IT系の話題で今年もっとも注目されているのは「ウエアラブル」というワードではないでしょうか。
「ウエアラブル(wearable)端末」とは文字通り、「身に着けられる」電子デバイスのこと。服や腕時計のように身につけて使います。ウエアラブルという言葉は、マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボが最初に提唱したといわれています。
腕時計型端末に引き続き、メガネ型端末も
スマートフォン業界を二分しているのは、ご存知の通り米Googleが開発したOS「Android」搭載端末と、米Appleが開発した「iPhone」です。
ウエアラブル端末の発表で先行したのはAndroid陣営です。韓国のサムスン電子が、Android搭載の腕時計型端末「Gear」を発売しました。日本でのデビューは2013年10月。発売から2か月で80万個出荷したと発表されました。ソニーも、スマートフォン「Xperia」と連動した腕時計型端末「SmartWatch」や、リストバンド型端末の「SmartBand」などを発表しています。
さらに、Googleが開発し2014年後半にリリース予定の「Google Glass」や、2014年9月に開発試作機を国内で初披露したソニーの「SmartEyeglass」など、腕時計型に引き続き、メガネ型のウエアラブル端末も注目を集めそうです。
ついに登場、待望のApple製ウエアラブル端末「Apple Watch」
そして、ウエアラブル端末でも話題をさらっているのは、やはりAppleです。2014年9月9日に行われた米Appleのスペシャルイベントで、次期iPhoneとともに、待望のApple製ウエアラブル端末「Apple Watch」が登場しました。
今回発表されたのは、「Apple Watch」と「Apple Watch Sport」、「Apple Watch Edition」という3つのデザイン違いのモデル。Apple Watchには、iPhoneと連携したさまざまな機能が搭載されています。例えば、iPhoneに届いたメッセージをApple Watchで表示して、定型文や絵文字、音声入力で返信できます。SiriもApple Watchから利用できるほか、地図を使ったナビ、Passbook、iPhoneの音楽コントロール、Apple TVやパソコン上のiTunesのコントロール、iPhoneのカメラリモコン、ストップウォッチやタイマー、アラーム、世界時計、株価や天気などのアプリも搭載。また、心拍数や運動強度のチェックなど、フィットネス機能も充実しています。
「ウエアラブル端末はファッションである」というAppleからのメッセージ
Apple Watchの発売にあたり、Appleが強く打ち出しているメッセージは、「ウエアラブル端末はファッションである」ということ。これまでのApple製品は、最初の段階でのデザイン展開は最小限に絞り込み、そこからバージョンアップしていくのが定石でした。しかし今回のApple Watchでは、最初からデザイン違いの3ラインを発表し、さらにベルトの付け替えでデザインを変えられることなどを強調しています。
また、Appleはウエアラブル端末の販売に先駆けて、2013年から2014年にかけてイヴ・サンローランやバーバリーなどの有名ファッションブランドや、スイスの高級腕時計タグホイヤーなどから、幹部を次々にスカウト。先日の発表会にも、「ヴォーグ」などファッション誌の編集者を招待していました。ここからも、「ファッションアイテム」としてのApple Watchを強く打ち出していることがわかります。
ITデバイスはデザインも要素のひとつでしたが、ここまでファッションアイテムとしてのデザイン性を意識した製品はこれまでなかったのではないでしょうか。「ファッション×IT」という新しい市場の創造にむけて、Appleはまたひとつ扉を開けたと言えるかもしれません。