り組み

教育改革実践家の藤原和博さんが、経営のプロフェッショナルをゲストに迎え、「働く力」について考えるtypeの動画コンテンツ「10年後、君に仕事はあるのか?」。

今回のテーマは「変化の時代の人事戦略」。20代が転職したい会社として常に高い人気を誇るサイバーエージェントの人事統括・曽山哲人さん、メルカリの人事マネジャー・石黒卓弥さんをゲストに迎えた。

記事後編の本記事では、2社の具体的な採用・育成に関する取り組みについて聞いた。

>前半:メルカリ・サイバーエージェント人事対談! 「成果を出す若手は、必ず“言えるか言えないか選手権”に出ています」

株式会社サイバーエージェント 取締役 人事統括 曽山哲人さん(写真中央)
株式会社メルカリ People Partners マネージャー 石黒卓弥(写真右)

藤原

お互いに、質問してみたいことはありますか?

曽山

あります! メルカリは社員の紹介による採用がとても多いそうですが、何を大事にしているんでしょうか?

石黒

答えはたった2つで、1つは経営陣のコミットメントです。経営陣が自身のTwitterやブログなどで協力してくれたり、自らリファラル採用にコミットしてくれる。メルカリでは個人のスケジュールが全員にオープンになっているので、経営層のカレンダーを見ると「今この人に声を掛けてるんだな、採用活動しているんだな」と分かるんです。経営陣のそういう姿を見たマネジャーたちが「じゃあ自分も誰かに声を掛けてみるか」と。するとメンバーも「俺もとりあえずあの人とご飯でも行こうかな」と動き出す。上がどんどん背中を見せていくイメージですね。

藤原

もう1つは?

石黒

すごく単純で、「メルカリを良い会社にし続ける」ということです。自分の大事な友人に紹介するなら、嘘ではなく心から「良い」とお勧めできる会社がいいですもんね。

藤原

なるほど。これもやはり経営陣が率先する、というのが効いているんですね。石黒さんは曽山さんに質問はありますか?

石黒

サイバーエージェントさんを見ていて「育つ仕組み」というのを今までどうやってつくってきたのか、そしてこれからどうつくっていこうとしているのか、興味があります。
サイバーエージェントは新卒や内定者を子会社の社長にして育てていますけど、彼らってなかなか会社を辞めないですよね。もちろん卒業して活躍する方もいますけれども。そう思うと、若手への成長機会の提供を非常に上手にされているんだなと。どうやってそんな環境をつくり続けているんでしょうか。

曽山

風土として、自分で「言わせて・やらせる」ことを徹底しています。これって誰かに言わせられてるんだっけ、ちゃんと自分の意見を発言できる雰囲気があるんだっけ。若手の育成に関して、そういったことは常に意識していますね。

藤原

なるほど。具体例はありますか?

曽山

例えば「新規事業プランコンテスト」って、「やって優勝して終わり」ということが多い。でも構想を言わせるだけではなくて、ちゃんとやらせようよというのがサイバーエージェントです。実はこれ、経営陣がすごい試されているんですけどね。

藤原

「やらせる」ってハードル高いですもんね。失敗するかもしれないわけだから。

曽山

でも、1つでもいいから成功事例をつくってしまえば、若手社員は「それってアリなんだ、1~2年目でもやっていいんだ」と思えますよね。僕らは2003年くらいから、意識的に新卒入社3年目程の社長をつくってきて、ようやくその3~5年後くらいに結果が出てきたと感じています。こうやって「事例を増やす」というのが、風土や文化をつくるのに一番重要だなと思いますね。

藤原

僕の考えだと、若手にとって非常に大きな成長チャンスって、会社が変化しようとしている時だと思うんです。曽山さんなら新卒で入社した伊勢丹がネット事業に参加するときに最前線を経験させてもらっているし、石黒さんもドコモがぐっと変化する時に入社していますよね。
サイバーエージェントとメルカリに関しては、ここからどのように変化していくのでしょうか?

曽山

僕の大きな夢の話にもなりますが、そもそも僕はサイバーエージェントを「世界で最高の人材育成企業」にしたいと考えているんです。人材が一番伸びる会社になりたいと。

藤原

入社した人が一番成長する会社、ということ?

曽山

そうです。具体的には「自分の才能に驚く会社」にしたいんですよ。入社して5年後10年後、「サーバーエージェントで5年間働いてみてどうだった?」と聞いたときに「いや、僕がこんなことをできるとは思わなかったです」って言えたら、すごく良い会社だと思いませんか。

藤原

確かにそうですね。

曽山

そのために具体的に着手し始めてることがありまして、社内にヘッドハンター専門部署をつくったんです。
例えば山田太郎君という入社5年目のMVP社員がいるとして、彼の今の配置は営業だけど、これが100点満点だったら何点なんだろうと。成果はずっと上げているから100点に見えるけど、実は彼自身は悩んでいて、もっと成長できる環境を望んでるかもしれません。でも、それだけ営業として売れていれば、上司としては離したくないじゃないですか。

藤原

なるほど。それをヘッドハンターが剥がしちゃうわけね。

曽山

そうです、そういう人を発見する。ヘッドハンターが判断して、本人にとってプラスなのかマイナスなのかを考えて改めて配属を提案しようと。

藤原

面白いですね。石黒さんはどうですか? メルカリには今後どんな変化が?

石黒

メルカリはこれから3つの柱でやっていこうと思っています。まずは日本のフリマアプリ『メルカリ』事業を大きくする。2つ目が金融事業で、『メルペイ』です。これによって今までオンラインでしか繋がれなかったメルカリが、オフラインで使える場所を増やしていきます。3つ目は海外。やっぱりアメリカで成功したいんですよ。日本のインターネット企業でアメリカで成功した事例って実は多くないので、そこに挑戦し続けていきたい。そうやって常に大胆な挑戦をする会社でい続けたいなと思っていますね。

藤原

なるほど、2社の今後が楽しみですね。

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企画・撮影協力/(株)ビジネス・ブレークスルー


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