転職 Vol.682

転職で大事なのは“職種”じゃない。27歳でフリーデザイナーからヤフーの営業に転身した女性が気付いた仕事の軸

教えて、等身大のキャリアヒストリー
初めての転職には不安がつきもの。そこで、転職を通じて自分が望むキャリアを掴み取ってきた20代会社員の姿をキャッチアップ! 皆、転職する上でどんな不安や悩みを乗り越えてきたのか……? 転職活動を始める前に、等身大のロールモデルを探してみよう!

転職時に職種にこだわる人は多い。しかし転職する上で本当に大事なのは「自分が仕事でどんなことを実現したいか」を、考えることではないだろうか。

今回登場する森本真由さんは、27歳でフリーランスのデザイナーからヤフー株式会社の広告事業の広告代理店向け営業職へと転身を遂げている。一見全く異なる職種への転身のように思えるが、森本さんは「私が仕事でどんなことを実現したいのか、その軸が変わっていないから、今もとても充実している」と話す。彼女はなぜ、“理想の転職”を叶えられたのだろうか?

ヤフー

ヤフー株式会社 森本真由さん

大学卒業後、2011年に広告代理店に入社。2年間デザイナーとして勤務した後に独立。約3年間フリーランスとして活動した後、16年にヤフーのマーケティングソリューションズ統括本部の広告代理店向け営業職として転職。YSA(Yahoo Japan Corporation Group Sales Award:ヤフーグループの営業プレゼン大会)では,100名以上のエントリーの中で2年連続のファイナリストに

一人でできることには、限界がある。
“良いチーム”を求めて辿りついた新境地

大学でデザインの勉強をし、新卒で企業ロゴやパンフレット作成を行う広告代理店のデザイナーとしてのキャリアをスタートした森本さん。だが2年後に就職先の業績低迷を理由に退社、フリーランスのデザイナーとして3年間活動していた。

このままフリーランスとしてデザイナーの道を極めるのかと思いきや、彼女が27歳の時に選んだ職種はヤフーのネット広告の営業職だった。なぜフリーランスから会社員に、そしてデザイナーから営業職にと転身を遂げたのだろう。

「フリーランスとして個人で働いていると、どうしても自分一人でできることに限界を感じてしまって。お客さまの話を聞いても、会社員時代と比べてお返しできることが少ない。それがすごくもどかしかったんです」

メインはデザイナーだとしても、フリーランスである以上、営業活動や事務処理も自分一人でしないといけない。全てを自分でこなすことの大変さを感じながら仕事を続けていくうちに、「自分にとっての仕事って、何をすることなんだろう」と自問自答するようになった。

「その時、私の仕事の原動力は『頑張っている人を応援したい』ということだと気付いたんです。世の中に本当に良いものを提供したいと思っている人や、一生懸命自分の仕事に取り組んでる人にはちゃんと成功してほしい。そういうところにモチベーションがあったので、私はデザイナーとしてその想いを形にしたり、企業への営業活動を通してお客さまの声を聞いて回ることが好きだったんだと改めて分かりました。でも、より多くの人を応援したいと思ったら、一人で進めるには無理がある。チームでやっていく必要があると思いました」

自分がどういう思いで仕事がしたいのかが明確になった森本さんは、「チームでお客さまに貢献できる仕事」を探すことに。そんな時、元ヤフー社員のブログを見つけたという。

「『前職のヤフーには、本当にいい人しかいなかった!』といった内容が書いてあったので、興味を持ったんです。読み進めてみると、ヤフーは『これを売ってこい!』と会社の利益ばかり求めるのではなく、自社・お客さまと一緒にチーム一丸となって課題解決を目指していく体制だということが分かりました。チーム全体のレベルも高くて、これが私の求める『良いチーム』なのではと思ったんです」

ヤフー

森本さんは早速、ヤフーの自社採用ページを検索。しかし募集していたのはデザイナーではなく、広告の営業職だった。そこで森本さんはデザイナーとしてのスキルがあったにも関わらず、未経験の営業職で面接に臨んだという。

「ヤフーの社風や、入社後の配属予定の部署の方針が『頑張っている人を応援したい』ということでした。一人ではなくチームとして働きたいこと、お客さまのために結果を残したいこと。そんな私の想いの全てがヤフーの方針と一致していました」

