世の中にニーズがあってこそ技術に価値が出る技術者にとっての発想力の大切さ
| 「技術者は技術のみに精通していれば良い」という考えは過去のもの。エンジニアにこそ、自分の技術がどう活かせるのかを発想できる能力が求められている。
そんな発想力の重要性、発想力を高めるための行動を、2人の識者に聞いた―。 【Word／MASARU YOSHIHARA（E-type） Photo／TETSUJI OSHIMA】2008年5月号より
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経歴
1994
国立福井高等専門学校・電子情報工学科に入学。このころに、「万人に使ってもらえるモノを作りたい」という思いを抱く
画像処理の精度を競う全国高等専門学校プログラミングコンテストで準優勝
画像処理の精度を競う全国高等専門学校プログラミングコンテストで準優勝
1997
アルバイト先でJavaアプレットを使った地図表示ソフトを開発。イベント出展後に市販される
1999
同校を卒業。契約社員を続けながら起業の機会をうかがう
2000
高専の先輩に誘われ起業に参画。（※1）ケータイの将来性を感じ、ケータイに特化したアプリケーションの開発を始める
自ら起業し、携帯電話のパケット代が半額になる『半パケ』を開発
自ら起業し、携帯電話のパケット代が半額になる『半パケ』を開発
2003
3社目の起業でjig.jpを設立。エンドユーザー向けの技術開発に専念
2004
携帯電話でPCサイトが閲覧できる『jigブラウザ』を開発。（※2）累計ユーザー数100万人以上の大ヒット
【FUTURE】
福井県を日本のシリコンバレーに（※3）したいと構想中
【FUTURE】
福井県を日本のシリコンバレーに（※3）したいと構想中
※1 責任を持つ起業を選択
卒業後には研究職、フリーのPG、起業という3つの選択肢があった。起業すれば、フリーPGと違って好きなものを作れるだけでなく、集中できる環境でイチ早く製品を世の中に出すことができる。最終的なアウトプットが「紙（論文）」の研究職には魅力を感じなかった
※2 jigブラウザ誕生秘話
「パソコンの画面をケータイで見られるようになれば……」と、福野氏は福井へ戻る途中の東海道新幹線の車内で思いつく。その場でプログラミングして試し、プロトタイプを作成。コア部分の試作開発は、乗り換え駅の米原に着くまでの2時間で実質的には終わっていた
※3 地元・福井へのこだわり
人が生活する上で必要と感じるもの（＝開発のヒント）は、東京も福井も大差はない。むしろ通勤が楽で、自然に恵まれ、静かで落ち着いた環境の方が開発の生産性は高まる。また地元の福井なら、行政、学校、他業種を巻き込んだ大がかりな取り組みも可能になる
万人に使ってもらいたいとの思いから
将来性高いケータイ特化のサービスを
将来性高いケータイ特化のサービスを
株式会社jig.jp 代表取締役社長CEO
福野恭介 氏
福野恭介 氏
「ケータイなら皆に身近で、世界を広げていけると感じたんです」
携帯電話に特化したアプリケーション開発を手掛けるjig.jp。現在29歳、代表取締役社長CEOの福野泰介氏が同社を立ち上げた原点はそこにある。
福野氏の「新しい技術・サービスを開発し続け、より多くの人の暮らしを便利で快適にしたい」という信念は一貫しており、起業にこだわるのにも理由がある。
「人がイメージできるもので実現できないものはなく、問題は実現に要する“時間”です。仲間を募って早く開発するには、会社という形態が最適なのです」
以前は、技術開発ベンチャーに属しながら顧客企業からの受託開発がメインになってしまったこともあり、jig.jpではユーザーに直接サービス提供するBtoCビジネスに方向転換。各携帯キャリアが始めたパケット定額制をチャンスととらえ、携帯ユーザーが情報量の多いPCサイトを早く、安く、快適に閲覧できる『jigブラウザ』を開発した。jigブラウザは携帯電話でPCサイトが見られるアプリケーション。携帯電話の画面に合わせて表示する「ケータイモード」や、全体を縮小表示させる「縮小モード」など、表示モードの切り替えも可能だ。
「jigブラウザを使うユーザーの仕事時間が短縮され、情報収集効率が上がれば、好きなことや自己実現のための時間が増えます。ゆとり創出は豊かな社会の実現につながります。革新的なアプリケーション開発を通じて、世の中を変えることが当社の使命だと思っています」
また福野氏は、jig.jpを「エンジニアが楽しく働け、高い生産性を保ちながらも健康で開発し続けられる会社に」という思いを持つ。持続可能な組織づくりの工夫も欠かさないことが福野氏の身上だ。
携帯電話に特化したアプリケーション開発を手掛けるjig.jp。現在29歳、代表取締役社長CEOの福野泰介氏が同社を立ち上げた原点はそこにある。
福野氏の「新しい技術・サービスを開発し続け、より多くの人の暮らしを便利で快適にしたい」という信念は一貫しており、起業にこだわるのにも理由がある。
「人がイメージできるもので実現できないものはなく、問題は実現に要する“時間”です。仲間を募って早く開発するには、会社という形態が最適なのです」
以前は、技術開発ベンチャーに属しながら顧客企業からの受託開発がメインになってしまったこともあり、jig.jpではユーザーに直接サービス提供するBtoCビジネスに方向転換。各携帯キャリアが始めたパケット定額制をチャンスととらえ、携帯ユーザーが情報量の多いPCサイトを早く、安く、快適に閲覧できる『jigブラウザ』を開発した。jigブラウザは携帯電話でPCサイトが見られるアプリケーション。携帯電話の画面に合わせて表示する「ケータイモード」や、全体を縮小表示させる「縮小モード」など、表示モードの切り替えも可能だ。
「jigブラウザを使うユーザーの仕事時間が短縮され、情報収集効率が上がれば、好きなことや自己実現のための時間が増えます。ゆとり創出は豊かな社会の実現につながります。革新的なアプリケーション開発を通じて、世の中を変えることが当社の使命だと思っています」
また福野氏は、jig.jpを「エンジニアが楽しく働け、高い生産性を保ちながらも健康で開発し続けられる会社に」という思いを持つ。持続可能な組織づくりの工夫も欠かさないことが福野氏の身上だ。
【私が妄想する新サービス】
指輪を使った忘れ物防止システム
僕は忘れ物が多い。忘れ物をするのがわかっているから、なるべく自分の荷物を減らしているくらい（笑）。先日の米国出張でも、ホテルに携帯電話を忘れたまま仕事に出掛けてしまったんです。その時に思いついたのが、ICチップと指輪を活用した「忘れ物防止システム」。シール状のICチップを大事なものに貼り付けておきます。すると、自分と一定以上離れた時点で、身に着けている指輪がアラームで報せてくれるというもの。指輪は多くの人が肌身離さず身に着けるものですよね。メーカーさんに実現してくれないか提案中です（笑）
僕は忘れ物が多い。忘れ物をするのがわかっているから、なるべく自分の荷物を減らしているくらい（笑）。先日の米国出張でも、ホテルに携帯電話を忘れたまま仕事に出掛けてしまったんです。その時に思いついたのが、ICチップと指輪を活用した「忘れ物防止システム」。シール状のICチップを大事なものに貼り付けておきます。すると、自分と一定以上離れた時点で、身に着けている指輪がアラームで報せてくれるというもの。指輪は多くの人が肌身離さず身に着けるものですよね。メーカーさんに実現してくれないか提案中です（笑）
