勝てる人の生態
腰が低い
「まずは相手の要求を聞いてから」というスタンスを取る人が多い。物腰が柔らかいので、最初は人から侮られることもあるが、それは自信に裏打ちされた余裕の表れ
雰囲気作りに長けている
一見、交渉上手は我が強く、大袈裟なパフォーマンスをするのでは、と思われがちだが、一流のネゴシエーターはいたって穏やか。場の雰囲気作りに長けている
本質は頑固
交渉上手は、柔和な人が多いが、もちろんやさしいだけではない。本質は頑固といっても過言ではない。相手に譲歩すると見せかけて、自分の利益は必ずもぎ取る
仕切りが上手い
交渉事はタイミングが重要。間合いが悪いと、上手くまとまるものもまとまらない。最強のネゴシエーターは、どこで何をいうべきかプランニングしてその場を仕切る
負ける人の生態
すぐに群れる
交渉時におどおどした態度はNGだ。しかし自信が持てない交渉下手はすぐ態度に表れる。普段も1人で何かすることに躊躇し、群れたがる習性がある
八方美人
外はソフトで中身はハードという交渉上手とは違い、外も中もソフトなのが交渉下手。人と対立するのが怖いので、常に調子のいい事をいう
せっかち
交渉上手は相手に譲歩したとしても、自分の利益を取ることを忘れない。しかし交渉下手は、話をまとめることに夢中になって、相手の要求全てに応えようとする
空気が読めない
交渉下手の最大の特徴は、場の空気が読めないこと。自分のペースに巻き込もうとするあまり、相手に考える余地を全く与えず、譲歩が引き出せない
複数の交渉カードが勝利につながるカギとなる
有限会社エヌアールアイ・ジェイ 代表取締役社長
観音寺一蒿さん
英国PMMSコンサルティング・グループが提唱し、世界60カ国で実績のある交渉技術のプログラムを、ライセンス契約により日本マーケットで展開
「交渉は、自分にも相手にとっても満足のいく条件で妥結し、その後も良好な関係を保つことが重要です。そのためには、人には温かく、ビジネスには厳しくという『Warm&Tough』な姿勢で臨むべき。これは、転職活動における面接にも十分応用できます」と語るのは、世界60カ国で実践されている交渉理論を紹介する『戦略的交渉力』の著者、観音寺一蒿氏。
ビジネスでは、買い手に力があるため、彼らは「Cool&Tough」、つまり人間的には「冷たく」ビジネス的には「厳しく」なりがち。一方、売り手は「Warm&Easy」、つまり、人間的には「温かく」ビジネス的には「寛容」になる。この構図は、そのまま面接官(買い手)と応募者(売り手)に当てはまる。応募者は、面接官に気に入られることを考えて、給与やポストなどの条件については遠慮してしまう傾向がある。しかし、「Warm&Tough」な交渉者は違う。相手の好感を得る接し方で、かつ、利益や価値については容易に譲らない。こうしたアプローチは、面接を有利に進める上で必要だと観音寺氏はいう。
「交渉成果は事前準備(プランニング)で決まります。プランニングとは、複数の『交渉カード』を用意すること。例えば転職者の交渉カードは、『給与』の他にも『希望のキャリアプラン』、『勤務地』など色々あるはず。さらに、最高目標と最低ライン、その間の努力目標を定めます。こうした事前準備をすれば、『この条件は譲ってもいいから、代わりにこっちを要求しよう』というシナリオを描いてから交渉に臨めるはずです」
目標とシナリオを明確に描いた者だけが、交渉の勝者になれるのだ。