その志望動機には、デザイナー時代の経験も関係していた。

「私は会社員のときも、フリーランス時代も、お客さまの元に足を運び、直接声を聞くことが好きだったんです。デザイナーが直々にお客さまのところに出向くことは珍しいので、すごく喜んでもらえていました。クライアントの要望を事細かにヒアリングしたり、私がデザインしたロゴやパンフレットの反響を聞きに言ったり。自分の仕事がお客さまを喜ばせている、ということがとても嬉しかったんですよね。だから未経験の営業職だとしても、仕事への想いが会社と合致しているなら、そこで頑張ってみたいと思ったんです」

「他職種転職」は、自分にしかない強みを発揮するチャンス

未経験ではあったものの、「同じ方向を向いて、頑張っていけるなら」と営業職の選考を通過した森本さん。ヤフーに入社して約2年間、広告代理店向けの営業職として活躍している。「手に職」として活躍していたデザイナーとは違う職種だが、「『デザインのことも分かる営業』というのが自分の強みになっている」と、キャリアチェンジに後悔している様子は全くない。

「もともと『自分のアイデアでお客さまを応援したい』という気持ちでデザイナーをしていたので、あくまで手法が変わっただけだと思っていて『せっかくデザインスキルがあるのに生かさなくていいのか』という気持ちになったことはないし、むしろポジティブにキャリアアップができたと感じています。

それにヤフーでは業務に支障をきたさず、仕事に還元できるようなものであれば副業容認なんですよ。私も副業でデザイナーとしても活動していて、本業でお付き合いがある方からの依頼で会社のロゴマークやサイトを作ったこともありますよ」

一方で、未経験の営業職に転身して、苦労したことはなかったのだろうか。

「慣れないことはたくさんありました。特にWeb業界の営業は、デザイン一つ一つにこだわるのではなく、いくつかのデザインを用いて、高速でPDCAを回す姿勢が求められます。デザイナーの頃は『たくさんの制作物を作って運用する』という発想がなかったので、始めはそのスタイルに戸惑いました」

その後、業務にも少しずつ慣れ、今ではヤフーグループで優れた営業事例を選出して表彰するイベント『YSA(Yahoo Japan Corporation Group Sales Award)』で、100名以上のエントリーの中で2年連続のファイナリストに選ばれるまでに成長したという。ハイレベルな業務が求められる中で、どのようにして自身を成長させていったのだろう。

「結局はお客さまとチームに育てていただいたと感じています。どうやったら一番効果の良い広告が出せるのか、チームメンバーやクライアントと共にとことん考えさせてもらった。そのうちに自分のスタイルも掴めてきたんです。

また広告のデザイン知識があったことで、チームの中で意見が言いやすかったことも大きかったですね。お客さまからも「元デザイナーとしてどう思う?」と頼りにしてもらえました。自分にしかない強みを発揮できたので、『自分は未経験転職だから……』と恐縮することがなくって。これは他職種転職ならではのメリットだと思います」

自分の軸が分かってるなら、行動しないともったいない

ヤフー

転職して「毎日が楽しい」と語る森本さん。ヤフーに入社したことで、どのような良い変化が生まれたのだろう。

「チームで仕事がしたくてヤフーに入ったので、今はチームメンバーや上司と一緒にお客さまに役立つ仕事ができていることがとても嬉しくって。営業は3~4名と少人数のチームですが、皆で協力し合いながら仕事を進められること、お互いをリスペクトしながら寄り添っていけることで、まさに切磋琢磨できていると感じますね」

最後に、森本さんはヤフーへの転職活動を通して「自分の軸が分かったら、あとは行動あるのみ」と学んだと笑った。

「私、行動しない方が不安なんですよ。自分がやりたいことをやらなかったら機会損失だって思うし、もったいないじゃないですか。だから今、働き方や職種が変わっても『お客さまの役に立ちたい、応援したい』という思いは変わらないですし、それを実現するために行動すれば自分にとって必ずプラスの結果がついてくると分かった。『自分の軸は何なのか』をしっかり考えて行動できたから、後悔しない道を選んでこれているんだと思います。だからこれからも、『頑張っている人を応援したい』という気持ちをブラさずに、そして手段はこだわらずに、身近な人たちを後押しできる存在でありたいです」

森本さんの転職File

転職時期:社会人5年目(27歳)
活動期間:1カ月
応募企業数:1社
内定社数:1社
転職活動でやってよかったこと:自分が仕事で何を成し遂げたいのか、目的を明確にすること

取材・文/松永怜 撮影・編集/大室倫子(編集部)


RELATED POSTSあわせて読みたい


記事検索

サイトマップ