面接、交渉、プレゼン、スピーチ――。ビジネスシーンでは緊張する場面がたくさんあります。ある調査でも、多くのビジネスパーソンが上記の場面において「緊張する」と答えていました。
緊張すると上手く話せなくなったり赤面したりして、本来の能力が発揮できなくなりがちです。このような身体的症状を“あがり症”などと言いますが、皆さんのなかにも覚えがあるという人がいるのではないでしょうか? こちらでは、あがり症のメカニズムと対処法についてご紹介します。
あがり症は病気? あがり症と緊張の違い
あがり症と緊張はよく混同されますが、厳密に言えば大きく異なるものです。まず緊張の場合、生活のなかで誰もが経験する状態であり、たとえば、試験や面接の際にドキドキしてしまうのは当然のことだとされます。表情、行動などに支障が出ることもさほどありません。
一方であがり症の場合、過度の緊張状態になり、あらゆることに支障が出てしまいます。これがあがり症と緊張の違いです。
あがり症は、覚醒および興奮を引き起こすノルアドレナリンという神経伝達物質が過剰に分泌されることが原因だとされています。その結果、自律神経である交感神経が刺激され続け、汗をかきすぎたり、めまいがしたり、腹痛をともなう吐き気がしたりするのです。
また、症状にもいくつかの種類があります。例としては、人と話すときにストレスを感じる「対人恐怖症」、緊張をともなうと顔が火照ってしまう「赤面症」などです。もしこのような症状に心当たりがあれば、単なる緊張ではない可能性があります。
あがり症や緊張への対処法
あがり症や緊張は、きちんとした対処法をとれば克服することができます。
はじめにこれら症状について、「異常なことだ」という考えを捨ててください。先述したように緊張は誰でも感じるものであり、あがり症もその延長線上にあるものでしかありません。こういった新しい視点を持つことで、いつでも冷静な判断ができるようになります。
そして緊張しない方法には、「リフレーミング」という技法を用います。ある物事に対する価値観をはずし、新たな枠組みを身につける方法です。実は、先ほどの考え方の転換はリフレーミングのひとつだったりします。
さらなる緊張をほぐす方法は、ストレスや不安が襲ってきたときに、客観的な視点から自分を見つめなおすことです。誰かが今の自分を見ていると仮定し、その誰かに「緊張は当然なこと。リラックスすれば大丈夫」と語りかけてもらうのです。そうすれば多少なりとも落ち着きを取り戻すことができるでしょう。
あがり症は薬でも治せる?
あがり症や緊張の度合いが強ければ、薬が有効なケースもあります。さまざまな方法を実践したにもかかわらず改善の兆候が見られないときは、一度試してみるとよいでしょう。
症状の治療でよく用いられるのは「SSRI」です。セロトニンという人の不安をおさえる物質に働きかけ、体内でのセロトニン減少を防いでくれます。効果を感じられるのは服用開始2週間~2カ月だとされます。
また「ベンゾジアゼピン系抗不安薬」も症状には効果的です。緊張、不安、恐怖といった要素を軽減させる働きをしてくれるので、あらゆるビジネスシーンに活用できるでしょう。
ただ、薬の入手および使用にあたっては、あらかじめ注意点をおさえておくべきです。ひとつは、市販薬ではないことです。ドラッグストアで市販されているものではなく、精神科などの医療機関にて受診する必要がありますので、医師の指導のもとでしか入手はできません。
もうひとつは、多用は禁物だということです。あくまで薬なので、過剰摂取は副作用を招きます。用法・用量をきちんと守り、安全性を保った上での使用を心がけてください。
起きていた失敗を減らすことができますので、ぜひ参考にしてみてください。