2018.03.08
ヒットの法則はあるのか【動画付き】
さまざまなヒットサービスを生み出してきた3人のビジネスパーソンが語る「ヒットの法則」とは? 朝の情報番組『スッキリ!!』や、『STORY』『DRESSなどの有名雑誌、『レイビームス』をはじめとする人気ブランドを生み出してきた仕掛け人たちによる特別座談会の最終回。
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【プロフィール】
株式会社アブリオ 代表取締役/C Channel株式会社 取締役
三枝孝臣1989年に日本テレビ放送網に入社し、プロデューサーとしてバラエティや情報番組など全てのジャンルで数々のヒットコンテンツを世に送り出した。2014年に『Hulu』制作部長、インターネット事業担当部次長を経て、独立。2015年、新たにメディアデザイン事業会社、株式会社アブリオを設立。同時にC Channel株式会社取締役に就任
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株式会社「編」代表取締役社長/『DRESS』エグゼクティブプロデューサー
山本由樹光文社で『女性自身』の編集者を16年担当。2005年には『STORY』の編集長を務め、その後2010年より『国民的美魔女コンテスト』を開催し美魔女ブームを仕掛ける。現在では株式会社giftを設立し、月刊誌『DRESS』を創刊
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株式会社ビームス ビームス創造研究所 シニアクリエイティブディレクター
南馬越一義1984年に株式会社ビームスに入社。メンズカジュアルのショップスタッフを経て、ウィメンズ店舗『レイビームス渋谷』の店長へ。その後、1989年には『レイビームス』レーベルのバイヤーとして数々の功績を挙げる。2004年、ウィメンズ全体のクリエイティブディレクターに就任。現在様々なバラエティ番組やコンテストでコメンテーターや審査員を務めている
ヒットとは、言葉にできない欲望をかたちにすること
――前回は、やらないと決めていることはない、という結論で一致しましたよね。
三枝 長く仕事していると、それが正解だって思うようになったりするんですよね。
山本 いい歳して貪欲ですよね。
三枝 昔、明石家さんまさんが「生きてるだけで丸もうけ」っておっしゃっていましたけど、そういうところに帰結していく気がしますね。「やらない」と決めつけないでいることで、新しい可能性が出てきたりだとか。
――何でもやってみる、ということですね。では最後のテーマに移りたいと思います。ずばり、「ヒットの法則」はあると思いますか?
南馬越 それ、僕が教えてもらいたいくらいです。でも、自分の根っこにあるものは変わらないと思うので、そこにいかにたくさんのアレンジを加えていけるか、だと思います。その結果、「数撃てば当たる」に繋がっていく気がします。
山本 ヒットの陰には、その数十倍の「ヒットしなかった企画」がありますからね。そのどれもがヒットを狙っていたのに、ヒットしなかった。なので、法則ってあるようでないような気がするんです。ただ、これは理想ですが……みんながほしいと思っているものを言語化できたら、それを作ればいいだけですよね。でも、言語化できない欲望というのもあるはずなんです。それをかたちにできた時、ヒットが生まれると思います。
南馬越 なるほど、すごいですね。
山本 例えば、「のどが乾いているのでアイスコーヒーがほしいです」と言われたらアイスコーヒーを出せばいいんですが、ただアイスコーヒーを出すだけでは何の意外性もないじゃないですか。そこで、何となく悶々としている部分を察して「本当に欲しているのはこれじゃないですか?」と差し出したい。「なんでこれがほしいってわかったの?」という気付きが与えられるようなものを提供したいんです。
南馬越 僕も同じようなことを思っていました。でも上手言葉にできなくて。まさに今、気付きがありました。
三枝 人間が好きなもの、ヒットするものって、ネガティブなものって少ないですよね。自分の生活がちょっと良くなったりだとか、楽しいなと思えるものだったりとか。そういったものの方がヒットしやすい。人間が好きだと思うものって、いつの時代も大きくは変わらないですよね。そこにヒットの法則のヒントがある気がします。僕もそうですけど、人って成功例の方を語るじゃないですか。世の中に対しても成功例ばかりが発信されるけど、実際には失敗例だってある。失敗を積み重ねた分だけ、ヒットの確率は上がっていくんだと思います。
山本 以前ニュースで見かけたんですが、吉野家がアプリを使ってボトルキープというサービスを提供しているそうなんです。例えば、1杯350円の生ビールを10杯分まとめてボトルキープすることで、1杯300円になるんですよ。つまり、50円割引クーポンつきの回数券なんです。クーポンをちぎってレジで渡す、って、抵抗がある人もいると思うんですが、ボトルキープという名前がついたことによって使いたくなる。その発想に至るかどうかは個人のクリエイティビティが問われるところなので、ヒットを生み出すためにできることはまだあると思います。
理想は、いつまでも最前線。最後の瞬間まで企画を練り続けたい
――みなさん、将来の展望はどのように考えていますか?
南馬越 働けるだけ働きたいです。企画を練りながら、机でバタッと倒れている、みたいな。それくらい前を向いて倒れたいですね。
三枝 坂本龍馬的ですね。
南馬越 そうですね。本当におもしろそうだと思うものを一生懸命プレゼンして、企画が実現して……ということを続けていきたいです。
――山本さんの将来の展望は?
山本 展望って全然ないんですよ。20代の頃から目の前にあるものを追いかけ続けてきただけなので。なので、自分の目の前に追いかけられるものがいくつかあるような状況が、ずっと続けばいいなと思います。
三枝 70歳とか80歳になっても、やりたいものが目の前にあるのがいいですね。そして、人から求められる仕事ができていたら理想だなと思います。
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※このコンテンツは、2016年にtypeメンバーズパークに掲載された動画を新たに記事化したものです。
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