キャリア Vol.806

2020年以降、伸びるビジネス領域の見極め方―転職するなら“今盛り上がってる業界”よりも“開花寸前”の分野?【尾原和啓】

先輩のアドバイス、それってホント?
大手各社が中途社員を積極的に採用し、トップカンパニーが次々に「終身雇用の限界」を明言し始めた2019年。「新卒で入社した1社で一生働く」というこれまでの常識が、名実ともに崩壊しつつある。転職のカタチも一層変わっていくはずだ。そこでさまざまな見地から、今まさに20代がアップデートしておくべき「転職の新常識」を探ってみた!

「どこに転職したいか」を考えるとき、つい今話題の企業や盛り上がっている業界に目が行きがちだ。しかし、今注目されている企業だって、かつては「冷ややかな目で見られる会社」だった。

例えば、ZOZOTOWNは「ネットで服を買うなんてありえない」と言われる時代に始まったし、最大手YouTuber事務所のUUUMだって始めは「動画でお金が稼げるなんて怪しい」と世間の反応は冷ややかだった。

すでに盛り上がっている業界もいいけれど、そういった“将来開花するであろう場所”に黎明期からチャレンジすることの面白さやうま味も、きっと大きいはずだ。

そこで今回は、これまで12回の転職を重ね、リクルート、Google、楽天の黎明期に事業に参加し、まさに「時代が始まる場所」に身を置きながらキャリアをアップデートしてきた尾原和啓さんにインタビュー。2020年以降に開花するビジネスを見極める方法や、転職によって20代のうちに“開花寸前の場所”に身を置くことの重要性、面白さについて聞いてみた。

プロフィール画像
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尾原和啓さん1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用人工知能論講座修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートし、NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、Google、楽天(執行役員)の事業企画、投資、新規事業などを歴任。現職Fringe81(執行役員)は12職目になる。著書『どこでも誰とでも働ける』(ダイヤモンド社)、『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』(日経BP)

開花寸前の場所は「全部」を学びやすい

僕がこれまで「始まりの場所」をいくつも経験してきて思うことは、「開花寸前の場所はまだ世界が小さいので、全部を学びやすい」ということです。

今では信じられないかもしれませんが、僕が立ち上げに参画した『iモード』は当時、携帯電話の画面上に表示できるデータ量はたった2キロバイトでした。当然、やれることは限られるわけです。ところが今や、モバイルウェブの世界ではHTMLの知識は必須ですし、画像だけでなく動画、WEBだけでなくアプリも扱える必要があります。

市場を風船に例えると、風船が小さいうちは周りを一周するのは楽なんです。だからこそ、風船が膨らんで大きくなる前に一周しておいた方がいい。そうすると、市場が大きくなってもそのビジネスを360度理解できる人間になるんですね。

だからその世界の黎明期にいた人は、市場が大きくなっても総合プロデューサーとして活躍できるんです。逆にいうと、後から入ってきた人が360度を理解するのは相当大変です。

将来予測で大切なのは、情報の「方角」

開花するであろう領域を見極める際に、将来を1年単位で予測するのは難しいと思います。でも10年単位の予測は間違いないと考えていいでしょう。

例えば携帯電話が普及する前、みんなが携帯電話を使い始めるのが5年後なのか6年後なのかは分からなかった。しかし「近いうちにモバイルの時代が来ること」は確定事実とみて間違いありませんでした。

なぜそう判断できるかというと、情報には必ず“方角”があるからです。

僕は未来予測が好きで、学生の頃から“予測本”をたくさん読んできました。さらに「この予測本の著者はどんな境遇で生まれ育ち、何に熱意を持つ人なのか?」を知るために、著者のエッセイやインタビューにも目を通しています。

そこまでする理由は、必ずしも全ての予測本がフラットな目線で書かれているとは限らないからです。中には著者自身が得をする目的で書かれた本もありますし、そうでなくても、生まれ育った環境の影響を受けているはず。

だから予測本の中身を鵜呑みにするのではなく、あくまでも「この情報はどこから来て、どこへ向かっていくのか」という情報の“方角”を見極めることを心掛けてきました。さまざまな予測をインプットしていると、徐々にその方角が分かってくる。そこで初めて、「開花しそうな分野」が分かるわけです。

尾原和啓さん

“ゼロイチ”の達人が予測する「今」開花寸前の場所

では2019年12月現在、開花寸前の場所は具体的にどこなのか。

1つは自動翻訳の分野です。2030年を目処にリアルタイムでの音声翻訳が実現すると、世の中は大きく変わるでしょう。

さらに人口動態に目を向けると、インド人が世界に進出していくことは間違いありません。今は一部の優秀なインド人が外国で働いていますが、人口の急増に伴い、今後は英語を話さないインド人も世界で暮らすのが普通になります。

このことを踏まえると、自動翻訳が実装されるまでの間は、英語が分からない人でも楽しめる「非言語」領域のエンターテインメントがトレンドになることが分かります。

その流れはすでに顕在化していて、例えばチームラボの作品は世界中で受け入れられていますし、InstagramやTikTok、YouTubeのようなプラットフォームは今後も優位性を持ち続けるでしょうね。

さらに、一時期の盛り上がりが落ち着いてきたように思える分野、例えば自動運転も開花寸前の場所です。自動運転が限定的に実装される場所で今のうちに知見を養っておけば、自動運転ビジネスが本格的に拡大したときに、その領域を最初に独占する人になれるはずです。

何者でもない人が、すでに「何者かになっている人」と親友にはなれない

開花寸前の場所にいることのもう1つのメリットは、「将来何者かになる人と仲間になれる」ことです。

開花寸前の場所に集まる人の数って、そもそも少ないでしょう。でもその中で、将来誰かはきっと何者かになる。その人が自分のことを覚えていてくれれば、いつか自分をビジネスの現場に呼んでくれる可能性があります。

今は人脈作りに一生懸命な方が多いですが、はっきり言うと、「何者でもない人が、すでに何者かになっている人と親友になるのは難しい」ですよ。でも開花寸前の場所にいれば、かたちだけではない、将来本当に使える人脈を築くことができるかもしれません。

それに、20代が問われているのは「どれだけポテンシャルがあるか」なんですよ。チャレンジしてこなかった人材と、「チャレンジした結果失敗したけれど、こんな風にやりきりました」と言える人材とでは、どちらにポテンシャルがあるかは明らか。だったらたくさん失敗して、ポテンシャル人材だと思われる方が得です。

自分が思う以上に、周囲の人は自分を見てくれているものですから、たくさんチャレンジして、その結果失敗したとしても誠実に対応し続けることが、自分の評価を上げていきます。

もちろん、開花寸前の場所が全て開花するわけではないのですが、大切なのは、途中で投げ出すことなく、任された仕事をきちんと全うすること。もし選んだ事業が開花しなくても、「これをやり切った」というエピソードが一つあれば、その看板が新しいご縁を運んでくれます。

「始まりの場所」ではそういったチャレンジできる機会がたくさん訪れますから、今転職を考えている20代の皆さんは、キャリア戦略の一つとして考えてみてもいいのではないでしょうか。

取材・文/一本麻衣 企画・編集/大室倫子

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