“社員想い”なIT企業ガイド

「どうせ働くなら、いい環境で働きたい」。転職を考えるとき、仕事内容や給料と同じくらい気になるのが職場環境や社風の話。だが、これらの情報は、求人情報の文面からはなかなか読み取れないものだ。 そこでこの特集では、「環境」「社風」「制度」の3つについて、業界内でも評判のIT企業に取材を敢行。各社の“社員想い”な理由について、現場で働く技術者たちにホンネを聞いた。






山崎浩司氏
日本テレコム株式会社
ICTエンジニアリング本部
セキュリティG
アシスタントマネジャー
大学卒業後、独立系SIerでSEとしてプログラミング、サーバ構築・管理などを担当。2000年9月に日本テレコムに転職し、ネットワークSEを経てセキュリティ関連のSEに。現在は担当プロジェクトのなかで技術リーダーを務める
社内で「Park」と呼ばれるオフィススペース。季節によって木々が植え替えられるなど、本当の街のような環境。
オフィス内にある簡易打ち合わせスペース「Monju」。《3人寄れば文殊の知恵》が名前の由来だ。
オフィス中央部分にある「Market」。打ち合わせができるカフェスペースで、社員同士の活発な議論が行われる。
フリーアドレス制ゆえ、備品はすべて「Kiosk」に常備。テレビ会議用のCCDカメラもレンタルしているという。
ジャズが静かに流れる廊下を通り抜けると、そこにはオープンカフェ風の広場が。さらに足を進めると、閑静な公園をイメージさせる緑豊かなスペースが広がる。2005年1月、東京・汐留に移転した日本テレコムのオフィスは、まるで活気あふれるひとつの街のようだ。

「オフィスは固定席がないフリーアドレスなので、所属部署が違っていても同じプロジェクトに参加しているデータセンターエンジニアや保守・運用エンジニアなどと一緒に、顔を突き合わせて仕事をすることが多くなりました」

そう話すのは、ICTエンジニアリング本部の山崎浩司氏だ。オフィス移転前は所属部署ごとに部屋が分かれていて、「プロジェクトに参加していても所属部署内の自席で淡々と案件をこなしている感じだった」が、いまは他部署のメンバーとも集まりやすい環境がある。そのため、皆でプロジェクトを作り上げている一体感があるという。

オフィス内には「Monju」と呼ばれる小さな打ち合わせスペースが点在し、そこに設置されたA4サイズのモニターに各自のノートPCを接続することで、皆で同じ画面を見ながら情報交換や簡単な打ち合わせが可能。また、社員が常に最新の情報にアクセスできるよう「情報のデジタル化」を徹底しており、PCは無線LANで接続できる。

「社外にいても公衆無線LANを使えば緊急に対応しなければならない案件を処理できるなど、仕事の効率は格段に上がりましたね」


最新の通信技術を導入した理由


同社がこの過剰とも思える豪華なオフィス環境を設けている背景には、日本テレコムが着手している企業改革がある。通信キャリアはこれまで、インフラだけを“売り切り型”で提供するパターンが多かったが、ITと通信の融合が進むにつれてより総合的なICTソリューションの提供を迫られている。そのためには、自社内に最新のネットワーク環境やセキュリティ、テレワーク制度を導入し、社員自らがその利便性を実感しておくべきだという会社側の思いがあるのだ。

「さまざまな分野の技術者が協力しあってソリューションを提供していかなければならないので、能動的に動いてコミュニケーションを取ることが重要になっています。その意味でも、いまのオフィスは申し分ないですね」

今後もプロジェクト内の個々の技術者が持つスキルを上手く引き出しながら、日本テレコム発の新ソリューションを作っていきたいと意気込む山崎氏。その思いを叶えるための環境は、十分に整っている。

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