更新日2018.05.17

ビジネス会話の基本を学んでベストな対応! できる社会人の会話術とは

ビジネスシーンでの言葉使いはとても重要ですよね。間違った日本語を使っていると社内での信用を失ってしまったり、意図していたことが間違って伝わってしまうなど、トラブルの原因にもなりかねません。逆にビジネス会話の基礎を学んで正しい日本語を使えれば上司や取引先ともスムーズな会話ができるようになり、あなたのビジネスライフをもっと円滑に進めることができるでしょう。できる社会人とは、いったいどんな会話術を駆使しているのでしょうか? 今回は、普段から一緒に仕事をする社内の人たちとの関係を良好にするためのテクニックを、いくつかのシチュエーションに分けて紹介していきます!

ビジネス会話の基本

ビジネス会話の基本は、伝えたい内容を正確かつ簡潔に伝えることです。コミュニケーションや意思疎通がメインである日常会話に比べ、ビジネス会話では要点や意図がしっかりとまとまっていることが大事。「結局何が伝えたかったの?」と言われてしまっては、ビジネスを前に進めることはできませんよね。また、仕事でやりとりする相手はお友達ではありません。きちんとした敬語を使うことや、マナーを守ることもビジネス会話の大前提です。

ビジネス会話のポイント

ビジネス上での会話で意識すべきポイントを以下にまとめてみました。

■6W2Hを意識して話す

ビジネスシーンでは人物が多数登場するシーンも多いため、会話の基本である5W1Hに加え、「Whom=誰に」を明確にしておくことが大切です。また、「How much=いくらで」を意識することもビジネスの現場においては重要な要素です。

■結論から話す

上司に何かを報告する際には結論から話すことで、伝えたい内容がミスなくスムーズに伝わります。結論を伝えたあとで、その結論に至った経緯や、今後の動きなどについて補足するとスムーズです。

■明るいトーンではきはきと

会話中、低く小さな声でぼそぼそ話していては相手に暗い印象を与えてしまいます。普段よりも少し明るいトーンで、声を前に飛ばすことを心がけるとよいでしょう。また、言葉の語尾までしっかりと発声することで、自信のある印象を持ってもらうこともできます。

■適度なスピードで話す

相手に伝えたいことがあるからといって、早口でまくしたてるのはNG。相手が聞き取りやすいスピードを意識して、きちんと一言一言を発声するのがポイントです。

言い間違い注意! 使ってしまいがちな重複表現はどれ?

重複表現とは、同じ意味の言葉重ねてしまうこと。特に意味を強調したい時などにあえて使うことはテクニックとしてありますが、基本的な会話の中では使わないほうが良いとされている表現です。具体的な例を、クイズで見ていきましょう。

よく聞く次の3つの言葉、重複表現なのはどれ?

① 最後の切り札
② ダントツの一位
③ 過半数を超える

▼答え
①②③すべて重複表現です!

言葉遣いを重視する人は案外多いもの。差別用語はもちろん、ふさわしくない表現や重複表現は知っておきましょう。その他の間違いやすい重複表現として「被害を被る」「思いがけないハプニング」「射程距離」「お身体をご自愛ください」「挙式を挙げる」「収入が入る」「すべて一任する」などがあります。

ほかにも、以下のような重複表現を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。「つい使ってしまう重複表現ランキング」を元に、ビジネスシーンで登場頻度の高い重複表現をピックアップしてみました。
ランキング参照元:gooランキング「つい使ってしまう重複表現ランキング

■返事を返す

違和感を抱かない人も多いようですが、「返事を返す」は重複表現のひとつです。「返事をする」や「返事がくる」という言葉で代用することができます。「先方に返事をした?」など、社内でほかの人と進捗を共有する場面も多いと思いますので、覚えておいて損はないでしょう。

■思いがけないハプニング

「ハプニング」という言葉の中には、すでに「思いがけないもの」という意味合いが込められているので、重複表現となります。ビジネスにトラブルはつきもの。そういった場面でも正しい日本語を使えるくらい冷静にいたいものですね。

