iBeacon(アイビーコン)とは、米Apple社が開発した屋内測位システムです。iOS7以降に標準搭載されたことで注目を集めています。 今回は、この注目の新技術について紹介します。
iBeaconは建物の中での位置情報を取得する
iBeaconは、発信側のビーコン端末とビーコン端末からの受信に対応したiPhoneアプリの2つを組み合わせることで動作します。 GPSが地球規模でユーザーの位置情報を把握するのに対して、iBeaconは建物の中での位置情報を取得できるというのが特徴です。
iBeaconの通信距離は、IDごとに「Immediate(接近)」「Near(近い)」「Far(遠い)」の3種類の範囲を設定できます。通信距離の範囲は、Immediateが数cm、Nearが1m、Farが10mの半径まで信号を検知できるといわれています。おサイフケータイに使われているNFCが半径20cm程度と言われているので、それに比べると検知可能なエリアが広いのが強みです。
ただし、iPhoneとビーコン端末が近い位置にあっても、iPhoneが分厚い金属ケースなどに覆われていると電波が届かなくなるので、注意が必要です。
iBeaconのメリット・デメリットと使い方
iBeaconを利用することで、店舗の前を通りかかったユーザーのiPhoneに、商品のクーポンやセール情報などをプッシュ通知して知らせたり、店舗内でのユーザーがどのように動いたかを分析したりするなど、さまざまな使い方が考えられます。
また、美術館や博物館では、来館者のスマートフォンが展示物に近づいたときに、画面に展示物の説明文や解説動画を表示させるといった使い方もできるでしょう。
ほかにも、長野県では登山ルートの休憩所などにビーコン端末を置き、登山者にペンダント型のiBeaconを貸与することで遭難を未然に防ぐという取り組みもなされています。
スマートフォン経由で情報を取得する技術としては、これまでARや2次元バーコードがありました。しかしこれらを使う場合は、ユーザーが自分の意志でアプリを立ち上げてかざすなどの行動をする必要がありました。一方、iBeaconはアプリを立ち上げていなくても、プッシュ通知でユーザーに情報を届け、アクションを喚起させることができるという点で、画期的な技術だと言えるでしょう。
iBeaconには「iPhoneに対応アプリを入れる必要がある」「Bluetoothをオンにしなければならない」「iOS7以降でないと使えない」という制約がありますが、GPSが使えない屋内での位置把握には有効な技術であることは間違いなく、iPhoneの普及率が高い日本では主力の規格となっていくとみられています。
Googleも同社らしさを取り入れたビーコン規格を開発
iBeaconに続き、Googleもビーコン規格「Eddystone」を発表しています。iBeaconがiPhoneにしか反応しないのに対し、EddystoneはAndroidやWindowsなど、より幅広いプラットフォームに対応させることが可能です。クロスプラットフォームな仕様は、いかにもGoogleらしい技術と言えるでしょう。
このように、iBeaconをはじめとするビーコン技術は、さまざまな分野でその有効な活用方法が模索されており、今後大きく発展することは間違いないでしょう。