Delphi(デルファイ)は、Borland が提供するプログラム開発ツール。Windows向けのアプリケーションが開発できる総合開発環境です。Borlandは1983年にソフトウエアの開発、販売会社として設立。その後社名変更や買収を繰り返し、2008年にDelphiやInterBaseなどを扱っていた部門「CodeGear」をエンバカデロ・テクノロジーズ売却しました。
そのエンバカデロ・テクノロジーズは1993年に設立されたソフトウエア開発、データベース関連のソフトウエアや販売を行う独立系ツールベンダーで、本社はアメリカのカリフォルニア州サンフランシスコにあります。
開発会社の度重なる変更で迷走したり質が低下したりと、一時期は低迷していましたが、熱心なファンに支えられて、最近では往年の実力を取り戻しているといわれています。
Oracleデータベースのアプリケーション開発システムとして登場
どうしてDelphiという名になったのか? それはoracleのデータベースサーバーのフロントエンドとして当初は開発していました。ギリシャに存在した古代都市「Delphoi(デルポイ)」とは太陽神・アポロンが神託(Oracle)を行った場所のことで、「Oracleデータベースのアプリケーションが開発しやすい」ということからその名がつけられたといわれています。
それまで、Windows向けのビジュアル開発ツールでしたが、2011年9月にリリースされた新しいバージョンの「XE2 」は、MAC OS Xへのクロス開発がサポートされました。開発環境はWindowsのまま、MAC OS X上で動作するネイティブアプリをはじめ、iPhone、iPad向けのiOSアプリの開発が可能になったのです。
また、Delphi言語は、Pascal言語にオブジェクト指向の考え方を加えて拡張したもので、以前はObject Pascalと呼ばれていたものです。
ビジュアル的、開発環境の草分け
Delphiには多数のコンポーネント(部品)が用意されています。マウスによるドラッグ&ドロップ操作によって、そうしたボタンや入力ボックスなどといった画面構成要素を組み合わせることで開発を行います。ボタンが押されたときの処理はイベントとして対応します。データベースの利用ですら、「データベース対応のユーザーインターフェースコンポーネント」を利用して手軽に処理できます。
このように、Delphiでは開発作業の一部をグラフィックス表示とマウス操作で行うことができ、ビジュアル的な開発環境の草分け的存在として知られています。
テキスト環境によるプログラミングが主流だった1995年当時、コンポーネントによるビジュアル的な開発環境を提供して、多くの人に衝撃を与えました。その操作性から、「イメージとしてはC言語とVB(Visual Basic)を足して割った感じ」という人も。Visual C++などの他のソフトウエア開発製品に比べコンパイルが抜群に速いこと、コーディングをせずとも手軽にプログラミングができることが利点として挙げられる反面、ビジュアル的ゆえに開発環境が重くなりがちなのが欠点といわれます。