2018.03.19

人工知能とクリエイティブワーク【動画付き】

ヒットメイカーが予想する、AIの登場で変わるコンテンツの未来。人工知能の進歩が目覚ましい今こそアナログゲームが面白い理由とは?ゲームクリエイターのイシイジロウ氏とバラエティプロデューサー・角田陽一郎氏によるクリエーター談義。

人工知能とクリエイティブワーク【動画付き】

  • 【プロフィール】

    イシイジロウ ゲームクリエイター、原作・脚本、映画監督

    ゲームクリエイター、原作・脚本、映画監督
    イシイジロウ

    チュンソフト(2000年入社)、レベルファイブ(2010年入社)において、主にアドベンチャーゲームのシナリオ・監督・プロデュース、ディレクションを務めた後、2015年に株式会社ストーリーテリングを設立。アニメシリーズ「モンスターストライク」のストーリー・プロジェクト構成を担当した他、映画監督や舞台原作など、活躍の場を広げている

  • 角田陽一郎 バラエティプロデューサー

    バラエティプロデューサー
    角田陽一郎

    1994年、TBSテレビに入社。TVプロデューサー、ディレクターとして「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」「EXILE魂」など、主にバラエティ番組を制作。2009年にはネット動画配信会社goomoを設立し、2016年にTBSを退職。現在もバラエティプロデューサーとして活躍中

ヒットメイカーの脳内は?

――今回は、お二人の思考をより詳しく教えていただきたいと思っています。普段考えていることで円グラフを作った場合、どんな要素が何%占めていますか?

イシイ ゲームデザインについて考える割合を多く持とうと思っています。8割くらいを占めていますね。人の人生とゲームは一見すると全く関係ないものに思えるのですが、エンターテインメントとして面白い人生には、必ずゲームシステムが組み込まれているのです。様々な葛藤、対立、勝ち負けなど。そういう要素はゲームの一つだと思っています。
例えば、高校野球。一試合でも長く、このチームで甲子園で戦い続けようと努力する。それでも、最終的には一チームしか勝つことができない。私たちは、敗者のストーリーを見ているんです。だから感動的なんですよ。トーナメントという形も含めて、優れたゲームデザインですよね。あのようなゲームデザインがしっかりできていれば、どんなキャラクターやドラマを持ち込んでも、面白くなるはずだと考えています。

――続いて、角田さんはいかがですか?

角田 さっきから考えていたんですが、分からないんですよ。得られる情報というものは、まずは全て頭に入れてしまった方がいいと思っているんです。川のように全ての情報が流れていく中で、自分の脳に刺さったものが、本当に興味のあるものなのかなと思っています。

――では、好きなもので脳内の100%を占めているということですね。

角田 何でも好きなんですよね。なので、くだらないバラエティとすごく真面目なものを同時にやりたいんです。

AIの普及で見えた、今本当に面白いもの

――近年は科学技術の進歩も目覚ましいですが、そんな今、お二人が気になってるサービスは何でしょうか?

AIの普及で見えた、今本当に面白いもの

イシイ 今こそボードゲームが面白いですね。ゲームマスターをAI化したデジタルゲームと比べて、アナログなボードゲームはプレイヤーの自由度が高いと思うんです。複数のプレイヤーをAI化するには、まだ時間が掛かる。なので、プレイヤーが自由に楽しめる魅力がボードゲームにはあるのではないでしょうか。

角田 人工知能って面白いですよね。人工知能がもっと普及すると、人間の仕事が失われるのでは、と恐れられていますが、むしろ、人間としてどう働けばいいのかということを人工知能から教わったと思うんです。確かに人工知能はゲームマスターになれますし、与えられたルールの中で最強のプレイヤーになることもできる。ですが、人工知能は問題を作ることはできないのです。だからこそ、私たちは問題を作る側に回れば良いのではないか、って。人工知能と戦うのではなく、人工知能にできないことをしていくのがビジネスマンとしての正解だと思います。

――では、今後お二人で一緒にやってみたい企画などはありますか?

角田 イシイさんのコンテンツの作り方(本対談vol.3参照)で、テレビ番組を作ってみたいなと思いました。今のテレビ番組は、視聴率などのデータを整理することが重要だと思っている。ですが、数字には表われない部分にも価値はあると思うんですよね。

――イシイさんだったら、こんな風にテレビ番組を作っていきたい、という考えはありますか?

イシイ 例えば、シェアハウスの住人たちが恋愛をするような番組だったとしても、そこにもっとゲームシステムを導入できないかな、と思います。登場人物たちがもっと自由に動きながら、葛藤していたり勝利を掴んだりするようなもの。ゲームシステムが導入できれば、舞台の『人狼TLPT(※)』のように、2時間の生放送だって成立すると思うんですよね。

(※)人狼ザ・ライブプレイングシアター。人気パーティーゲーム「人狼」の舞台シリーズ。台本はオープニング部分のみしか存在せず、その後は自分のゲーム上の役職に基づいた即興劇を繰り広げる。

※このコンテンツは、2017年にtypeメンバーズパークに掲載された動画を新たに記事化したものです。

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