| ここまで自動車業界のおける転職市場を見てきた。でもやっぱり成功のコツは、実際に転職を決めた人に聞いてみるのが一番手っ取り早い。転職活動時にどう自分をアピールしたのかを中心に異業種転職を果たしたエンジニアに聞いてみた。 |

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新卒で通信機器メーカーに入社して2年目を迎えた頃、池田大輔氏はある疑問を感じ始めていた。設計した無線ICがセットメーカーの手に渡ると「自動的」に携帯電話として完成されていく。担当した無線ICがシステム上どう機能しているのかが実感できない。技術者としての満足感を得られなくなっていった池田氏は転職を考え始める。 転職先の条件は2つ。開発の過程でアナログ的な手触りを感じられること、そして大好きな自動車関連の最終製品に携われることだった。数社との面接を進めるうちに、池田氏のなかで富士通テンの存在が少しずつ大きくなっていく。同社の主力製品であるミリ波レーダに強い興味を持ったからだった。前職で得た高周波電波の基礎知識も活かせる。面接では「ミリ波レーダの開発を担当したい」という意思を伝え、入社後に富士通テンで働くイメージをPRした。そんな池田氏に対して、面接時には意外な展開も待っていた。 「『信号処理の開発をやってみる気はないか?』と言われたんです。畑違いの分野ですが、自分を活かせるフィールドがあると思うとうれしかったですね」 驚きつつも純粋に喜んだ池田氏は「やってみたい」と即答。図らずもそのことが異業種でも幅広く学ぼうとする意欲としてアピールにつながった。 池田氏は富士通テンに入社してミリ波レーダーの無線ICから出力される信号処理の回路設計を担当する。 「自分の技術で対応できるか不安でしたが、自動車特有の知識を周囲から得て自信をつけていきました」 開発を担当するミリ波レーダは、いわば“自動車の眼”。前方の障害物をセンシングして車の安全を守る役目を果たす。高い精度が要求されるが、開発したミリ波レーダーを自動車に搭載してテストする際には、前職では得られなかった満足感にひたることができるという。 「自分が開発した機器の性能を目で確認でき、それをシステム全体から評価できることがうれしいんです」 希望する仕事内容を明確にアピールし、異なる技術分野に対する柔軟な姿勢も示した池田氏。見事に当初希望したとおりの仕事を獲得した。 |
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