「転職をするか、しないかを先に決めておく必要はありません。大事なのは、今よりもより良いものを求める、人生における積極性です」
そう語るのは、過去12回もの転職歴を持つ経済評論家、山崎元氏だ。
「転職する際に迷うのは当然のことです。ですが、忘れないでほしいのは、人生をコントロールするのは自分だということ。特に社会人にとって人生の大半を占める『仕事の時間』を、不満だらけのまま終わらせるのはあまりにも不幸でしょう。いつかは転職を、と言いながら重い腰を上げられない人は多いようですが、今がそのときだという確証を持てる人など、そうそういないのではないでしょうか。『今はそのときではない』理由を探し始めるとキリがない。人間はもともと保守的ですから、今と同じか、それ以上と思えるチャンスがあれば動いてみた方がいいでしょう。仮に失敗したとしても、転職の失敗は十分リカバリーできますよ」
今回、モノづくりエンジニアを対象に「転職の壁」をテーマに実施したアンケートでは、転職でネックになる要因の多くは「専門分野が特殊なため、自分の能力が他社で評価されるかわからない」だった。しかしこの点について山崎氏は次のようにアドバイスする。
「ご自身では特殊と思われるかもしれませんが、ひと工夫する、あるいは、少々別の知識をつけ足すと、他の分野で通用するエンジニアは多いはずです。それに人間は案外柔軟なものです。そもそも、自分の専門分野が本当に特殊なのか、他社では評価されないのかを知るためにも、転職活動をする意味はあるといえるでしょうね」
人生に、絶対という保証などない。だからこそ動いてみる。どうせなら、この秋に。その割り切りが、思わぬチャンスをつかむきっかけになるかもしれない。 |