キャリア Vol.993

自分に合った営業とは? 売れる営業マンに必要なスキルとマインドを徹底解説

自社の商品やサービスをクライアントに売る営業職。

一口に営業と言っても、業界や営業スタイルによってさまざまな種類に分類されます。それぞれに適性があり、自分に合った種類の営業を選ぶことでより活躍の幅が広がります。

今回は、そんな営業の分類や必要なスキル・マインド、そして「売れる営業マン」になるためのコツなどを徹底解説。

営業への転職を考えている人はもちろん「自分は営業に向いていないかも……?」と悩む人にもぜひ読んでいただきたい内容が満載です。

そもそも営業とは?

営業とは、顧客の課題に対して自社の商品やサービスを提案し、販売や契約につなげる人のことです。

営業の経験がない場合、営業に対して「とにかく売る人」というイメージを持つ人は多いですが、実は売る前の下準備や売った後のフォローなど仕事内容は多岐にわたります

それでは、営業とはどのようなものなのかを具体的に紐解いていきましょう。

営業とは?

営業の仕事内容って?

営業の仕事は主に「アプローチ先の検討」「アプローチ」「見積もり、受注」「納品」「アフターフォロー」の五つのフェーズに分かれます。それぞれどのような業務があるのかを見ていきましょう。

・アプローチ先の検討
まずはどのような企業・顧客にアプローチするのかを検討します。企業によってはあらかじめアポイントリストがある場合もあるでしょう。

効率良く提案をするためには、アプローチ先を検討する段階で顧客がどのような問題を抱えているのかを考えながら行うのが重要です。顧客の問題を自社の商品やサービスが解決できるかどうかをしっかり見極めましょう。

・アプローチ
アプローチ先が決まったら、実際に商品やサービスを提案する商談を行います。……と言っても、まずはアプローチするためのアポイントを獲得するのが先です。アポイント獲得の方法は電話で行う「テレフォンアポイント(テレアポ)」やアプローチ先に直接訪問する「飛び込み」などさまざまな種類があります。

顧客と信頼関係が築けるまではきちんと話を聞いてもらえないことも多いので、短い時間で顧客の問題を察知し、商品やサービスの魅力を伝えることが大切です。要点をまとめた資料なども用意しておくといいでしょう。

・見積もり、受注
アプローチの結果、受注につながりそうなら見積もりを出します。場合によっては顧客の予算に合わせて値下げすることもあるでしょう。とはいえ自社に利益を出すことも大切です。両社の条件をすり合わせながら折り合いをつけることが求められます。

・納品
受注後、関連部署と連携しながらスケジュール通り納品されるかを管理するのも営業の仕事です。そのほか、納品と同時に請求書の作成や入金確認などの仕事も発生します。

・アフターフォロー
顧客に継続的に商品やサービスを利用してもらうために、納品後の使い心地を確認したり不具合・トラブルの対応をしたりするのも大切な業務です。

納品後も継続的に関係性を築いておくことで新商品の提案ができたり見込み客を紹介してもらえたりすることも。新規でアプローチする顧客よりも、既存顧客からの紹介顧客の方が圧倒的に効率よく提案ができるため、ぜひとも注力したい業務の一つです。

営業と販売の違いって何?

営業と販売はどちらも商品やサービスを「売る」という点から似ていると思われがちですが、顧客のスタンスが大きく違います。営業は、商品に興味がない人もしくはまだ検討段階の人に「売り込む」のに対し、販売は、既に商品に興味があり何かしらを買う意志がほぼ固まっている人に対して「応対する」という特徴があります。

営業は、購買意欲がそれほど高くない人に対してもアプローチすることが多いため、より難易度が高い傾向にあります。

営業の収入ってどれくらい?

求人ボックス「給料ナビ」によると営業の平均年収は約389万円。

令和2年に厚労省が発表した平均年収約307万円と比較するとやや高めです。ただし、営業の収入は企業規模や商材の値段などだけでなく、売上達成に応じて支給される「インセンティブ」の要素も大きいため、平均年収はあくまでも参考値だと思っておいた方がいいでしょう。

一般的に、既存顧客に対するフォローがメイン業務となる既存営業よりも新規の顧客にアプローチをする新規営業の方が収入が高くなる傾向があります。また保険業界や不動産業界など、インセンティブ重視で稼ぐ業界もあります。目標の達成状況によっては継続的に年収1000万円を超えることも珍しくありません。

営業の種類

営業と一言で言っても、顧客や営業形態などによっていくつかの種類に分けられます。それぞれの特徴と同時に、向いている人や働き方なども紹介するので、営業を選ぶ時の参考にしてみてくださいね。

営業とは?

