| 同じ自動車業界のなかで、仕事を発注するのが完成車メーカー、仕事を受注するのがサプライヤーという認識がまず必要だろう。サプライヤーの業務では、完成車メーカーから求められる仕様、納期、コストに合わせて、製品を技術的に作り込むのがもっとも大きなミッションになる。完成車メーカーのエンジニアがシステム志向だとすれば、サプライヤーのエンジニアはデバイス志向という言い方もできる。 ただし、サプライヤーと呼ばれるメーカーにも、部品単体を開発しているメーカーと、部品の組み合わせでアセンブリ製品を提供しているメーカーがある。たとえば、ギアは単体部品だが、カーナビゲーションは1つの製品だ。どちらを選択するかで、エンジニアに任される仕事内容が変わってくる。転職先候補を選ぶ際には、製品や技術への興味だけでなく、実際に任される業務領域に注目しておきたい。一般的には、技術領域という意味では専門的だが、製品として仕上げるという意味では幅広い業務が任されるサプライヤーが多い。 その意味で、技術力にはある一定レベル以上のものが求められる。業界全体として金型設計や生産技術、ソフトウエア技術へのニーズは強いが、サプライヤー業界も同様。こうした技術分野は自動車業界にも転用しやすいため、これをコア技術とするエンジニアは比較的転職しやすいといえる。ただし、機械設計については、業界によってCADツールに違いがあるので注意したい。 「技術力をアピールする際には、自分に自信のある技術は何か。前職でその技術を用いてどんな成功体験を積んできたのか。それをこの会社でどう活かしていくのか。このあたりのストーリーを他業界の人でも理解しやすいように整理しておく必要がある」(鍛冶氏) 異業種のエンジニアにとって自動車業界での開発はイメージしづらいかもしれない。しかし、要素技術さえニーズに合っていれば、話は少々的が外れていても問題はない。自分のビジョンを通して、意欲を伝えることが重要だ。的を得た話ができれば、「よくわかっているな」と感心されるだろう。こう思わせれば内定にグッと近づくことができる。 実は、各技術分野で最先端をいくのはサプライヤーであるケースも多い。人事担当者がキーワードとして声を揃えて挙げるのも「探究心」。技術への興味・こだわりをうまくアピールしていきたい。
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