12回転職経験を持つエキスパート
楽天証券株式会社
経済研究所 客員研究員
山崎 元さん
百戦錬磨のキャリアアドバイザー
代表取締役 キャリアコンサルタント
高野 秀敏さん
離婚問題のプロカウンセラー
岡野あつこの離婚相談救急隊 専属カウンセラー
相馬 かな江さん
キャリアを潰す危険な会社を見極めるポイントについて聞いてきたところ、全員に共通する意見だったのが、会社を選ぶ前にまずは自分のキャリアの方向性を腹に落とすこと。そこで、キャリア構築のプロフェッショナルに、思い描いたキャリアを実現するための、ブレない自分軸≠フ立て方について聞いてみた。
12回の転職を経てキャリアアップしてきた楽天証券の山崎元氏は、自身の経験を振り返り、次のようにアドバイスする。
「私の場合、市場価値を上げていくこと≠絶対に譲れない自分の軸として転職先を選んできました。ですから軸は変わらずとも、年代ごとに転職先の条件は変わっていったんです。例えば、20代は仕事を覚える時期と決めて、給与が下がったとしても、仕事内容を優先させました。30代は、身に付けたものをアウトプットできる場を意識。そして、40代にして初めて、自らのライフスタイルを考えた転職を経験。フリーランスとしての活動も始めたため、その両立が可能な職場を選んだんです」
mismatch case 1 収入への不満から転職して大失敗!
仕事にやりがいはありましたが、収入が不満で実力主義のベンチャーへ転職。ところが一度のミスから経営者ににらまれ、年俸が激減。居心地も悪いし、もう辞めたい…。
(インターネット事業/営業/28歳)
「収入を上げたい人は、現職での昇給を狙うべきで、転職しない方が安全」と話す高野氏。その上で、「ミスはあって当たり前。絶対取り返してやる!という意気込みが欲しい。収入が減ってもマインドまで下げる必要はないでしょ」(高野氏)。山崎氏は自身の経験を振り返り、「社長と合わないというのは、ベンチャーではよくある話」と一喝。「個人としての商品価値が上がっていれば、決して失敗とはいえません」とエールを送る。相馬さんは、「お金は人生の手段に過ぎません。数字の裏付けとなる人柄(=会社の本当の姿)を見ましょう」と助言する。
mismatch case 2 制度に惹かれて転職したらカラクリが
前職の先輩に熱心に誘われ、転職を決意。ところが転職先の先輩の評判が良ろしくなく、周りから遠巻きにされている状態で、仕事がやりにくいんです。 (流通業 /社内SE /33歳)
「残業は必ずあるもの。それでも、好きで面白い仕事だったら耐えられるものです。残業を残業だと思った時点で会社選びに失敗しています」と高野氏。事前に内実を知るのは難しいが、「正社員が極端に少ない企業は、仕事のしわ寄せが来る可能性があることは当たり前」(山崎氏)、「紹介会社なら企業の実情を把握している場合もありますから、第三者に聞くことをお勧めしますね」(高野氏)。結局のところ、「要領良く仕事をする技を覚え、上手にサボりましょう」という山崎氏のアドバイスが、最も現実的なようだ。
mismatch case 3 ツテ入社したら仕事がやりにくくて……
前職の先輩に熱心に誘われ、転職を決意。ところが転職先の先輩の評判が良ろしくなく、周りから遠巻きにされている状態で、仕事がやりにくいんです。
(流通業 /社内SE /33歳)
「この人の場合、もう少し紹介者の働きぶりをリサーチするべきでしたね。先に転職した人が、居づらさを解消するためや、勢力を増強するために後輩や部下を唆す例はよくあることです。ただし人脈は持っていて損はないので、渡った橋を燃やさないように、うまく立ち回る必要がありそうです」と山崎氏。
mismatch case 4 やりがいを求めたら過労に!
前職は仕事が細分化されていたので、個人に裁量権がある企業へ転職。ところがふたを開けてみれば、連日の深夜残業。このままでは過労で倒れてしまします。
(サービス業/総務/32歳)
「労働時間についての質問は常識でしょ。聞かない方が悪い。ただ自分にとってのハードワークが何時間以上の残業を指すのか、基準を明確にしておくべき」と高野氏。さらに山崎氏は、「一度過労で倒れたフリをして、自分の将来をこの機会にじっくりと考えてみては?」とアドバイス。
mismatch case 5 夢だった仕事への転職で早速挫折!
提案型営業を3年経験し、業績もトップクラスでした。夢だった外資系ファームに転身したんですが、1年経っても社風に馴染めず、実力が発揮できません。
(外資/戦略系コンサル/27歳)
「外資への転職(=国際結婚)に向いていない人は、ポリシーが強過ぎる人。文化の違いへの対応に柔軟性を発揮できないと悲劇を招きます」と相馬さん。また「ファームでは、負け組になった途端に、仕事がつまらなくなる。真中よりも上の位置に行けるような会社を選ぶべき」と高野氏。
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