キャリア Vol.413

営業マンの25歳は人生最大の分岐点!? はあちゅうが語る「無難に終わる仕事人生」の脱し方

営業キャリアの転機を「チャンス」に変える!
先輩たちのAge25
“25歳”は大学を卒業し、社会人3年目を迎える人が多い年齢。ある程度一人で仕事ができるようになると同時に、今後の働き方やキャリアの方向性を見つめ直すべき時期でもある。若手にとって「転機」が訪れやすいこの25歳という時期を、営業マンはいかに過ごせばいいのだろうか? 各界で目覚しい活躍をしているビジネスパーソンたちの「25歳時代」を事例に、転機をチャンスに変える若手時代の過ごし方を学んでみよう

本特集の2人目は、作家のはあちゅうさん。新卒で入社した電通ではコピーライターとして活躍し、25歳の時にトレンダーズに転職。その後独立の道を選び、今では作家として若者に絶大な人気を誇る彼女もまた、‟25歳”は仕事人生の転機だったと語る。そんなはあちゅうさんが考える、25歳の理想的な過ごし方とは――?

はあちゅうさん

はあちゅうさん

ブロガー・作家。1986年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。在学中にブログを使って、「クリスマスまでに彼氏をつくる」「世界一周をタダでする」などのプロジェクトを行い、カリスマ女子大生ブロガーとして活躍。電通、トレンダーズを経てフリーに。「ネット時代の作家のかたちをつくる」ことを目標に、オンラインサロンや月額課金コンテンツ『月刊はあちゅう』の運営など、表現の場所を広げている。近著に『半径5メートルの野望』(講談社)、『かわいくおごられて気持ちよくおごる方法』(幻冬舎)、『とにかくウツなOLの、人生を変える1か月』(角川書店)など

欲しかった肩書きを手に入れたのに、モヤモヤしていた25歳

――25歳で新卒入社した電通からトレンダーズに転職していますが、はあちゅうさんにとって当時はどのような時期でしたか。

私が25歳を迎えたのは、東日本大震災があった2011年。震災当日、私は電通の会議室で、新しい広告のプレゼンをしていたんです。ビルがものすごく揺れて、ふと窓を見たら、お台場方面から煙が上がっている。昨日までの日常が無くなっていくことを実感し、それまで一つ一つ大切に積み上げていったものが一気に崩壊する不安を覚えました。その年のうちに転職をしたのですが、震災が一つの契機になったのは確かです。

――電通ではコピーライターとして活動されていましたが、大きなクライアントのコピーを書きたい、賞を取りたいなどの夢はありましたか?

ありました。ただ、今振り返ると、私はコピーライターという肩書に目がくらんで、賞をとったり、目立つ仕事をすることをゴール化していたようにも思います。本来はその先に仕事を通してどんな社会を実現したいか、ということがなければいけないと思うのですが。自分が本当にやりたいことから目をそらして、数ある肩書きのなかから自分に合いそうなものを選んだせいでそうなってしまった気がします。だから、コピーライターという夢が叶ったその先に何があるのかが本当の意味では分かっておらず、モヤモヤとした気持ちを抱えていました。

正直なところ、電通という大企業に安住していたところもあったし、その中でぬくぬくとしているのが楽だとも思っていたんです。楽で、見栄えもいい肩書きも手に入れたのに、心の中が常にトゲトゲしているのはなぜだろうという葛藤がありました。

――当時は会社員をされながらも個人ブログの更新は続けていらっしゃいましたが、そこにはどのような想いがあったのでしょうか。

コピーライターの世界はとても伝統的で、今でも子弟制度のもと、「課題について百本コピーを書く」といった訓練があったりします。そんな日々の鍛錬のなか、自分のやりたいことが少しずつ見えなくなっていくような気がしていました。

私のやりたいことというのは「自分が言いたいことを書くこと」でコピーライターのように「クライアントが言いたいことを書く」ための言葉探しではなかったということにだんだん気づきました。つまり夢は「コピーではなく、エッセイを書いて生きていくこと」だったんです。その夢を叶えるためにブログも続けていたはずなのに、会社員でブロガーというのはどうなんだろうと、自分のなかで遠慮をしていて。オンラインにいる「はあちゅう」という人格と、電通社員の自分というキャラクターが違い過ぎて、ブログを更新するのも後ろめたい気持ちを抱えるようになりました。

ビジネスで成功したい営業マンは「世の中にないものを」つくる・届ける力を身に付けよ!

