Swiftは、米アップルの年次カンファレンスである2014年の「Worldwide Developers Conference」(WWDC)で発表された新しいプログラミング言語です。2010年にアップルの開発者ツール責任者であるChris Lattner氏によって開発が始められ、その後アップル社内での4年の開発期間を経て発表されました。
Swift は、iOSとMac向けのアプリケーションを開発するための言語ですが、その一方で、これまでアップル製品のOS上で動作するアプリケーションの開発に以前から用いられていたObjective-CやObjective-C++などのC言語と共存することも意図されています。
「モダン、安全、高速、インタラクティブ」が特徴
アップルは、Swiftの発表に際して「モダン、安全、高速、インタラクティブ」を大きな特徴として挙げていました。Swiftはとくに、アップルのCocoaおよびCocoa Touchフレームワーク向けに設計されています。より高速でコーディングしやすい単一言語として、従来主要言語として活躍してきたObjective-CおよびPython言語に代わり、重要な位置を占めることを目指しています。
アップルによると、とくにSwiftで作ったアプリケーションは、「すばやさ」の面で優れたパフォーマンスを発揮するといいます。例えば、Swiftの深さ優先探索アルゴリズムを使って1つのグラフ内で10,000個の整数を検索した場合、Objective-Cよりも最大2.6倍、Python 2.7よりも最大8.4倍高速だとしています。ほかに、Pythonと比較して複雑なオブジェクトの並べ替えはObjective-Cの3.9倍、RC4暗号化は220倍高速だといいます。
Pythonのようなスクリプティング言語は記述しやすく、テストしやすいという特徴から、アプリケーション開発によく使われますが、とりわけパワフルでもなく、実行効率が高いともいえません。一方で、Objective-Cのような以前からあるプログラミング言語は学習が難しく、習得しにくいという面があります。Swiftはこれらの言語の良い面を併せ持つまったく新しい言語といえます。
アップルはSwiftの人気をさらに高めるため、発表から1年後の2015年のWWDCで、Swiftをオープンソース化すると発表しました。アップルはOpen Source Initiative(OSI)承認のpermissive(許容的)ライセンスに基づいて、コンパイラと標準ライブラリを含むSwiftのソースコードを公開する予定です。アップルは自社のOS X、iOSだけではなく、Linux向けのSwiftのポートも提供します。既にSwiftは、米国の教育機関などでプログラミングの授業に取り入れられています。
アップル製品のモバイル開発には必須に
世界的に有名なあるプログラマーは、「アップル製品のモバイル開発をやりたいと思うなら、当然ながらアップルが提供するものを使用すべきだ」とまで述べ、Swiftの登場を歓迎しています。
これからアップル製品のモバイル開発者を目指す方にとって、Swiftは必須の言語になること間違いなしでしょう。