世の中にニーズがあってこそ技術に価値が出る技術者にとっての発想力の大切さ
「技術者は技術のみに精通していれば良い」という考えは過去のもの。エンジニアにこそ、自分の技術がどう活かせるのかを発想できる能力が求められている。
そんな発想力の重要性、発想力を高めるための行動を、2人の識者に聞いた―。 【Word/MASARU YOSHIHARA(E-type) Photo/TETSUJI OSHIMA】2008年5月号より
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経歴
1969
小学1年生の時にソニーのラジカセに出会い技術者になろうと思う
1977
中学3年生でマイコンを知りプログラミングの面白さにハマる
1983
熊本大学を中退しキャリーラボに入社。日本語ワープロの開発に没頭
開発以外の仕事を覚えたいと考えロータスに転職(※1)
開発以外の仕事を覚えたいと考えロータスに転職(※1)
1987
表計算ソフト『ロータス1-2-3』の企画・マーケティングを担当
1998
日本初のXML専業ソフトウエア開発会社(※2)インフォテリアを設立
2002
データ連携を実現するためのミドルウエア『ASTERIA』を開発
【FUTURE】
世界中(※3)で使われるソフトウエア会社に成長していくことが目標
【FUTURE】
世界中(※3)で使われるソフトウエア会社に成長していくことが目標
※1 開発と営業の時間軸の違いを認識
何かを開発する側だけではなく、売る側のことも知りたいと考え、転職を決意。ロータスでマーケティングを担当することで、営業と開発との時間軸の違いを認識。さらに、投資家と組むことで、よりスピードとパワーを持った仕事ができるという経営手法を学ぶ
※2 今ではなく3年後を見据えるべき
まずは、異なるシステムをニュートラルな立場でつないでいくXMLという技術を知らしめなければならないというハードルがあった。ただし、顧客の今のニーズではなく3年後を見据えるべきという信念を持ち、パッケージ開発に先駆けて、XMLの周知に専念した
※3 技術力で世界市場の一翼を担う
日本は技術力では負けていないというのが持論。根本的なクオリティーにこだわることができるのは、日本人だからこそ。ソフトウエアが当たり前になった今、世界市場で細部へのこだわりが注目されるのはこれから。世界市場の一翼を担っていきたい
数年先を見越せる千里眼は
エンジニアならではの武器
エンジニアならではの武器
インフォテリア株式会社 代表取締役社長/CEO
平野 洋一郎 氏
平野 洋一郎 氏
「今は社長業に専念していますが、個人的には生涯エンジニアだと思っています。ただ、今では製品に触らせてもらえず、ちょっと寂しいんですけどね……」
そう苦笑する平野洋一郎氏は、かつて一世を風靡した日本語ワープロの開発者。平野氏のターニングポイントは、ロータスで経営の一端を知ったことだった。
「エンジニアとて売る側の事情も知っておかなければと思い、マーケティングの仕事に就きました。そこで学んだのは、投資家の役割。今必要なお金を稼ぐ営業と、数年先のヒットを見据えて開発をする技術者の間を埋めるのが、投資家のお金なんです。当時の米国のベンチャーは、皆それを実践していました」
そんな平野氏が、投資家と組んでビジネスを興したいと考え、設立したのがインフォテリア。設立当初より、当時はほとんど知られていなかったXMLにフォーカスし続け、2002年には、ミドルウエアの『ASTERIA』を世に送り出した。
「パッケージは、数年先を見越して開発します。今のニーズばかりを気にしていると、エッジの効いたものにはなりません。その点エンジニアは、雑音に惑わされず先を見越すことができます」
「社長業は、売上など“今”にまみれてしまうものだ」と話す平野氏は、製品方針などでCTOと意見が違ったときには、必ずCTOの意見を優先する。そんな平野氏だからこそ、世の中の若手エンジニアの千里眼に期待を寄せる。
「受託開発で忙しい人も、自分のちょっとしたアイデアでソフトを開発して公開してみるといい。それが、地球の裏側で大ヒットするかもしれません」
与えられたものに満足するのではなく、自らあれこれ手を出すことで発想力が鍛えられるのではないかと平野氏は語る。
そう苦笑する平野洋一郎氏は、かつて一世を風靡した日本語ワープロの開発者。平野氏のターニングポイントは、ロータスで経営の一端を知ったことだった。
「エンジニアとて売る側の事情も知っておかなければと思い、マーケティングの仕事に就きました。そこで学んだのは、投資家の役割。今必要なお金を稼ぐ営業と、数年先のヒットを見据えて開発をする技術者の間を埋めるのが、投資家のお金なんです。当時の米国のベンチャーは、皆それを実践していました」
そんな平野氏が、投資家と組んでビジネスを興したいと考え、設立したのがインフォテリア。設立当初より、当時はほとんど知られていなかったXMLにフォーカスし続け、2002年には、ミドルウエアの『ASTERIA』を世に送り出した。
「パッケージは、数年先を見越して開発します。今のニーズばかりを気にしていると、エッジの効いたものにはなりません。その点エンジニアは、雑音に惑わされず先を見越すことができます」
「社長業は、売上など“今”にまみれてしまうものだ」と話す平野氏は、製品方針などでCTOと意見が違ったときには、必ずCTOの意見を優先する。そんな平野氏だからこそ、世の中の若手エンジニアの千里眼に期待を寄せる。
「受託開発で忙しい人も、自分のちょっとしたアイデアでソフトを開発して公開してみるといい。それが、地球の裏側で大ヒットするかもしれません」
与えられたものに満足するのではなく、自らあれこれ手を出すことで発想力が鍛えられるのではないかと平野氏は語る。
【私が妄想する新サービス】
時間を増やせるアイテム
経営者として忙しい日々を過ごしていると、時間だけは絶対に買い足せないということをひしひしと感じます。だから、「時間が増やせるアイテム」があるといいですね。例えば「どこでもドア」とか(笑)。海外出張のフライト時間がもどかしいなと思うことが多いので、行きたいときにすぐに移動できるアイテムがあったら、ぜひ手に入れたいです。ただ、「過去に戻れるタイムマシン」は違うと感じますね。過去に戻って何かをするという後ろ向きな考え方は好きではありません。一瞬一瞬の“本番感”を大切にしたいと考えています。
経営者として忙しい日々を過ごしていると、時間だけは絶対に買い足せないということをひしひしと感じます。だから、「時間が増やせるアイテム」があるといいですね。例えば「どこでもドア」とか(笑)。海外出張のフライト時間がもどかしいなと思うことが多いので、行きたいときにすぐに移動できるアイテムがあったら、ぜひ手に入れたいです。ただ、「過去に戻れるタイムマシン」は違うと感じますね。過去に戻って何かをするという後ろ向きな考え方は好きではありません。一瞬一瞬の“本番感”を大切にしたいと考えています。