「MySQL Workbench」は、リレーショナルデータベースマネジメントシステム(RDBMS)のMySQLを使用する設計者、管理者、ユーザのための統合ビジュアルツールです。Windows、Linux、Mac OS Xのいずれでも使用することができます。
MySQLといえばコマンドラインで操作するイメージがありましたが、MySQL Workbench のようなグラフィカルユーザインターフェース(GUI)ツールの登場で、ビジュアル的な操作が可能になりました。
MySQL Workbenchの強みと歴史
MySQL Workbenchの強みとして、データベースのデザインとモデリング、SQL(クエリ)の開発、データベース管理の3点が挙げられます。
MySQL Workbenchが誕生するまでには長い歴史がありました。10年ほど前、MySQL向けGUIツールの開発に加わったマイケル・G・ジーナ―は、DBDesigner4というデータベース設計・モデリングツールの開発を手がけていました。当時、高性能のGUIツールは高価なものが多かったのですが、DBDesigner4はオープンソースとして無償で公開されており、直感的に操作できるということで評判をあつめていました。このDBDesigner4で育まれた技術が、MySQL Workbenchにも「使いやすいビジュアル」と「マルチプラットフォーム」という特質として受け継がれているのです。
一方、MySQLは、MySQL Workbenchの登場以前から、さまざまな機能を「MySQL GUI Tools Bundle」という名称のGUIツール群として提供していました。たとえば、「MySQL Administrator」(データベース管理ツール)、「MySQL Query Browser」(SQL開発ツール)、「MySQL Migration Toolkit」(MySQLへの移行ツール)などが有名です。
中でも、MySQL Query BrowserはSQLの入力支援機能を備え、SQLの作成を効率化する機能を備えていました。一方、MySQL AdministratorはMySQLサーバーの起動・停止など、データベースの管理を手早くします。
このMySQL GUI Tools Bundleとマイケル・G・ジーナ―の開発したDBDesigner4が統合し、MySQL Workbenchが登場したのです。そのため、初期のMySQL Workbenchでは、これら3つの機能が独立してユーザインタフェース上に並べられている状態でした。
国内企業の26.5%がMySQL導入
調査会社IDC Japanが2015年4月に発表した「国内企業におけるオープンソースソフトウェアの利用実態調査結果」によると、RDBMS分野においてMySQLが26.5%と、同じオープンソースのRDBMS であるPostgreSQL(13.3%)の約2倍の利用率となっています。
IDC Japanは本調査結果の中で、「日々新しいOSSが生まれており、OSSの種類と活用領域が急速に拡大している。OSSを利用する最大のメリットは、コスト削減や最新技術だけではなく、エコシステムを活用できることにある」と述べています。
MySQLは、「Twitter」や「Google 」「Yahoo!」といった大規模なウェブサービスを提供する主要企業でも導入実績があります。今後、データベース設計や管理に携わりたいという希望のある方は、MySQL Workbenchの習得をおすすめします。