2015年4月下旬、東京都千代田区にある首相官邸の屋上に、小型の無人飛行機「ドローン」があるのを職員が発見。機体には放射線を示すマークのシールが貼ってある容器が付いており、微量の放射性セシウムが検出されたことで大騒ぎとなりました。 こうして今、話題となっているドローンとはいったいどういったものなのでしょうか。
ラジコンヘリとどう違うの?
ドローンとラジコンヘリっていったいどう違うの? そういう疑問を抱く方が多いのではないでしょうか。 「無人飛行機」という分類では、ドローンとラジコンヘリは同じものといえます。ただ、ラジコンは送信機を使ってリモート操作をしますが、ドローンにはあらかじめプログラミングが組み込まれたコンピューターが搭載されており、自立飛行をする点が異なります。 ドローンが、軍事技術から生まれてきた点を考えても、玩具用のラジコンヘリとは使用目的からして違うといえるでしょう。 価格も、おもちゃに近い手ごろなものから、軍事用に開発された高機能のものまで、さまざまです。 米国のBoeing(ボーイング)社、GE(ゼネラル・エレクトリック)、半導体大手Qualcomm(クアルコム)社など、そうそうたるグローバル企業やベンチャー投資家が、世界最大のドローン開発企業である中国のDJI社などに投資を始めています。
ドローンを使ってネット接続も?
現在、ドローンが最も活躍している分野は空撮です。カメラを搭載し、人が分け入ることができないエリアを撮影します。アメリカ軍は、偵察用のドローンを多数所有していることで知られています。また、災害が発生した場合に、現場の状況を知るためにドローンを活用する取り組みなども進められています。 ほかにも、ドローンは物流の面で活躍できるのではないかと期待されています。重い荷物を運べる大型のドローンを開発し、山奥や離島など配送が難しい地域に運ぶのです。日本国内でも、2015年5月には、運送用ドローンの安全性などを試験する国内初の専用飛行場が茨城県つくば市にオープンしました。 IT業界での用途としては、通信インフラの構築が考えられています。例えば、飛行機の飛行高度よりも高いところにインターネット通信機器を搭載したドローンを飛ばし、地上でインターネットに接続するという方法などです。
21年までに市場規模が6,000億円に!?
米国に拠点を置くドローンの業界団体「国際無人機協会」は、環境調査、農業分野、油田やガス田の調査など、あらゆる産業でドローンが活躍すると見込んでいます。このことを踏まえ、米調査会社ウィンターグリーンは、2021年までに民生用無人機の売上高は世界全体で6,000億円に達すると予測しています。 一方で、プライバシーの保護や空中を無数のドローンが飛ぶことによる安全性の確保などをどう担保するのか、利用を進めるにあたっての課題は山積です。 日本でも、むやみに規制を強めるのではなく、安全で便利な活用に向けた議論の高まりが期待されています。