キャリアVol.602

ライザップ創業社長・瀬戸健が「この世に失敗は存在しない」と断言する理由

新しいことに挑戦する時、多くの人は不安を感じるものだ。それは、きっと“失敗が怖い”からかもしれない。しかし、「この世に失敗は存在しない」と断言する男がいる。ライザップ創業社長の瀬戸健さんだ。その真意とは一体何だろうか?

RIZAPグループ株式会社 代表取締役社長 瀬戸 健さん
RIZAPグループ株式会社 代表取締役社長 瀬戸 健さん
1978年生まれ。明治大学商学部中退。2003年、健康コーポレーションを設立。2012年、パーソナルトレーニング事業『RIZAP』を開始。16年、商号をRIZAPグループに変更

「失敗」は存在しない。
あるのはデータベースの蓄積だけだ。

結論から言うと、僕は「失敗」というものは存在しないと考えています。存在するのは、「うまくいったか、いかなかったか」というデータベースの蓄積だけ。エジソンだって、電球を発明するまでに何千回、何万回と実験を重ねましたが、彼はその過程を失敗とは考えなかった。「成功するための良いデータベースができた」と考えたから、それをもとに目指すゴールを達成できたのです。

このデータベースは、自分が行動しなければ増やすことはできません。僕の経験上、どんなことも8割や9割はうまくいかなくて当たり前。そこには痛みも伴いますが、だからこそ脳が刺激され、「このように行動すると、こんな結果になるのだ」としっかり刻み込まれる。それが学びとなり、成長につながります。だから、「行動の絶対量とその人の成長は完全に比例する」というのが僕の考えです。

僕は24歳で起業したので、「若いのに思い切ったチャレンジをしましたね」と言われることがありますが、別に自分ではチャレンジと思っていないんです。やりたいことがあれば、「だったら、どうやろうか」と考えて行動に移すので、自分としては「気付いたら会社をつくっていた」という感じですね。僕は「思ったこと」と「やること」が一致しているので、行動することへのハードルがないんです。

世の中には、いつも“やらないこと”を前提に考える人がいます。「世界一周旅行をしたいけど、時間が無い」とか「起業したいけど、お金が無い」とか。僕はこういう人を「ケドケド星人」と呼んでいます(笑)。一方、僕を含めていつも“やること”を前提に考える人は、「世界一周旅行をしたいから、どうやって時間をつくろうか」「起業したいから、どうやってお金を用意しようか」と考える。こちらは、いわば「カラカラ星人」です。

「ケドケド星人」は、「やりたいけど、できない」で思考停止してしまう。でも「カラカラ星人」は、「やりたいから、どうするか」を考えるので、論理的思考力や問題解決能力がどんどん磨かれる。どちらの成長が速いかは一目瞭然です。

そもそも、一人の人間が持つ資源は限られていて当然です。だから何をやるにしても、必ず制約条件がついてくる。僕が会社をつくった時だって、使えるお金も人もモノも限られていた。まだ若いので知識もないし、社会的な権限もない。本当に何もなくて、あったのは夢と気合いと根性だけ。でも、それがあるから必死に勉強や努力をして、あらゆる行動を取ることができた。無いものを嘆くのではなく、あるものを活かして行動量を増やし、自分のデータベースを蓄積していくことでしか、夢は叶えられないのです。

もちろん、やりたいことをやるには、たくさんの課題を解決しなくてはいけません。何の努力もせず、いきなりワープして世界一周旅行や起業という夢が叶うわけじゃない。夢と現状とのギャップを認識すれば、不安になったり悩んだりすることもあります。でもそれは、自分が上を目指しているからこそ。「このままでいいや」と現状に満足している人は、上を目指して努力する必要もないので、不安や悩みを抱くことさえない。不安や悩みは、実は自分を成長させる大きな原動力なのです。

RIZAPグループ株式会社 代表取締役社長 瀬戸 健氏

最悪を想定すれば、
チャレンジは怖くない

新しいことにチャレンジするのを怖いと感じる人もいるようですが、それも考え方次第。僕は常に最高のゴールを目指しつつ、同時に最悪を想定して計画を立てることにしています。例えば起業する場合なら、最悪とは会社が破産することです。でも僕が会社を創業した時に出した結論は、「日本で暮らしている以上、最悪の事態になっても死ぬことはない」ということ。その時はすでに結婚していたので、もし会社が破産しても、夫婦二人で働いてひと月に20万円ずつ稼げれば、十分生活していける。そう考えれば、何も怖くありませんよね。人間は先が見えないことに対して恐怖や不安を抱いてしまう。でも“最高”と“最悪”の両方を想定しておけば、どちらについても現実的に対処できます。

もし将来に不安を抱いている若手ビジネスマンがいたら、「まずは自分の可能性を認めてあげてほしい」と伝えたいですね。僕がライザップの事業を始めたのも、「人は変われる」と証明するためです。ダイエットにしろ、英会話やスポーツにしろ、人は本気になれば、いくらでも成長できる。ただし自分を変えるには、やはり「行動」が重要です。

僕だって、もともと自分に自信があったわけではありません。だから実力をつけるため、20代前半の頃は、同年代の友人たちが遊んだり眠ったりしている夜の間も、本を読みまくって猛勉強しました。社会に出た時、100人の中で1番になりたいなら、他の99人に勝る行動をしなくてはいけないと考えたからです。1番になりたいなら、1番になるための行動をする。夢を叶えたいなら、やるべきことは非常にシンプルです。

人生は一度しかありません。だから皆さんも自分の可能性を使い切って、悔いのない生き方をして欲しい。それが僕からのメッセージです。

取材・文/塚田有香 撮影/桑原美樹

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