転職先の新しい判断材料は「風通し」?

決め手の一番はやっぱり「おカネ」!?プロ野球は秋季キャンプも終わり、「ストーブリーグ」の時期に入りました。選手の契約更改交渉の模様、あるいはフリーエージェント(FA)宣言をした選手たちの動静がスポーツメディアで報じられています。

コミュニケーション

決め手の一番はやっぱり『おカネ』!?

プロ野球は秋季キャンプも終わり、『ストーブリーグ』の時期に入りました。選手の契約更改交渉の模様、あるいはフリーエージェント(FA)宣言をした選手たちの動静がスポーツメディアで報じられています。かつて、FA宣言をしたスター選手が「一番お金を出してくれたチームに行く」と公言して物議を醸したこともありますが、プロスポーツの世界は、来年の保障がないわけですから、その言葉は一面の真理をとらえていると思います。

一般のビジネスパーソンの転職に置き換えても、賃金は重要な要素です。もし、あなたが会社に億単位の利益をもたらす働きをしたというのに年収が600万円だとします。同じだけの利益をたたき出した同業他社の同世代のライバルが1000万円をもらっていると知った時、心穏やかでいられる人は少ないでしょう。

キャリアデザインセンターが25~34歳の若手ビジネスパーソンを対象に『現在の勤務先への満足度』を尋ねた意識調査では、『給与・賃金』に対する不満度は過去5年間のいずれも最多でした。同じ調査で、「今後転職先を検討する場合、次の項目をどの程度重視しますか」と尋ねたところ『給与・賃金待遇』は、「重視する」「やや重視する」を合わせた回答が85%に達しました。

グラフ:キャリアデザインレポート2012 今後転職先を検討する場合、次の項目をどの程度重視しますか

今後転職先を検討する場合、次の項目をどの程度重視しますか

『お金』プラス『ひと』『社風』の時代に…

確かに転職で待遇が良くなれば、今の職場を離れる理由になりますよね。実際、『給与・賃金待遇』、『仕事の内容』、『勤務条件』の3項目について、07年までの調査をさかのぼってみても、すべての項目の中で特に高い傾向にあります。特に30代に入ると、家庭を持ち、子育てや家のローンに悩んでいる方も多いでしょう。08年にリーマンショックがあって、その後の転職志向に変化をもたらす部分もありますが、景気の良し悪しに関わらず、『お金』の問題が大きいことに変わりはありません。

その一方で、『働いている人が魅力的』や『社風、会社の雰囲気』にも注目したいところです。11年の調査では、その2項目について「重視する」「やや重視する」と答えた人は合わせて8割台に達しましたし、近年は高い数字を挙げています。景気悪化で雇用情勢も厳しい状況が続いていますから、転職先でミスマッチがあって再転職を図るにも容易ではありません。そうしたリスクを真剣に考えている証しとも言えます。

『チームワーク』を重視

結局、『働いている人が魅力的』や『社風、会社の雰囲気』といった項目は、チームで仕事がしやすいかどうかの判断材料と言えます。だからこそ、自分が新しいチームにスムーズに入れるような「風通し」の良さの有無、一緒に仕事をしたくなる人がいるかどうか、を考慮するわけです。経団連が10年7月に発表した『中小企業を支える人材の確保・定着・育成に関する報告書』では、ミスマッチ防止として「社風や職場の雰囲気など入社後の情報を積極的に知らせていくことは重要」と指摘し、従業員同士が褒め合う制度を導入している企業の事例などを紹介しています。働く側も雇う側も、お金以外の要素も積極的に考える時代になっています。


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