「Web業界で働きたい」20代元アパレル販売の女性が“経験ゼロ転職”を実現できたワケ
今回紹介するのは、社会人2年目のタイミングでエキサイト株式会社に転職し、同社の人事部で新卒の採用・育成を担当している野際結衣さん。
今でこそWeb業界で働いている彼女だが、最初のキャリアは、アパレル販売員。「経験を広げ、将来の選択肢を増やしたい」という思いから、Web業界に飛び込んだ。
アパレル販売員から、未経験のWeb業界へ。そこで営業職、そして人事へと転身した彼女は、どのようにして理想の転職を実現したのだろうか。
ありたい姿に近付く「ひとつ上」の転職を成功させた秘訣を聞いた。
・転職活動がうまくいかないときも「Web業界に転職する」という軸はぶらさなかった
・販売職の経験を生かせる営業職のポジションを選んだ
・面接では、「ユーザー視点」でサービス改善のアイデアを伝えた
・「できること」の範囲を限定せずに、チャレンジする気持ちで転職先を選んだ
転職のきっかけ:一つの道を極めるより、選択肢を広げたい
大学卒業後、アパレル販売員としてキャリアをスタートさせた野際さん。店頭に立ち、接客することに楽しさを感じていたという。
しかし、ECサイトの利用が拡大する中で、店舗に訪れて服を購入する人の数が減少。そこで感じたもどかしさが、Web業界に興味を持つきっかけになったと振り返る。
「お客さまが店頭販売からECサイトに流れてしまうことが結構あったんです。当時の私にとってはかなりショックでした。こんなに頑張って接客して、こんなに喜んでもらえたのに、なんでって……。
ただ、お客さまの立場に立つと『便利だから』というのは理解できます。そこで私も、お客さまのニーズにとことん応えてみたいと思い、Web業界の仕事に興味を持つようになりました」
また、転職を意識し出した当時は、販売員としてのキャリアにも悩んでいた時期だった。10年後、20年後も販売員として店頭に立ち続けている自分が「想像できなかった」と明かす。
「アパレル販売の仕事は好きで選んだ仕事だったから、悩みました。でも、ずっとこの業界にいていいのかな、と不安も感じていたんです」
就職するまでは、習い事や中高の部活動、大学生時代のアルバイトなど、ずっと一つのことを続けていたという野際さん。
アパレルの道を極めたいという気持ちもあったが、20代は吸収の時期と決め、さまざまなことを学べる環境へ身を移すことを決めた。
転職活動:「Web業界に入りたい」軸はぶらさなかった
いざ転職活動を始めてみると、選考がスムーズに進まず、苦戦したという。
「転職サイトに登録したり、転職エージェントとの面談を受けたりしながら、転職先を探してみたものの、なかなか思うようにはいきませんでした。異業種への転職は、こんなに難しいのかと思いましたね」
Web業界で「未経験OK」の会社、自分の視野を広げられる会社……その条件に当てはまる企業が、なかなか見つからなかった。
「転職エージェントにも足を運びましたが、希望に合う求人を紹介してもらえることは少なかったんです。でも、『Web業界で働きたい』という軸はぶらさず持ち続けていました」
Web業界というと、エンジニアやクリエーターなどの職種をイメージする人も多いかもしれないが、選考に苦戦した野際さんが選んだのは、営業職の仕事だった。
「業界は未経験でも、販売経験はある。だったら、そのスキルが生かせる営業職の仕事ならどうか、と考えたんです」
野際さんがWeb系企業の面接を受ける際に工夫していたのは、業界未経験の自分だからこそ思いつくサービス改善のアイデアを伝えることだった。また、toC向けのサービスを展開する企業の選考を受けるときには、サービスを使い、いちユーザーとして感じたことを語るようにしていたという。
「一般的な業界知識を身に付けることも必要なんですけど、正直そこだけだったら、もともとその業界で働いていたプロには敵わない。なので、あえてユーザー目線で『お客さまに対して、どう売るか』という視点を販売員の経験を生かして話すようにしていました。
ただ、人事として人材採用に携わるようになった今、『業界トレンドをもっとリサーチしておけばよかった』という反省もあります。自社のサービスだけでなく、競合企業のサービスや、業界全体のトレンドを抑えた上で自分の意見を話せていたらもっとよかったのにな、と思います」
選考が進んでいく中で、「行きたい」と強く思えたのは2社。そのうちの一つが現在働いているエキサイト株式会社だった。
「エキサイトは、メディア事業、ヘルスケア事業、ブロードバンド事業など幅広い事業を展開しているので、自分の視野を広げるようなあらゆるチャレンジができると感じました。また、面接等でお会いした人たちがとても親切だったので、未経験の私でも安心して働けそうだなと感じたんです」
野際さんは、面接で現在の上司となる人と話をした時に言われた言葉が、今も胸に残っているという。
「『君のことはちゃんと責任を持って育てる。でも、仕事は甘くないよ』ってはっきり言われたんです。こうやって言うと、厳しく聞こえちゃうかもしれないんですけど、包み隠さず伝えてくれたことが逆に印象的で、『信頼できる』と思ったんですよ。
実際、転職してからも『人に恵まれている』と感じることは多いです。自分の直感を信じて良かったなって思います」
転職後:現在地にとらわれない行動が転職を成功に導いた
業界も職種も未経験からのチャレンジ。いざ入社してみて、戸惑うことも多かったのでは? そんな疑問をぶつけると、予想外の答えが返ってきた。
「覚えることは多かったし、いつも必死でしたけど、戸惑うことはあまりなかったです。営業手法については、各営業担当に自由度高く任されている環境なので、自分の得意な方法を考えながら経験を積んでいけました。行き詰った時は、先輩たちがバックアップしてくれたので、不安もほとんどなかったですね」
「一つの分野に絞らず、いろいろなことを学んで自分の視野を広げたい」そんな目的を、転職によって叶えた野際さん。Web業界で働き始めて1年半が経った今、“ひとつ上”の転職を叶えられた理由を、次のように振り返る。
「Web業界で働きたいという気持ちはぶらさずに、自分が培ってきた接客経験を生かせる仕事を探し続けたことが、良かったポイントです。あとは、自分の可能性を自分で狭めなかったこと。初めての転職活動に不安は付き物なので、つい自分の“できること”の範囲で仕事を選んでしまいがちになってしまいます。
でも、『私には販売しかできない』『アパレルの知識しかない』と決めつけず、視野を広げて転職活動したことが今につながっていると思います」
野際さんの今後の目標は、人事としてのスキルを伸ばし、業務範囲を広げること。「今いる会社で、自分の可能性をますます広げていきたい」と希望たっぷりに語ってくれた。
取材・文/於ありさ 撮影/川松敬規(編集部)
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