転職 Vol.668

新卒2年目はプロとして通用する? 25歳データアナリストが転職への不安を払拭できた理由/クレディセゾン

教えて、等身大のキャリアヒストリー
初めての転職には不安がつきもの。そこで、転職を通じて自分が望むキャリアを掴み取ってきた20代会社員の姿をキャッチアップ! 皆、転職する上でどんな不安や悩みを乗り越えてきたのか……? 転職活動を始める前に、等身大のロールモデルを探してみよう!

新卒入社した会社で働くうちに、本当にやってみたい仕事が見えてくるのはごく自然なこと。株式会社クレディセゾンにデータアナリストとして転職した髙山青空(たかやま・せいこ)さんも、新卒入社した会社の業務と自分がやりたいことへのギャップを徐々に感じるようになった一人だ。

髙山さんは希望する仕事に携わるため転職を試みたものの、「本当に自分が他の会社で活躍できるんだろうか」と大きな不安を抱えていたという。彼女はどのように不安を打ち砕き、今のキャリアを掴みとったのだろうか? 入社3年目の、転職ストーリーに迫った。

クレディセゾン 高山さん

クレディセゾン 髙山青空さん

仕事内容は楽しい。それでも限界を感じ始めた、クライアントへの貢献範囲

大学で法学部に在籍していた髙山さんは、2016年に専攻とはかけ離れたデータ分析の会社へ入社した。

「大学4年生のときに、企業のデータ分析を行うベンチャー企業でインターンをして、分析の面白さに惹き込まれました。そのまま新卒でその会社に入り、データアナリストとして働くことになったんです。もともと数字に強かったわけではないので、仕事を覚えるまでは苦労しました。それでもデータに向き合う毎日は刺激的で、自主的に勉強してできることを増やしていきました」

主な業務内容は、マーケティングや広告の事業を行う会社が持つ顧客データや行動データを分析し、どんな傾向が見られるのか、そのデータをどう施策に落としていけばいいのかをアドバイスすること。単純な集計作業にとどまらず、データに基づいた数値シュミレーションの作成や分析関連のセミナー講師など、幅広い業務に携わった。新しい発見が多く楽しい仕事だと感じていたが、入社3年目になった頃から、「企業がデータ分析の結果を活用して、実績を出すまでの過程を見てみたい」という気持ちが芽生え始めたという。

「あくまで分析のアドバイスを行う会社だったので、できる仕事には限界がありました。分析をしてその結果を提供するところまでが、私たちの役割。その分析結果を実際にどう施策に落とし込み、現状を改善していくのかを決めるのは、お客さまの仕事なんです。そのため、提供した分析結果が施策に反映されないことも多くありました」

せっかく自分が行った仕事が施策に生かされないことに、歯がゆさを感じ始めた髙山さん。「分析結果を施策に落とし込み、自社サービスの改善につなげていくような仕事がしたい」と思うようになったが、それは当時の会社では実現できない。そこで、自社サービスを持つ事業会社への転職を考え始めたという。

新卒2年目で“データのプロ”と言えるのか?

クレディセゾン 髙山さん

転職を考え始めたものの、髙山さんは強い不安を抱いていた。それは、中途採用の人材に求められるスキルと、今の自分のスキルの間にギャップを感じていたからだ。

「当時いた会社に転職してきた中途採用の人たちは、皆周りと上手くコミュニケーションを取りながら、すぐに現場で活躍していた人ばかりでした。一方、私は新卒で採用されたので、いつも上司や先輩が助けてくれていたんです。即戦力が求められる中途入社者であれば、困ったことがあっても誰も助けてくれないのではないか。社会人経験が2年しかない自分は、プロとして扱われるであろう中途社員としてやっていけるのか。それがすごく不安でした」

キャリアアップのための転職に前向きな社風だったこともあり、転職経験のある職場の先輩や友人にアドバイスを求めるとともに、自身の不安を打ち明けた。考えが甘いと反対されるかと思いきや、誰もが親身になって話を聞き、励ましてくれたという。

「相談した人たちは皆、『あなたはこれまでこんな仕事もやってきたじゃない』、『忙しいベンチャー企業で2年も頑張ってこれたでしょう』と、私の今までの仕事を評価して、前向きに後押ししてくれたんです。それを聞いて、自分が2年間で実際に取り組んできた仕事を振り返ってみることにしました」

入社1年目ではサポート業務しかさせてもらえないという他社で働く同級生も多い中で、ベンチャー企業に入った髙山さんは1年目から現場で鍛え上げられたこと。入社2年目からは1人でクライアントの元へ行って分析の提案ができるまでに成長したこと。多忙な日々の中で、髙山さんは着実にスキルを身に付けてきたのだ。

