2018.03.14
【前田裕二×中川悠介対談】日本だからこそ世界に発信できる価値とは?【動画付き】
アソビシステムの代表取締役・中川悠介さんと、仮想ライブ空間『SHOWROOM』の代表取締役社長・前田裕二さんの対談第2回。グローバルな活躍を実現するために必要とされるスキルや、お二人が今後世界に向けて発信していきたいと思っていることを聞いた。
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【プロフィール】
SHOWROOM株式会社 代表取締役社長
前田裕二2010年に早稲田大学政治経済学部を卒業。外資系投資銀行に入社後、ニューヨークに移り、株式市場において数千億?兆円規模の資金を運用するファンドに対してアドバイザリーを行う。13年にDeNAに入社。仮想ライブ空間『SHOWROOM』を立ち上げる。現在はSHOWROOM株式会社 代表取締役社長として、SHOWROOM事業を率いている
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アソビシステム株式会社 代表取締役
中川悠介2007年にアソビシステムを設立。ファッション・音楽・ライフスタイルといった、原宿の街が生み出す『HARAJUKU CULTURE』を世界に向けて発信し続けている。近年では、KAWAIIのアイコン・きゃりーぱみゅぱみゅのワールドツアーを成功させた他、『もしもしにっぽん』を発表し、日本のポップカルチャーを発信している
国ごとに異なる価値観の中で、「良い物」を生み出し続けることにこだわる
――グローバル展開を実現するにあたって、必要な技術はありますか?
中川 グローバル展開のことは意識していたものの、まずは良い物を作ることにこだわっていました。結果、フォロワーが広がっていったんですよね。
――スキルで言うならば、クオリティの高い物を作れること、でしょうか?
中川 そうですね。やっぱり良い物を作ると言うことが、僕たちのようなIP型(※)としては大事な部分かなと考えています。
(※)知的活動によって創作された表現を、特定のメディアに依存するのではなく、様々なメディアに適したコンテンツとして展開すること
――前田さんはどう思いますか?
前田 IP型の方々は、グローバルなんて意識しなくてもいいと思うんですよ。職人さんには徹底的に職人でいてほしい。職人としての独自性を磨き上げていけば良いんです。一方で、僕たちのようなプラットフォーム型や、事業として海外で成功したいと考えるのであれば、ある程度仮説が必要だと思います。国ごとにルールが違うはずなので。
例えば、SHOWROOMはインドネシアでユーザーが拡大傾向にあるんですが、なぜかと思って現地に行ってみたんです。日本であれば、インフルエンサーと呼ばれるような人気俳優やアーティストをフックにしてプラットフォームに集客するようなコンテンツマーケティングが主流ですよね。ただ、国が変わるとそのインフルエンサーが牧師になったりする。有名な牧師はTwitterのフォロワーが500万人いて、彼らはカセットテープを売るビジネスをしている。それぞれの国で価値観が違うので、それを理解して寄り添ったり寄り添わなかったりという駆け引きをしていくことで、成功確率は上がっていくんだと思います。
――中川さんも海外との感覚の違いを感じた経験はありますか?例えば『HARAJUKU KAWAII』文化に関してですとか。
中川 感覚の違いはたくさんあると思います。僕たちにしかわからない『HARAJUKU KAWAII』という分類があって、「これは海外の方にとって違うんだな」と感じるものもあれば、「このテイストは海外でもウケるんだな」と気付くものもあるんです。 「かわいい」というものにもムラがあるんですよね。青文字系という言葉で女の子たちをまとめようとしても、その中にはきゃりーぱみゅぱみゅのような系統の子もいれば、また違った系統の子もいる。まとめたことによって世間に伝わりやすくはなるんですが、いろんな子がいるんですよ。
日本人は世界一「思いやり」に長けた人種である
――ご自身のビジネスでグローバルな活躍を実現していますが、海外に対する「発信力」を高めるために重要なことって何だと思います?
前田 職人として、クリエイターとして発信していくのであれば話は別ですが、事業型でグローバルな成功を実現したい場合には、言語は必要不可欠ですね。やっぱり英語ができないと話にならないんですよ。大抵の地域では、共通言語として英語を用いている。そこで日本語しか話せないとなると、パフォーマンスで差がついてしまうんです。伝えたいことの何割を伝えられているのか、という疑問が残る時点でアウトですよね。なので英語が使えることが、グローバルで活躍するための第一段階。第二段階として、現地の言葉を覚えて深く入り込んでいくことが必要だと思います。
――なるほど。お二人は、世界に向けて新たに発信していきたいことなどありますか?
中川 日本のアーティストやカルチャーなどを世界に持って行きたいと思っているので、「もしもしにっぽん」というプロジェクトを立ち上げています。コンテンツとしていろんなものを発信していく上で、いろんな業界、いろんな企業と組み合わせていけたらいいな、と思っています。
以前であれば自動車産業などを通じて、日本の技術力が世界中で注目されていた。時が経って、技術が模範され、どんどん追い付かれてきたとしても、日本人だから作れるクリエイティビティというものがきっとあると思うんです。なので今、まずはエンターテインメントの分野で日本が世界に出て行くことが重要なのではないかと考えています。エンターテインメントに続くかたちで、いろんな産業が世界に出て行ければと良いな、と。
――今まで発信してきた原宿カルチャーの中から新しい要素を発信していくイメージですか?
中川 原宿カルチャーの新しい要素、というよりも、「ミニ・オールジャパン」と呼べるようなものを作っていきたいですね。日本人って何かと分類しちゃうんですよ。昔のものと今のもの、といったジャンル分けをしてしまうけど、海外の人にとってそのジャンルは関係ないですからね。
世界各国で日本のカルチャーイベントが開催されていて、その中心にいる人は日本が大好きで、でも、それぞれ色が違う。なので、やっていることも違う。そんな様子を見ていると、ジャンルや見せ方にこだわっている僕たちのやり方って小さいな、って思えてくるんですよ。もっと視野を広げていくことが大事ですよね。
前田 僕は、日本の「思いやり」を世界に伝えていきたいですね。例えば、調味料のケチャップってあるじゃないですか。日本のケチャップって、絵が描けるくらい操作性に長けた容器に入っていますよね。ですが海外だと瓶に入ったものが主流で、扱いづらい。つまり、日本人はお客さん側に対する想像力が豊かなんです。ケチャップを使いたい量だけ出せるようにするにはどうすればいいだろう、瓶だと出し過ぎてしまうから、チューブの方が使いやすいのではないか、って。日本人は、使ってくれるお客さんへの思いやりに世界一長けているんじゃないかと思うんです。この日本の思いやり、つまりはサービス精神というものを世界に誇っていきたいと思っています。
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※このコンテンツは、2017年にtypeメンバーズパークに掲載された動画を新たに記事化したものです。
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