エンジニアからの質問に各社代表がスッキリ回答ITベンチャーの会社自慢!
将来有望なITベンチャー企業6社が語る、自慢のわが社。「確かに面白そうな仕事ができそうだけど、ベンチャーってちょっと不安……」。
そんなITエンジニアの声を代表して、各社代表に疑問をぶつけてきました。イマドキのITベンチャーの表と裏を知って、企業の本質を見抜く力を養おう!
Word/MAYUMI ASAKURA.KOJI URANO Photo/MAKOTO OSAWA.TETSUJI OSHIMA.HIROAKI SHIBATA
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最新の研究施設を利用して映像技術の未来を切り拓く
ここ数年、邦画の興行成績が好調だ。その一つの要因が、映像のデジタル化。フィルムに比べて安価で撮影できるため、若手監督の作品が次々と世に出ている。そんな映像に関する技術開発に携わり、先進的な画像処理技術を提供しているのがエム・ソフトだ。例えば、雑踏の映像から人物だけを消したり加えたりすることができる『Quietude』など、画期的なソフトウエアを発表している。
ソフトウエアの受託開発をメイン事業とする同社は早稲田大学大学院と連携し、本庄キャンパス内にあるデジタル映像の撮影やポストプロダクションの作業を行うことができる『早稲田大学芸術・科学センター』への技術開発も手掛けている。そのメリットについて、M・SOFT早稲田大学ラボの所長、片岡宏仁氏は次のように語る。
「芸術・科学センターにはハリウッドと同等のマシンが備わっています。エンジニアにとってはかなり面白い“おもちゃ”だと思いますよ(笑)。また、第一線で活躍している映像技術者と交流できるのは、ここでしか得られない経験です。さらに、修士課程や博士課程の“学生”というリソースを利用できるのも、大きな利点だと考えています」
実際、早稲田大学大学院の学生をインターンシップやアルバイト生として迎え、社員との協業を行っている。片岡氏は、「学生の意見がヒントとなり、技術開発に活かされたこともある」と話す。
「例えば、当社の『Quietude』は、ブルーバック処理の逆をすれば人が消えるのではないかという学生の発想から生まれたもの。学生にとってはビジネス現場に触れることができ、当社にとっては学生らしいユニークな意見を取り入れることができるという関係を築けています」
将来的にはハリウッド進出も視野に入れているというエム・ソフト。映画産業の一翼を担う企業として、世界に認められる存在を目指している。
Koji Kataoka
株式会社エム・ソフト
M・SOFT早稲田大学ラボ 所長
1993年にエム・ソフトに入社。前職の広告制作会社で約7年間、プランニングやデザインを経験した幅広い業務知識を活かし、PG、SEとして活躍。2005年に早稲田大学客員研究員として迎えられ、早稲田大学ラボを創設
大学の研究室のような和気あいあいとした開発チーム。早稲田大学ラボでは3名が活躍中
やはり社員はプロフェッショナル。製品化の壁を越えられるのは、社員です
確かに我々は、大学院の学生たちの柔軟な発想にヒントを得た製品を開発しています。ただし、学生はプロのエンジニアではない。製品化に至る難しいフェーズは、経験を積んだプロでないと解決できません。つまり、そこが正社員の腕の見せどころなんです。あくまでも社員にとって、学生や大学の良い部分から刺激を受けられることが、ラボで開発に携わるメリットだと考えています