■過半数を超える

会議などで何かを決定する時、最終的には多数決で決めることはビジネスシーンでよくありますよね。しかしそういった場面では注意が必要。「過半数」という言葉の中に、「半数を超えている」という意味が込められています。「過半数を超えたので●●案に決定します!」といった表現を使っていては、上司から注意されてしまうかもしれません。

■最後の切り札

切り札とはトランプのゲームなどにおいて、最も強い札のこと。転じて、「とっておき」や「最後の手段」といった意味があります。ビジネスシーンでは目標を達成するためにさまざまな施策を行いますよね。そんな中で、「私達の最後の切り札はこれです」という表現ではカッコつきませんね。

ビジネス会話で使える基本フレーズ

ビジネスの現場では、取引先との挨拶や上司への報告など、特定のシーンでよく使われる基本フレーズがたくさんあります。ここではシーン別に分けて、使える基本フレーズを紹介していきます。

【目上の人への報告編】

・結論から申し上げますと?
・承知いたしました。
・(これで)いかがでしょうか。/よろしいでしょうか。

【謝罪編】

・申し訳ございません。
・失礼いたしました。
・ご迷惑をおかけしました。

【クッション表現編】

・もしよろしければ?
・恐れ入りますが?
・恐縮ですが?

【メール編】

・いつもお世話になっております。
・お疲れ様です。
・何卒宜しくお願いいたします。

それでは、次に具体的なシチュエーションでの会話についてみていきましょう。

ヘコんだ後輩、掛けるべき一言は?

後輩が上司に注意されて落ち込んでいる……なんて声をかける?

① オレも昔、同じことで叱られたことがあるよ
② 上司の言うことを、いちいち気にしなくていいよ
③ 叱られるってことは、期待されていることの裏返しだよ

▼答え
③ 叱られるってことは、期待されていることの裏返しだよ

同調もNGではありませんが、マイナスのオウム返しばかりでは、単調でネガティブなコミュニケーションになってしまいます。身につけると良いのは、マイナスにプラスで返す「ポジティブ変換」。ただ慰めるのではなく、ネガティブの裏側にある良い点を見つけて提示してあげるのです。パターンが限られているのですぐに上達しますよ。

上記の回答では、上司からの叱責を受けた後輩に対して、「それってこういう見方もできるよね」と、視点を変えて受け取ることでダメージを軽減させることがポイントでした。また、後輩を励ます方法はほかにもいろいろありますので以下に紹介していきます。

【共感する】

後輩自身が、上司の言うことをもっともだと理解しつつも、どうしてもヘコんでしまっているようであれば、あなたが後輩に共感してあげるだけでも助けになります。「そうだね、悲しかったね」「いつも頑張っているもんな」など、具体的なアドバイスをするのではなく、聞き役に徹してあげましょう。

【別のところを褒める】

上司には叱られてしまいましたが、後輩には良いところもあるはず。話題をすり替えながら「そういえばあの時の資料はすごくわかりやすかったよ」や、「こういった仕事をしてくれてすごく助かった」など、褒めることで後輩のネガティブな気持ちを中和してあげましょう。

【具体的なアドバイスをする】

後輩の気持ちや、なぜ注意されてしまったのかをきちんと理解しているのであれば、具体的なアドバイスをするのもありです。「たぶん、ここでこうしてみれば、次はもっとうまくいくんじゃないかな」など、同じミスを繰り返さないためのサポートをしてあげましょう。

「会社を辞めたい…」そんな後輩にかける場面別の言葉とは

続いては、会社を辞めてしまいたいと悩んでいる後輩に対してかける言葉を考えてみましょう。会社を辞めたいと言われた時に投げ掛ける最適な言葉はどれでしょうか?