対顧客別の営業の種類

・個人営業
一般消費者など、個人を対象とする営業を「個人営業」と呼びます。住宅や保険商品など生活に直結する商品やサービスを扱うことが多いのが特徴で、店舗などの拠点で接客するスタイルが一般的です。

比較的販売と近い働き方となるため、販売・サービス職からの転職を目指す人や未経験から営業にチャレンジする人におすすめの営業スタイルです。ただし、個人が顧客となるため、土日祝休みではなく平日休みが基本。また年間休日も少なめなことが多いようです。

・法人営業
企業や組織に対してアプローチする営業のことを「法人営業」と呼びます。個人営業よりも取引額が大きいことが多く、ビジネスマナーや問題解決力など、高度なビジネススキルが求められるのが特徴です。

未経験から法人営業への転職を目指す人は、社員へのサポートが手厚い企業や研修制度が整っている企業を選ぶと良いでしょう。

・新規開拓営業
新しい顧客を増やして売上を上げていく営業を「新規開拓営業」と呼びます。

新規開拓の割合が大きいほど企業としての利益が大きくなっていきやすいため、その分社員への還元、つまりインセンティブが大きくなる傾向があります。「ガツガツ働いてしっかり稼ぐ」というのが新規開拓営業の特徴です。

・ルート営業(既存営業)
既に取引のある顧客に対してアプローチする営業を「ルート営業」といいます。

継続的に取引をする中で新しいニーズを引き出したり、新商品の紹介をしたりすることで新しい契約につなげます。既存顧客としっかり関係性を築いていれば、新たな取引先を紹介してもらえることも。基本的に大きく売上が伸びることは少ないため、インセンティブによる還元はあまり見込めませんが、顧客としっかり関係性を築いていきたいという人にぴったりの営業スタイルです。

営業形態別の営業の種類

・メーカー営業
自社で製品を作っているメーカーに所属し、自社商品を商材とする営業のことを「メーカー営業」と呼びます。

法人向けのアプローチが多く、新規の顧客を開拓するよりも既存の顧客に対してアプローチするルート営業がメインとなります。企業によっては自社の商品づくりに営業の意見が活かされることもあり、モノづくりの楽しさを味わうチャンスが多いのも特徴です。自社の商品に精通するプロフェッショナルではありますが、メーカーによっては商材の少なさに窮屈さを感じることも。

・商社営業
自社商品ではなく、メーカーが作った商品を仕入れて売る営業のことを「商社営業」と呼びます。

自社商品からしか提案ができないメーカー営業に対し、商社営業はさまざまな企業の商品の中から解決策を練ることができるため、「顧客の課題解決にしっかり寄り添いたい」と感じている人は大きなやりがいを感じることができるでしょう。ただし、一つ一つの商品に対して深い知識を持っているわけではないため、商社営業だけでは対応しきれないことも。

・代理店営業(パートナーセールス)
自社の商品を扱ってくれている代理店に対して営業を行うのが「代理店営業」です。保険業界やメーカーに多い職種です。代理店は自社商品だけでなくさまざまな企業の商品を扱っています。

その中から自社商品を積極的にお客さまに勧めてもらうために、販促ツールや商品の知識の提供などを行い、代理店と関係性を築くのが代理店営業の主な役割です。マネジメントに近い役割も求められるでしょう。自分が直接お客さまに商品を売ることはありませんが、代理店が成果を上げられた時は大きなやりがいを感じられる仕事です。

営業手法別の営業の種類

営業とは?

・訪問営業
事前にアポイントを入れたうえで、顧客先を訪問してアプローチするのが「訪問営業」です。

昔ながらの営業として一般的なのがこのスタイルでしょう。比較的しっかり商談時間を確保してもらえることが多いため、具体的なヒアリングや提案がしやすいのが特徴です。

・飛び込み営業
事前にアポイントをとることなく顧客先に突然訪問する営業スタイルが「飛び込み営業」です。

訪問した時に担当者がいるとは限らず、時間をとってもらえるとも限らないため営業活動をさせてもらえないことも。一見効率が悪そうに思えますが、運よく担当者に会えればとんとん拍子に商談が進むこともあります。

・テレアポ営業
「テレアポ営業」とは、まずは資料送付の許可やアポイントの約束を獲得するために電話をする営業スタイルのことを呼びます。電話上で受注するケースもありますが、突然電話をしてしっかり話を聞いてもらえることは稀なので、あくまでも商談の前段階と考えておくのが吉でしょう。顔が見えない状態でのアプローチとなるため、分かりやすい説明やテンポの良いコミュニケーションが求められます。

・インサイドセールス
「営業と言えば外回り」というイメージをお持ちの人は多いかもしれませんが、近年は働き方改革やコロナ禍によるリモート勤務の影響などにより、顧客を訪問せずに営業活動をする「インサイドセールス」も主流となりつつあります。