「ベンチャー企業ゆえに忙しく、終電帰りもタクシーでの帰宅も珍しくない毎日でした。でも結果として、私は同年代よりも早いスピードで成長できていたんだと気付けたんです。そして、自分の能力や実績を一つ一つ再確認することで、自信をつけることができました」

意を決して挑んだ転職活動が、スムーズに進んだ理由

過去を振り返ることで自信が付き、転職を決意した髙山さんは、転職経験がある知人に薦められた転職エージェントに登録。業界や会社規模は問わず、「データを活用して新たなサービスを生み出そうとしているかどうか」を重視して求人を探した。

「自分の今までを振り返ってみて分かったのは、私ができるのは既に収集されたデータを生かすこと。お客さまに喜んでもらえるより良いサービス開発のために、収集・分析したデータをビジネスとして生かすことに取り組んでいる会社かどうかを見極めて、約10社に応募し、面接を受けました」

その中に、クレディセゾンがあった。クレジットカードだけを扱う企業だと思っていた髙山さんだったが、実は不動産などのファイナンスビジネスや広告ビジネスなど幅広い分野を展開していることが分かり、興味を持つようになったという。

「いろいろな分野のデータに触れて施策を実行できる楽しさがありそうだと思いました。そしてデータの整備はある程度進んでいるけれど、データ分析の担い手が少ないという話も聞いて。自分の裁量を持ちながら施策を実行したいと考えていたので、クレディセゾンであればデータ分析のメインメンバーとして活躍できるのではないかと思ったんです」

クレディセゾン 高山さん

データ分析の結果をサービスに生かすのは、まさに髙山さんがやりたいと考えていた仕事だ。これまでのキャリアをきちんと振り返ったからこそ、仕事探しの軸が定まり、面接もスムーズに進めることができたという。

「転職活動中は、自分にはどんな実務経験やスキルがあるのかを整理できていたので、面接でも問題なく自分の実績を伝えることができました。そして私のスキルを生かして、転職先では膨大な顧客データをあらゆる視点から分析し、結果に基づいた施策やサービスを実施していきたいという、自分の将来のビジョンについて話したんです。実績とスキルが認められるのと同時に熱意も伝わり、内定を得ることができました」

中途入社者は、孤独な存在なんかじゃない。

約2カ月間の転職活動を経て、2018年8月にクレディセゾンへ入社した髙山さん。転職前に感じていた中途採用に関する不安は、入社してすぐに解消されたという。

「中途入社者は決して孤独ではなかったんです。何か分からないことがあっても、思った以上に職場の皆さんが助けてくれたので、世間ってそんなにつらいものじゃないんだなと思いました(笑)。転職してすぐの頃は緊張もしていましたが、周りの人を頼ってもいいことが分かってからは、肩の力を抜いて仕事ができるようになりましたね」

クレディセゾン 髙山さん

現在メインで行っている業務の1つは、髙山さんが分析したクレジットカードの顧客データに基づき、あらゆる部署から集まったメンバーと施策を進めるもの。例えば「20代女性にはこんな購買傾向が見られる」と髙山さんが分析した後、CRM(カスタマー管理)を担当する部署と共にそれに沿った内容のメールマガジンを送るなど、施策に反映する。そうして施策を行なった結果をさらに分析し、PDCAサイクルを回していくのだ。まさに、「分析結果を自社サービスに生かせる」仕事で“分析の先”まで関わりたいという髙山さんの希望が叶った。

「分析結果をもとに、こんな施策をやってみたらと提案すると、いろんな部署の方が耳を傾けてくれます。そうやって試行錯誤して、次の一手を打てることがとても楽しいんです。前職より大幅に残業時間も減ったので、会社帰りに外部の勉強会にも参加できるようになり、新しい知識や技術を吸収することができています」

仕事の裁量や責任感も増し、転職して半年が経った今はますます仕事が楽しくなっているという。

「前職で培ったデータ分析のスキルが、転職先で自社サービスの改善に役立っていると思うと、自信もやりがいもどんどん大きくなって、もっと結果を出していきたいと思える。そんな良いサイクルが生まれていると感じますね。これからもっとデータアナリストとしてのスキルを身に付けて、いつかは、自社が持つ巨大なデータを活用した新しいビジネスなんかも、自分でつくってみたいです」

転職に大きな不安を感じながら、これまでの自分の取り組みを振り返ることで自信を付けた髙山さん。現在の仕事について楽しそうに語るその姿こそ、自分の理想のキャリアを歩み始めたことを物語っている。

<髙山さんの転職File>

転職時期:新卒入社3年目
利用ツール:転職エージェント
活動期間:1〜2カ月
応募企業数:10社
内定社数:3社(クレディセゾンに内定した時点で終了)
転職活動でやってよかったこと:今まで自分がやってきた仕事を一つ一つ丁寧に振り返る

取材・文/青野祐治 撮影・企画・編集/大室倫子(編集部)


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