① 「辞めるなら、応援するよ
② 「辞めて、どうなりたいの?」
③ 「辞めるなんて、バカなことを言うなよ」

▼答え
② 「辞めて、どうなりたいの?」

こちらの考えを押し付けるのではなく、自らの意志で正しい選択をしてもらうためのサポート役になりましょう。意志決定のために必要なのが、まず目標・目的の明確化です。次に現状を分析し、選択肢をいくつか考えた上で、最終的な意志決定を能動的に行ってもらう。後輩が感情に流されないように、正しい判断をサポートしましょう。

上記の回答では、思いつめてしまっている後輩に対して、冷静になるきっかけを与えるのがポイントでした。他にも以下のポイントに注意して声をかけることで、後輩に落ち着いてもらえるかもしれません。

【原因を後輩と一緒に探る】

まずは会社を辞める理由を一緒に考えてあげることで、新たな解決策が見つかるかもしれません。「どうして会社を辞めなきゃいけないのか、一緒にもう一度考えてみない?」と尋ねてみましょう。

【まずは元気づける】

転職はその人の人生でも大きなライフイベントのひとつです。「会社を辞める」という決断をするからには後輩にはよほど悩みがあったはず。辞めるか辞めないかの判断をする前に、まずは後輩を元気づけることで、気持ちが前向きになり、もう一度頑張ろうという気持ちになってくれるかもしれません。まずは「悩んでいることに気付かなくてごめん」と、声をかけてあげましょう。

【自分の気持ちを伝える】

もしあなたが後輩は会社辞めるべきではないと感じていても、後輩の意思が固い場合は、理論立てて会社に残ることを説得しても相手の決断を変えさせるのは難しいケースがありあります。そういった場合にはシンプルに「俺はもっとおまえと一緒に働いていたいけどね」と、あなたの感情を使えることで話を聞く姿勢になってもらえるかもしれません。

理不尽に怒られた時の対処法

続いては、自分に起こりうるシチュエーションで、ビジネス会話を考えてみましょう。ビジネスマンを続けていると、時には理不尽に怒られてしまうこともありますよね。思わず反論したくなりますが、どのような回答をするのが正解なのでしょうか。

上司に言われた通りに仕事をしたら「違う!」と怒られた……第一声に最適なのは?

① 「どこが違うか具体的に教えて頂けますか」
② 「違ったんですね。申し訳ありません」
③ 「おっしゃった通りにやったつもりですが」

▼答え
② 「違ったんですね。申し訳ありません」

コミュニケーションはキャッチボールだと思ってください。受け取ったボールを全然別の角度から豪速球で投げ返せば、人間関係はこじれてしまいます。上から下に飛んで来た言葉には、まずは下から上へと、矢印が平行になるように返すことがポイントです。言い訳や不満を伝える際には、一旦平行に返しておいてから、こちらの意見を述べましょう。

上記のポイントは、まず怒っている上司に対して謝罪をし、その怒りを自分がしっかりと受け止めていると相手に伝えること。そうすることで上司も一旦冷静に返り、その後の話がしやすくなります。また、謝罪と一緒に以下のような行動を取るのも、上司の怒りゲージを下げるのには効果的です。

メモを取る

指摘を受けた内容についてメモを取ることで、上司はあなたに対して「反省しているんだな」という印象を持ちやすくなります。

具体的に謝罪する

上司の怒りを受け止めたあとに、「●●●して、申し訳ございませんでした」と、何について怒られているのかを復唱することで、怒られている内容について、あなたがきちんと理解しているんだということを伝えられます。

「私」を主語にする

どうしてそういった行動を取ったのか説明するよう言われた際には、「私は」を主語にするようにしましょう。「●●さんがこう言っていたので」と答えてしまうと、上司の目には責任転嫁をしているように映ってしまうかもしれません。「私は」を主語にすることで、事態をきちんと受け止めているという誠意を見せることができます。

上司からの飲みの誘いを断る有効な方法

業務以外のやりとりでも、ビジネス会話に気をつけなければいけないシーンがあります。例えば上司から飲みに誘われ、どうしても気が進まない時、あなたはどう断りますか?

苦手な上司に飲みに誘われた……どうしても断りたい時、どうする?

① 端的にキッパリと断る
② いきなり断らず、自分の置かれている状況を説明する
③ できるだけ遠回しに断る

▼答え
② いきなり断らず、自分の置かれている状況を説明する

ただ嫌だから断るというだけでは、相手に納得してもらうことは難しくなります。DESC話法を活用しましょう。DESCとは、描写(Describe)・表現(Express)・提案(Suggest)・選択(Choose)の頭文字です。自分の置かれている状況を伝え(D)、共感してもらったところで、飲みに行くことに対する問題点を提示し(E)、その他の選択肢を提案し(S)、上司自らに選んでもらう(C)。これで、人間関係がギクシャクすることを防げます。やり取りの中で、反応を見ながら共感性を大切にすることを忘れずに!