――その後、トレンダーズに転職をされたのち、27歳で独立をされています。現在は「はあちゅう」という名前がそのまま肩書きになるような活躍をされていらっしゃいますが、その根底にある思いとは何ですか。

やはり「書くことが好き」というのがすべての根底にあります。独立してからテレビへの出演機会も多く頂けるようになりましたが、私は家で書いている時や、書いたもの人がの心に届いた時が一番幸せなんだなということがよく分かりました。

昔はテレビに出る側の人にぼんやりとしたあこがれを抱いていたのですが、実際にやってみて感じたのは、私は映像であれこれやるより、書くのが好きな人間なんだなぁと。それを実感してからは、書くという自分の軸を大事にしようと、より一層強く思うようになりました。

はあちゅう

――やりたいことを仕事にできる、という喜びは大きいと思いますし、理想的ですよね。では、はあちゅうさんにとって「仕事で成功する」というのはどんなことだとお考えですか。

ビジネスパーソンとしての成功の形とは、「新しい価値を人に提供する」ことだと思っています。見たことのないものを見せる、これまでの生活になかったものを届けることができたら成功。その新しいことが社会的な価値を持つことができたら、お金が入ってきたり、知名度が上がったりするものだと思うんですね。

ただ、私自身はサービスをゼロから作ることはできません。ですから、既にあるものをうまく使って、誰もチャレンジしていなかった新しい価値をつくるということに取り組んでいきたいと考えています。

例えば、現在は『note』というアプリを使って、『月刊はあちゅう』というエッセイの配信を行っています。出版界ではエッセイは売れないと言われていますが、エッセイを読みたいと思っている人は必ずたくさんいると思うんです。そういった読者予備軍と、出版社や編集者を介さずに直接つながり、twitterなどの無料コミュニケーションツールを使いながら、有料の作品をデジタルで読んでもらうという仕組みづくりなどに今は取り組んでいます。こういったことを、今後も率先してやっていきたいと思っています。

――確かにはあちゅうさんは、『note』に早い時期から取り組まれていた印象があります。新しいものへのアンテナの感度を高めるために心掛けていらっしゃることは何ですか。

趣味を兼ねたネットサーフィンが大きな情報源なのですが、そのときに「これ、面白いな」という感覚は大切にしています。そして、新しいサービスは必ず使ってみる。

例えば『メルカリ』は、最初は正直、なぜ流行っているのかが分かりませんでした。けれど、自分でやってみて初めて、スピード感が他のオークションアプリと違う、全く画期的なものだと感じることができたのです。試さないで分かった気になるのが一番危険だと思うので、面白いと感じたものは必ず登録して、実際にサービスを使っています。

「無難な人生」か「挑戦する人生」かの分岐点は、25歳に訪れる

はあちゅう

――はあちゅうさんの25歳を中心にお話を伺ってきましたが、一般的に25歳とは、どのような年齢だと思われますか。

一通りの経験をして自分の人生の先がある程度分かった気になってしまう年齢だと思います。25歳って、そこそこのお給料をもらって、結婚を考えるパートナーもいたりして、人生ができ上がった気になってしまうんですよね。私も25歳の時に転職を決めなければ、モヤモヤを抱えながらも、「文章を書いて生きていく」という夢を忘れて、電通の中でどう立ち回るかしか考えられない、つまらない会社員になっていたかもしれません。

でも、半分完成されている人生だからこそ、その状態をあえて壊せと言いたいです。22歳からの3年間は誰もが大きく変化をしているはずですが、25歳からの3年間は、それぞれがどれだけ頑張ったかで全く違うステージに到達するはず。25歳のときと同じことをしている28歳はちょっと焦ったほうがいいと思いますよ。

会社に毎日通い、不祥事さえ起こさなければ、確かに人生は無難に終わるかもしれません。無難を守るか、新しい挑戦をしたいか。人生をどう広げるかは、25歳の過ごし方にかかっていると思います。

――読者の若手営業マンに、「無難な人生から脱する方法」をアドバイスいただけますか。

まずは、目の前の課題を突破することを忘れずに仕事をしてほしいと思います。何事も中途半端にしていると、次の場所に行っても、やっぱり向こうの方が良かったかもしれないなどといった迷いが生まれます。迷いがない状態にするには、全力でぶつかるしかありません。環境を問う前に、自分はこの場所で全力を尽くしているのかと自問自答してみてください。

私自身も電通に一生勤めるつもりで入社し、がむしゃらに働きました。もしも、何となくお給料をもらいつつ、環境に文句を言いながら適当に仕事をしていたら、次の場所でも「環境が悪いんだ」と頑張れなかったはずです。だから、皆さんが今いるところが自分の場所なのかどうかを見極めるためにも、本気度は大切です。

あと、今は会社という枠にとらわれずに突出している個人がたくさんいます。そういう意味で、そもそも肩書きが必要ではなくなっている気がするんです。それなのに肩書きばかりに固執してしまうと、仕事の幅を狭めたり、人脈を狭めることになりかねません。自分を形づくる一つ一つの要素は会社であり、肩書きなので、こだわっていいと思いますが、それに引きずられないぞという気概を持って活躍してほしいです。そうした先に、それぞれが自分らしく働き続けられる道が開けていくと思います。

取材・文/朝倉真弓‏ 撮影/masaco(CROSSOVER)

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