ノウハウ Vol.789

毎朝2時に更新!? 30歳の元広告マンが「#世界最速で日経新聞を解説する男」になるまで

今、Instagram上で「毎朝午前2時過ぎに、分かりやすく日本経済新聞(日経新聞)の朝刊を解説する」という「#世界最速で日経新聞を解説する男(セカニチ)」のアカウントが話題だ。

運用しているのは、新卒で大手広告代理店の博報堂に入社し、6年目にして独立、現在は港区高輪でゲストハウスの運営を行う南祐貴さん(30歳)だ。なぜ彼は「セカニチ」のアカウント運用をライフワークにしているのだろうか。

セカニチ
Koru-workers株式会社 代表取締役 南祐貴さん
2012年、博報堂入社。17年に独立し、港区高輪で初のゲストハウス『Koru Takanawa Gateway』を立ち上げる。『#世界最速で日経新聞を解説する男』として、毎日欠かさず経済の情報発信中。
個人Twitter:@yuki_minami note:https://note.mu/yuki_minami
セカニチTwitter:@sekanichi Instagram:sekanichi

「情報弱者だった自分」と同じ思いはしてほしくない

2018年末から「#世界最速で日経新聞を解説する男」として毎朝、日経新聞の解説をInstagramのストーリーズにアップしている南さん。今やフォロワー数は6,000人に達する勢いで、若い世代を中心に人気を集めている。この活動を始めたきっかけは、それまで勤務していた博報堂を退職し、自分のお店を開業するためにクラウドファンディングを募ろうと考えたからだという。

ストーリーズ
ストーリーズとは、通常のフィード(タイムライン)とは別に、写真や動画の投稿をする機能。投稿は24時間で非表示になるのが特徴。

クラウドファンディングで応援してもらう人になるためには、こちらからも価値ある情報を提供する必要がある。僕は社会人になってからずっと日経新聞を読んでいるので、その解説をして情報提供をすれば喜ばれるのではないか、と考えたんです。特に若い人の中には、新聞を読む習慣がない人も多い。だけど日経新聞にはビジネスの世界で生きていくために重要な情報がたくさん掲載されています。僕は未来の可能性がある若い人たちに、決して情報弱者にはならないでほしかったんです」

なぜ情報弱者を救いたいと思ったのだろうか。そこには南さん自身の20代での経験が影響している。

僕自身が情報弱者でした。会社員時代は全ての時間を会社に捧げ、仕事で疲弊しきっていて。だからといって逃げることもできず、完全に思考停止状態だったんです。でもある時、『なぜ自分はこの仕事をしているのだろう?』と基本的なことを考えてみたら、『毎月振り込まれる給料に飼われているから、自分が主体となった生活が送れないんだ』と気付いた。お金が貰えなくなると困るから会社に縛られている、それならお金を増やせば、この問題は解決するのではないか、と思うようになって。入社2年目から少額で投資を始め、この状態から抜け出すために頑張ろうと心に決めました。そういうアクションを起こすために必要なのは、“情報”だと思ったんです」

そこで役立ったツールの一つが、まさに日経新聞だった。

「日経新聞を読んだ恩恵として確実に言えるのは、自分自身の知識の資産となっていることですね。株の投資、転職、生命保険、確定申告、起業、事業融資、政治、選挙……。新聞から幅広い知識を得ることができました。さらに新聞に載っているニュースについて意見をSNSで発信し、いろんな人に教えるために情報を深堀りしているうちに、いつの間にかその領域に詳しくなっていったんです。税に関しては税理士の方から『その辺の税理士より南さんの方が詳しい』と言われるまでになりました(笑)」

日経新聞から得た知識を武器に、投資にチャレンジし続け、入社6年目で南さんは博報堂を退職。2017年にKoru-workers株式会社を自己資金で設立するまでに至った。

そしてクラウドファンディングで265人から500万円以上の支援を得て、2018年には1億3,000万円をかけて港区高輪初のゲストハウス『Koru Takanawa Gateway Hostel,Cafe&Bar』を開業。まさに「情報強者」になったことが、南さんのネクストキャリアをひらかせたのだ。

解説はInstagramのストーリーズに上げて「今、見なきゃ」と思わせる

南さんは日経新聞の紙と電子版の朝刊夕刊 、さらに日経MJ、日経ヴェリタスを契約し、全てをチェック。毎日午前2時過ぎにInstagramのストーリーズに解説をアップする。

