ノウハウ Vol.776

【潰れる会社の特徴】転職先に選んではいけない上場企業の見極め方を、“倒産要因究明のプロ”に聞いてみた【帝国データバンク監修】

昨今ニュースなどで、“誰もが知っている企業”の経営難を耳にすることが増えた。「上場企業=安定」という方程式は、年々崩れてきていることを実感する。

では「できるだけ安定した企業で働きたい」と考えて転職先を選びたい場合、どうすればいいのだろうか?

今回は国内大手信用調査会社の帝国データバンクで企業の倒産要因調査などにあたっている丸山昌吾さんと、遠峰英利さんに、20代の若手社員でもチェックできる「倒産しそうな“危ない上場企業”の特徴」を聞いてみた。

>「もしかしてうちの会社って、ヤバイ……?」“倒産しそうな会社”に共通する6つのチェックポイント

帝国データバンク
情報部 情報取材編集課 課長 丸山昌吾さん(写真右)
データソリューション企画部 情報統括課課長 遠峰英利さん(写真左)
帝国データバンクは、日本最大級の企業情報データベースを持つ大手信用調査会社。情報部では、50年以上企業倒産の現場を取材、倒産要因などを分析し、会社が倒産する前兆に関するノウハウを蓄積している。『倒産の前兆』(SBクリエイティブ)

実は「倒産する上場企業」は減少傾向!
しかし“経営難”による社員への影響は大きい

誰もが知っている企業の経営難に関する報道。これらを見ると、倒産していく企業が増えているように感じるが、実際は「倒産する上場企業の数自体はここ数年減っている」のだという。

丸山さん

ここ5~10年の間で倒産する会社の数は減少傾向にありますが、それは単純に景気が良くなったという話ではありません。一昔前であれば倒産していたであろう企業が、潰れなくなってきただけなのです。企業を倒産させずに、再生する方向へ持っていくための支援制度が年々充実しているからなんですね。

遠峰さん

大きな企業が倒産してしまうと働いている人はもちろん、消費者への影響も大きい。ですから資本元が変わったり、別の会社が事業を引き継ぐようにして、なるべく倒産させないというのが昨今の動きです。

しかし“倒産しそうな企業”が統合され、別の企業が資本関係で上に立つことによる、従業員への影響は計り知れないという。

丸山さん

雇用がどのくらい守られるかは、正直なところ不確定です。当然、退職者を出さなきゃいけないこともあるでしょうし、減給される場合もあるでしょう。その場合は、役職に就いていないような若手層にしわ寄せがくることも想像できますね。また別企業との統合となると、資本関係が変わり社風がガラッと変わってしまうことも考えられます。

上場企業に転職したい20代がチェックしておくべき4つのポイント

では、これから上場企業に転職したいと考えている20代は、どのように会社の安定性を判断すべきなのだろうか。転職前に知っておきたい4つのポイントを教えてもらった。

【ポイント1】株主向けのリリース(IR)から見る経営状況・方針

企業の経営状態を知りたいと思ったとき、転職希望者がチェックするのは会社概要や採用サイトに載っている資本金の大きさ、黒字経営かどうかなどの情報が主だろう。しかし、株主向けのIR情報のリリースをチェックするのも有効だという。

丸山さん

上場企業の場合は、株主に対して必ず経営状態のIRレポートを出しています。経営状態を知りたい、今後の計画を知りたい時に有益な数字が載っているので、それをチェックしておくことがマストですね。対外的に発表した内容は、ホームページにオープンになっているので、気軽に確認することができます。

【ポイント2】過去に「業務改善命令」を出されていない監査法人かどうか

また、IRをチェックする際は数字だけでなく、監査法人にも着目すべきだという。

丸山さん

私たちが普段企業を調査をする上で着目するポイントの一つに、「監査法人はどこが担当しているか」というものがあります。上場企業の場合、監査法人を付けることが義務付けられていますが、監査法人にも大手から中小までいろいろあるんですね。その中には、監査の甘さから、過去に業務改善命令が出されている企業もあります。そういった監査法人が監査役になっている企業は、コストの面などで他の監査法人には頼めない何らかの事情があるのでは? ということが予想できます。

【ポイント3】口コミサイトや業界内の評判

昨今は、オフィシャルな採用サイトの他に社員の口コミが寄せられているサイトなども多い。ネット上の口コミだけをうのみにしてしまうことは危険だが、情報の一つとして参考にしてほしいという。

丸山さん

どこの会社も企業としての弱みや悪いところを企業ホームページに載せることはありません。だからこそ、社員の口コミや、現在働いている人の姿が分かるSNSなどは、参考情報として見てもいいでしょう。ただネット上の真偽は分からないので、あくまでも判断軸の一つと考えてくださいね。

遠峰さん

複数の出所から、同じような悪いウワサが出ている企業は要チェックです。例えば複数のサイトで「この会社はノルマがきつくてサービス残業も多い」と書かれているなら、信憑性が高い情報なのではと疑ってもいいと思います。怪しいなと思ったら、知人の中で同業他社の人はいないか探して、その真偽を確かめてみた方がいいですね。

【ポイント4】常に急募状態で採用をしていないか

企業の評判を知る手段は、口コミサイトだけではない。例えば、転職サイトなどで年中「急募採用」をかけている企業も要チェックだと思っていいという。

遠峰さん

もちろん一概に「危ない会社」だとは言えませんが、常に急募で求人を出している企業は、社内の人間関係が悪かったり、ノルマがキツイなどの理由で離職率が高い可能性が考えられます。これもあくまで一つの参考情報ではありますが、他の要素とあわせてチェックすることで、例えば「新規事業を加速させたいから急募で人材を求めている」のか「離職率が高いからどんどん人を入れ替えている」のかなど、予想を立てることができます。

最後に、今回紹介したチェックポイントはあくまでも「複数の情報から物事を判断する」ために使うことが重要だという。

遠峰さん

例えば、株主向けのリリースを見て売上が下がっているからといって「倒産しそうな会社」だとは言い切ってしまうのは短絡的。少し違う視点を持てば、「市況と合わせながら数字が下がっている」、「これから売上を上げるために今は広告費に予算を多く投下している」など、原因はさまざま。多角的な情報から判断する、ということを忘れないでほしいです。

取材・文/於ありさ

帝国データバンク情報部の新著『倒産の前兆』(SBクリエイティブ)

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