インサイドセールスは電話やメール、Web会議などでアプローチするため、対面でのアプローチよりも相手のちょっとした表情や発言などからニーズや課題を引き出すスキルが求められます。

・反響営業
CMや広告などを見た顧客からの問い合わせが発端となってアプローチが始まる営業のことを「反響営業」と呼びます。賃貸不動産や自動車のディーラーなどが代表的です。既に商品に興味がある人が顧客となるため、効率的に商談・受注までつなげやすいのが特徴です。

その他特殊な営業

・海外営業
海外営業」とはその名の通り、海外の企業や販売代理店を顧客とする営業のことを指します。国内に勤務して電話やメールなどでやりとりをすることもあれば、現地に赴任して顧客と直接やりとりをすることも。

語学力はもちろん、営業先の国の文化やマーケットの特徴などを見極め、得意顧客を作っていくことが求められます。

・医薬営業(MR)
製薬会社などに勤務しており、医師や薬剤師などの医療関係者に対してアプローチするのが「医薬営業」です。

「自社の薬を売る」というよりも自社の薬を病院などで扱ってもらうために病気や薬に関する情報を常にインプットし、その情報を「医療従事者に提供する」ことが主なミッションです。文系・理系問わず医薬営業として活躍することはできますが、やはり医薬品や病気に関する深い知識が求められるため、「勉強が苦にならないことが最低条件」と言えるでしょう。

営業職のメリット・デメリット

売上が営業成績という形で数字として明確に現れる営業。実力主義な世界だからこそのメリット・デメリットがあります。

営業のメリットとデメリットを知ることで自分に向いているかどうかを判断する基準の一つにもなりますよ。一つずつ紹介していきます。

営業とは?

営業職のメリット:クライアントとの距離が近い

顧客と直接やりとりが発生する営業は、顧客の悩みやニーズなどに触れ密接なコミュニケーションが求められます。自分の働きにより顧客の課題が解決された時、大きなやりがいを実感できるでしょう。顧客から頼りにされていると感じられるのも営業ならではのやりがいですね。

営業職のメリット:成果が目に見えやすい

営業の評価基準はノルマの達成度や売上など数字として明確に現れるものが基準となっていることがほとんどです。頑張った分だけ数字として現れるため、昇進や昇格といった評価に対して納得感があり、モチベーションを高く持てるというメリットがあります。

営業職のメリット:インセンティブなどで成果が還元されることが多い

先ほどの「成果が目に見えやすい」と重なる部分もありますが、成績によって設けられているインセンティブも仕事の成果として実感しやすい要素の一つでしょう。

「1件成約ごとに〇円」や達成順位に応じて決定するなど企業によって支給条件が異なるため、入社前に確認しておくことが大切です。中には「チームで売上目標を達成したら〇円」などと設けていることも。ただしルート営業や反響営業といった、既存顧客や見込み客がメインとなる営業スタイルだとあまりインセンティブには期待できないことが多いのが特徴です。

営業職のデメリット:プレッシャーが大きい

仕事の成果が目に見えやすい分、成績が良くないことも明確に分かってしまうのが営業のデメリットの一つです。「あと〇日で〇万円売らなきゃ……」などプレッシャーによって力が発揮できなくなるタイプの人にとっては苦しい場面が多いでしょう。

営業職のデメリット:休日出勤が必要な場合もある

営業は顧客ありきの仕事なので、トラブルが発生した際合などに休日出勤が発生する可能性があります。顧客の都合で急な予定変更が発生することもあるため、自分で仕事をコントロールできないことにストレスを感じる人には向いていないかもしれません。

営業職のデメリット:インセンティブがない場合は収入が低くなりがち

インセンティブ重視の給与形態の場合、成績が良くなかった月は収入が低くなることも。安定的に収入を確保したい人は、最低月給がしっかり確保されている給与形態の企業を選んだり、インセンティブの支給条件をしっかり確認したりして、毎月どのくらいの月収が見込めるかを把握しておきましょう。

またルート営業や反響営業の場合、そもそもインセンティブを設けていない、もしくはインセンティブの比重が少ないことも考えられるので注意が必要です。

営業に必要なスキルやマインド

これから初めて営業職にチャレンジしようと思っている人にとって、「自分がどれくらい営業職に向いているか?」は気になるポイントだと思います。

まずは営業に必要なスキルやマインドについて、代表的なものを紹介します。ぜひ仕事選びの参考にしてみてください。

営業とは?

