『お金』を取るか、『仕事の内容』を取るか…。アメリカ大リーグで活躍するイチロー選手が出した答えは『仕事の内容』でした。
イチロー選手は今季、不調にあえいでいました。シアトル・マリナーズに在籍中の打率は自己最低の.214。しかし7月にニューヨーク・ヤンキースに移籍すると一変。移籍以降の打率は.322と大幅に上昇し、ヤンキースの地区優勝に貢献しました。
そしてオフシーズン。イチロー選手の移籍先に注目が集まりました。ヤンキースをはじめいくつかの球団からオファーを得ていましたが、来季もヤンキースに残留すると、日刊スポーツが報じました。
ヤンキースがイチロー選手に提示した年俸は2年1300万ドル(約10億4000万円)。一方でフィラデルフィア・フィリーズは2年1400万ドル(約11億2000万円)、今季優勝のサンフランシスコ・ジャイアンツは2年1500万ドル(約12億円)という条件を提示していました。
ヤンキースは今季、惜しくもプレーオフでデトロイト・タイガースに敗れ、ワールドシリーズ出場はなりませんでした。しかし、イチロー選手はタイガースに敗れた試合後に「本来持っている気持ちを思い出させてもらった。この場所には感謝しかない」と語っていました。イチロー選手はマリナーズからヤンキースへ移籍する際、試合への出場は保証しないという条件を飲んでいます。その中でチーム内での競争に勝ち、試合に出場し、活躍もしました。野球に取り組む気持ちを取り戻したヤンキースで優勝のために働きたい、という気持ちがあったことが、高額オファーを蹴った要因だったのです。
転職の際には、あなたの『夢』も考えよう!
ではビジネスパーソンが転職する際、重要視する項目は何でしょうか。キャリアデザインセンターが25~34歳の若手ビジネスパーソンを対象に行った意識調査(キャリアデザインレポート2012 転職先を決める際に、最も重要だと思う要素はどれですか)によると、転職の際に最も重要な要素は、37.1%の人が『給与・賃金待遇』だと答えています。
グラフ:キャリアデザインレポート2012 転職先を決める際に、最も重要だと思う要素はどれですか
2011年の結果と比較すると、『給与・賃金待遇』と『勤務条件』が増加し、『仕事の内容』が減少傾向にあります。特に『勤務条件』は前年より5%も増加しています。これは震災の影響により、家族との時間を増やしたいという人が増加したということが伺えます。また昨今の不況から、賃金を増やしたいという人が増えたということも頷けます。
しかし『仕事の内容』を重視することは、イチロー選手のように、自らのレベルアップにつながることも事実です。
イチロー選手は『お金』よりも『仕事の内容』を選びました。そしてそれは、ワールドシリーズ制覇という『夢』につながるのです。転職の際にはあなた自身の持っている仕事上での『夢』も考える必要があるのではないでしょうか。