厚生労働省ではハローワークにおける有効求人倍率など一般職業状況を毎月公表しています。有効求人倍率は求職者一人あたりに何件の求人があるかを示すもので、経済指標のひとつとして知られています。求人倍率が1.0より高いと仕事を探している人より求人の数が多いことを表します。平成24年9月の有効求人倍率は0.81倍。
仮に今、職を失いハローワークにお世話になることがあっても、求職者よりも求人数が少ないということです。この数字だけを見ると厳しく感じますが、東京ハローワークではさらに細かく、職種別の求人倍率も発表しています。
グラフ:厚生労働省一般職業紹介状況 求人、求職及び求人倍率の推移
職種により求人倍率が大幅に変化
東京ハローワークが発表した平成24年9月の職種別求人倍率を見ると非常に興味深い結果が表れます。東京都全体の有効求人倍率は0.90倍とやはり求職者数より求人件数が少なくなっていますが、職種によってはかなりの倍率を示します。(参考資料:各種情報 | 東京ハローワーク)
もっとも倍率が高いのは『保安の職業』でその倍率は4.91倍。警備員の他に救急救命士など資格を必要とするものもありますが、この数字を見ると『保安の職業』では他の職業と比べ、採用される可能性が高いと言えます。その他にも求人倍率が1.0を超える職種も数多くあります。逆に最も倍率が低いのは『事務的職業』の0.27倍。何故ここまで倍率に差が出てしまうのか。その理由も別の資料を見ると理解ができます。
欲しい金額に満たない求人しかない?
東京ハローワークは平成24年9月の職種別求人・求職賃金状況という資料も同時に発表しています。これは職種別の求人賃金と、求職者が求める賃金がまとめられているものです。例えば4.91倍の『保安の職業』を求める求職者は平均20万7760円の賃金を希望しています。これに対して求人賃金は20万1360~17万4899円。求職者の希望金額に達していない求人しかないという現状があるのです。
昨今厳しいといわれる求人倍率1.37倍の『販売の職業』でも希望賃金27万3739円のところ26万7279~19万6326円の求人しかないという状況。その職種で働きたくても満足する賃金が得られないのです。(参考資料:各種情報 | 東京ハローワーク)
賃金アップで人不足の解消を!!
逆に『建設・採掘の職業』は希望賃金24万9720円に対して33万1599~21万3312円と幅はありますが、希望賃金を上回る求人もあります。人が集まらなければ賃金を上げて集めようというのが資本主義の原則。人不足を叫ぶ職種も賃金を見直すことによって人不足を解消し、求職者も満足できるようになるのです。