毎日午前2時に日経電子版の朝刊が出るので、まず見出しをバーッと見て、気になった記事をスクショし、インスタにあげています。読む時間はだいたい3分くらい。僕は日経新聞の有料購読者数を増やしたいので、必ず自分のコメントを上から被せて、見出しだけ見えるようにして、著作権保護のため記事は読めないようにしています。1日あたり多い時は10記事ほど、少ないときでも3~4記事は上げていますね。作業自体は大体15分くらいで終わるので、寝る前のルーティーンにしているという感じです」

Instagramで情報発信を行っているのには理由がある。かつての自分のように、情報を知らないせいで自身の可能性を狭めている20代に届けたかったからだ。

「FacebookやTwitterなども使ってみたんですけど、若者の反応が一番良かったのはダントツでInstagram。それも普通のタイムラインではなく、ストーリーズだということが分かりました。ストーリーズはアップされて24時間で消えてしまうから『見なきゃ』という気持ちになるんです。例えばテレビ番組も、録画していると『別に今見なくてもいいや』と考えて、結果として見ないというケースがすごく多いと思うんですよ。でもストーリーズは今しか見れない。そうすると、自然と見てくれるんです」

セカニチ

毎日たくさん上がる記事の中で、アップする内容はどのようにして決めているのだろうか。

「あくまで自分の経験と勘で『これは面白いな。新しいな』と感じたものを取り上げています。例えば『新しいWebサービスができました』とか『こういうお店をつくりました』とか。逆に『これは過去に見たことあるぞ』といったものは、取り上げません。あとは皆が今気になっている話題。最近だとラグビーワールドカップの解説と共に、その国の歴史などを合わせて発信するようにしています。例えばアイルランドはなぜ南北に分かれているか、とかね。興味関心ごとがあることから派生して、その人が豊かになるような知識を提供しようと心掛けているんです」

とはいえ、今はネットでもすぐにニュースを見ることができる。それで代用することもできそうだが、なぜ『セカニチ』アカウントが若者にウケているのだろうか。

「ネットニュースだと自分が好きな分野や、ランキング上位の記事だけ読んでしまいませんか? それだとどうしても内容が偏ってしまうし、知識も広がっていきません。あとは先ほどお話ししたストーリーズの『ライブ感』も、フォローしてもらえている理由の一つだと思います」

「情報」は人間関係を豊かにしてくれる

フォロワーからは毎日たくさんの反応が寄せられる。中には自分で情報発信を始めている人も増えているそうだ。

「僕の真似をして新聞を解説し始めた人たちもいます。僕がスルーした記事でもアップしている人がいて、『なるほど。こういう視点があるのね』と新たな発見をさせてもらっています。あとは投資に関する本を読んで、感想を発信するとか。自分の考えとか、インプットした情報を発信をする人たちが増えたことは素直に嬉しいですね」

日経新聞を読んで得た情報は、南さんの今の仕事にも非常に生かされている。

「新聞を読んで日々インプットを続けていると、『△△会社に勤めています』という人がいれば、『〇〇というニュースがありましたね』とぱっと話題が出てくるんです。だからどんな業界の人に会っても接点が持てるようになりました。そうやって僕自身が『また会いたい』と思ってもらえる存在になれば、自分の店の売上に直接的につながります。人脈を増やしていったことで、今まで普通に生きていたら出会えないような人を紹介してもらったり、プライスレスな体験ができています」

セカニチ
南さんがもともと大ファンかつ、投資入門本として激推ししている『インベスターZ』の作者、三田紀房さんから開店祝いをもらったそう。ついに先日、念願の三田さんとの会食が実現したとか。まさにプライスレスな体験……!

南さんのゲストハウスは7割ほどが海外からのお客さまだ。彼らの対応にも、日経新聞の知識が役立っている。

「この前デンマーク出身の人が泊まりに来たんですよ。デンマークは政治的に進んでいる国で、国民の投票率は実に95%くらい。そのことを知っているから『日本の投票率は40%なんですよ』と話し掛けて、彼らと『信じられないよね』と選挙の話で華が咲きました。こんな風に、例えば全く日本語が通じない場所に行って、『日本のことを知っているよ。New Era(新時代、新元号)になったんでしょ?』って話し掛けられたら、うれしいですよね。それと同じ感覚だと思います」

情報を持つことは、自分自身のキャリアの可能性や人間関係を拡げてくれる。だからこそ南さんの『セカニチ』アカウントは、たくさんの支持を得ているのだろう。最後に南さんは「現代社会で情報を得ることはメリットしかありません。何だか日経新聞の回しものみたいになっていますけど(笑)、これからも20代に価値ある情報を発信していきたいです」と強い眼差しで語ってくれた。

明日公開予定の記事後半では、“日経新聞初心者”な20代に向けて、「挫折しない、本当に役立つ日経新聞の読み方」を教えてもらう。

取材・文/キャベトンコ 撮影/大室倫子

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