MM総研が2012年度上半期の携帯電話出荷台数を発表しました。総出荷台数は前年同期比1.0%増の2049万台。すでに携帯電話契約数は1億2700万を数え市場は飽和状態にあるにもかかわらず、2011年下期から3期連続で2000万台を超えたことになりました。この数字を支えているのは、もちろん今爆発的に増えているスマートフォン。総出荷台数の実に69.4%がスマートフォンでした。(参考資料:2012年度上半期の携帯電話出荷台数)
わずか3年で半数を超えたスマートフォン
MM総研では2009年度よりスマートフォンの出荷台数も調査しています。スマートフォンの代表格と言えるAppleのiPhoneが最初に国内で発売されたのは『iPhone 3G』で2008年7月。以降Androidスマートフォンの登場などによりにわかに注目を集め始めたのが2009年です。
それでも2009年度は総出荷台数3444万台に対して234万台。わずか6.8%でした。それが2010年度には22.7%、2011年度には半数を超え56.6%。この爆発的な増加にはキャリア側の思惑も見え隠れします。
収入源の確保のため?
2012年3月期にNTTドコモとauは、データ通信収入が音声通信収入を上回ったと発表しました。本来携帯電話は『電話』をするもので、音声通信が収入の主になっていました。それがデータ通信回線の高速・大容量化により、より多くのデータを端末でやり取りすることが可能になりました。そこで生まれたのがスマートフォンです。
従来の携帯電話(フィーチャーフォン)より大きな画面でインターネットを楽しんだり、様々なアプリケーションをインストールしてより便利な使い方をしていく。そしていつしか『Skype』のような、PCなどのネット回線を使った音声通話サービスがスマートフォンにも対応しはじめました。これらがパケット定額サービス内で使えるのであれば、音声通話料をわざわざ払ってまで通話はしなくなってしまいます。
またTwitterや Facebookなどで簡単なやり取りも行えるようになれば、わざわざ会話をする必要もなくなります。キャリアにとっては主と考えられていた音声収入が減ってしまうのは必然。そこでフィーチャーフォンより一人当たりの平均利用料金が高いスマートフォンを大量に投入し、収入形態を変えようとしました。
携帯電話とスマートフォンは約3000円の違いが!
IDC Japanの調査によるとスマートフォンユーザー1人当たりの平均利用料金は5730円。フィーチャーフォンユーザーの平均利用料金2717円より約3000円高いという結果がでてます。
スマートフォンの利用料金が高い要因は、フィーチャーフォンはデータ通信量が少ないフィーチャーフォン用サイトを閲覧するのに対し、スマートフォンはPCと同様のフルブラウザを利用するためデータ通信量が膨大になるためです。
今後、スマートフォンを大量に市場に投入し収益を上げようとするキャリアの思惑どおりに進むのか、注目です。(参考資料:国内ビジネスモビリティ市場予測)