サッカーJリーグ2部に所属する湘南ベルマーレが、最終節にJ1昇格を果たしました。選手平均年齢23.52歳と若いチームを率いたのは、曹貴裁(チョウ・キジェ)監督。今季初めてJリーグのチームを率いることになった新人監督でした。この新人監督の選手への接し方などからは、上司と部下の理想の関係が見られます。
話し、理解させ、練習させる
曹監督は現役引退後ドイツに2年間留学し、帰国後は川崎フロンターレなどのユースチームの指導に当たっていました。そして2005年から4年間は湘南ベルマーレのユースチームを率いて、若手の指導に当たっています。
その指導方法は今季トップチームの監督になっても変わっていません。それは『選手と話し、理解させ、練習させる』ことです。湘南ベルマーレの練習場では選手と監督が1対1で、座り込んで話しているシーンが幾度となく見られました。トップチームのベテランと言われる選手にも、若手と同じように話し込むのです。部下の能力を引き出しつつ信頼も得る。この会話によって監督と選手の絆が深まります。そしてもうひとつは選手起用にあります。
全員を戦力だと感じさせる起用法
チームスポーツの場合『一丸となって』とよく言われますが、実際に試合に出る人数は限られています。しかし今季開幕戦時に所属した27選手は、全員公式戦に出場しました。曹監督は開幕当初から勝ったからといってメンバーは固定しない、練習を見てメンバーを決めると公言し、それを実行してきました。選手たちは自分を見てくれていることを感じ取れ、試合に出れば頑張ろうという気になります。
逆に試合で結果を出したのに外された選手は釈然としないはず。そういった選手には何故メンバーから外れたのかといった理由をしっかりと話し、理解させていたのです。一人ひとりをしっかり見て会話することにより監督のために、そしてチームのためにと全員が一丸となったのが今季の湘南ベルマーレでした。
絆を深め、優秀な『チーム』に
あなたが何人かの部下をかかえていた場合、その全員と面と向かっていろいろ話ができていますか? しっかりと見てあげていますか? 重要な仕事を優秀な部下だけにやらせていませんか? 部下と話し、理解させ、仕事をしてもらう。こういったことの積み上げが優秀なチームを作り上げていくのです。
湘南ベルマーレがJ1昇格を決めたあと、選手たちは口々にこう言いました。「曹監督を胴上げしたかった」選手が監督を信頼し、監督と同じ目標を達成したいと思わせる。日々の対話が生んだ『絆』が、この快挙を成し遂げたのかもしれません。