上記の回答のポイントは、「それなら仕方ない」と思ってもらうこと。そうすればその後の関係がギクシャクすることはありません。

また、飲み会の断り方について、良い例と悪い例をそれぞれいくつか見ていきましょう。

【良い例】

■先約があると伝える
事前に約束があれば、それを無理に断ってまで飲み会に参加させようという気はおきません。誘われた際には「とても参加したいのですが先約があって……」と答えるのが良いでしょう。

■体調がよくないことを伝える
会社の飲み会は、あくまで日頃の仕事をきちんとこなしてこそ楽しめます。「今日は少し体調が良くなくて」と言われれば、次の日の仕事に支障をきたさないためにも、すんなり諦めてくれるでしょう。

■家族に早く帰ると言ってしまったことを伝える
既婚者であれば、家族が家で待っていることを伝えるのも有効です。「今日は家族サービスをする約束になっていまして……」と伝えてみましょう。「毎週金曜日は子どもの相手をしている」など、普段から公言しておくと効果的かもしれません。

【悪い例】

■あやふやに答える
「行けたら行きます」は一番NGな回答です。回答を後回しにしている時点で「来る気がないんだな」と捉えられてしまうかもしれません。結局直前で断るようなことを続けていると信頼を失ってしまうかもしれないので気をつけましょう。

■忙しいことを理由にする
飲み会の誘いが当日だった場合は、「どうしても時間に間に合わせたい仕事があるので」など、今日は難しいという旨を伝えてきちんと断りましょう。ですが、事前に予定されていたにも関わらず、忙しくなってしまったことを理由に直前でキャンセルするのはNGです。

■飲み会が好きではないことを理由にする
飲み会が好きか嫌いかは人それぞれですが、せっかく上司が声を掛けてくれたのであれば、「残念ながら行けません」というニュアンスを伝えることが大切です。

飲み会に参加するにせよ、不参加にせよ、「お誘いいただきありがとうございます」という気持ちを伝えることが大事。さらに「私もご一緒したい気持ちです」ということが伝われば、たとえ断っても相手を不快にすることはないでしょう。

まとめ:ビジネス会話はわかりやすく丁寧に

これまで見てきたように、ビジネス会話ではそのシチュエーションによって、何を優先して伝えるか、またどのような対応をするかが変わってきます。ただ楽しくお話ができればいい、といった日常のコミュニケーションとは少し目的が違いますよね。ビジネス会話を使いこなすには、その場をきちんと判断することも大切です。

最後に、あらゆるシーンで共通していえる、ビジネス会話のポイントをまとめてみましたので、チェックしてみてください。

・誤解のないようにはっきりと伝える
・相手を不快にさせない言い回しをする
・相手の言っている内容を一度きちんと受け入れる

誰が相手でもきちんとキャッチボールできるスマートな会話術を身に付けて、ひとつ上のビジネスマンを目指してみてはいかがでしょうか?

「連載:ビジネス豆知識を1分で解説! 知っ得クイズ」では、ビジネス会話や敬語の豆知識からテクニックまでたくさん紹介しています。ぜひ動画もチェックしてみてください。

【連載】ビジネス豆知識を1分で解説! 知っ得クイズ

知っているとちょっと得するビジネス豆知識をシーン別に3択問題形式でご紹介していく【知っ得クイズ】。現役キャリアアドバイザーやコミュニケーション・プロデューサー、元CAなどマナーのプロたちが、明日から仕えるナレッジをワンポイントアドバイス! 周りと一歩差をつけたいビジネスマンは必見です!

  • 【クイズ監修者】

    夏川立也さん(コミュニケーション・プロデューサー)

    大学在学中から落語家桂三枝(現・六代目桂文枝)に弟子入り。芸能活動の傍ら、起業家・社団法人豊中青年会議所 第37代理事長等としても活躍。“実践理論 パワー・コミュニケーション術”を開発し、現在も全国各地で講演中

※このコンテンツは、2018年にtypeメンバーズパークに掲載された動画を新たに記事化したものです。

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