営業に必要なスキル:ヒアリング力

「営業トーク」という言葉から、営業は「話すこと」が大切だと考えている人も多いでしょう。もちろん話すことも大切ではありますが、営業にとって本当に大切なのは「聞く」こと。ただ相手の話にうなずいて聞くだけでなく、しっかりヒアリングして顧客の現状を把握することが大切です。

営業に必要なスキル:課題発見力

営業のミッションは、「自社の商品やサービスで顧客の課題を解決すること」です。しかし顧客の課題は既に表面化しているケースは少なく、顧客自身が自社の課題を理解していないことも多くあります。そのため、営業にはヒアリングを通して顧客の隠れた課題を発見する力が求められるのです。

営業に必要なスキル:コミュニケーションスキル

営業における「コミュニケーションスキル」とは単に話の上手さや冗談・お世辞の得意さのことを指すのではなく、顧客とうまく意思疎通を図るスキルのことを指します。つまり顧客の話を正しく理解し、自社の商品やサービスの良さを正しく伝えられることを指します。お互いの認識に齟齬が発生することなく、ストレスなくコミュニケーションが取れるかどうかが大切です。

営業に必要なマインド:目標達成の意識

営業には必ずと言っていいほど売上や契約件数といった数字として目に見える目標があり、常に「目標を達成するには何が必要か」という意識を持つことが大切です。しかしやみくもに頑張るだけでは目標達成は難しいでしょう。まずはどのような手段で目標達成を目指すのかを具体的に考え、そのプランに沿ってPDCAを繰り返しながら目標達成を目指すことが大切です。

営業に必要なマインド:お客さま視点

当たり前と言えば当たり前の話ですが、営業にはお客さま視点が大切です。顧客が求めているのが「商品の説明」なのか「現在のトレンドが知りたい」のか、「ただカタログやサンプルが欲しいだけ」なのか、「ひとまず見積もりが欲しい」のか……など顧客が何を求めているのかをお客さま視点で汲み取ることで信頼関係の構築にもつながりますよ。

営業に必要なマインド:諦めない姿勢

精神論ではありますが、営業には諦めない姿勢も必要です。目標に対して成績がふるわない時、「ここから巻き返すのは無理だ」「次回は目標達成できるように頑張ろう」という思考になる人もいるでしょう。しかしこの「次回は」という考え方がクセになると、目標に対する意識がどんどん低くなり、結果的に目標達成できないことが日常的になってしまうことも。「無理だ」と思ってからもうひと踏ん張りして「やりきる」という姿勢を持ちましょう。

「売れる営業マン」になるには

営業になるなら、誰もが憧れる「売れる営業マン」。売れる営業マンに必要な条件とは何でしょうか? 顧客からのメールに即レスすること? 話し方が上手なこと?

さまざまな要素がありますが、今回は三つに絞って「売れる営業マンの秘訣」をご紹介します。今営業をしている人はもちろん、今後営業を目指したいと思っている方も参考にしてみてください。

1.売り込まない

売れる営業マンは自社商品をむやみに売り込むことはしません。自社商品をむやみに売り込む=アピールするという行動は、顧客視点ではないからです。

売れる営業マンにとって大切なのは、顧客の課題を明確化し、その課題を解決する手段として自社の商品の特長を伝えること。アプローチとしては一見弱いようにも思えますが、顧客が欲しい情報のみを提供することで顧客が「売り込まれている」と身構えることないため、フラットな気持ちで話を聞いてもらえるのです。

2.クロージングを極める

クロージングというと、買わない理由をつぶして顧客の逃げ場をなくすことだと思っている人も多いと思いますが、無理やりその場で決断を迫るクロージングは得策ではありません。

あまり強引に決断を迫られると顧客が「少し怖い」と腰が引けてしまうことがあるからです。クロージングする際は「〇日までに結果をお知らせいただけますか?」などと期限を切った上で返事を先延ばしにするのも有効な手法です。

3.質の高い情報を仕入れる

売れる営業マンに備わっているのは小手先のテクニックだけではありません。世の中や業界のトレンドや顧客の情報、自社商品などあらゆる角度から情報を得ておくことで顧客と質の高い会話ができ、その結果他社の営業マンでは引き出せなかった顧客の課題を引き出せることも。

顧客に質の高い情報を提供できれば、その分顧客からの信頼度も上がるでしょう。

出来る営業マンには徹底的な顧客視点が大切

営業の仕事内容から種類、「売れる営業マン」に必要な要素までさまざまな情報をお伝えしました。これから営業を目指す人はぜひ自分に合った営業を見つけてみてくださいね。

また、営業をしているとつい会社の利益やノルマのことを考え、自社商品を買ってほしいがゆえに商品のアピールをしてしまいがち。そんな時はもう一度顧客視点に立ち返ってみましょう

顧客が何を求めているかを整理できれば、自ずと言動も変わるはず。顧客視点を身に付けることができれば、必然的に売上にもつながっていくはずですよ。

文/赤池沙希


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