教えて!! 人事のギモン - 転職完全マニュアル

真相を知りたくても、正面切ってはなかなか聞けない人事のあれこれ。 そこで組織人事や人材ビジネスのプロに、もろもろの人事が決まる仕組みと実態を教えてもらった。

森本明夫さん

株式会社サンブリッジ  ヒューメトリクス
代表取締役社長
森本明夫さん
人材紹介・エグゼクティブサーチ事業、採用支援事業、人事組織コンサルティングを手掛けるサンブリッジヒューメトリクス代表。キャリア情報誌の広告営業および編集企画、人材紹介コンサルタントなどを経て、2008年1月より現職に


奥山 由実子さん

株式会社イマジナ
代表取締役 国際人事コンサルタント
奥山 由実子さん
大手企業研修専門会社で企画、営業職などをこなし、1993年に駐在員としてニューヨークに赴任。その後起業し、米国での経験を活かして日本企業に向け欧米型人事管理の提言を行う。専門誌への寄稿や人事関連書籍の執筆もこなす


吉田 寿さん

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
コンサルティング事業本部 東京第1本部 組織人事戦略部 プリンシパル
吉田 寿さん
富士通の人事部門を経て、三和総合研究所(現・三菱UFJリサーチ&コンサルティング)入社。組織・人事戦略コンサルティングの専門家として有名に。『社員満足の経営』(日本経団連出版刊)など、人事・評価制度に関する著書


会社が業績好調なのになぜ給料は上がらないのか?


最新の『民間給与実態調査』(国税庁・平成19年)によると、年収300〜1000万円以下の層は60%を割り込む一方で、200万円以下の層が1000万人を超えて全体の2割を占めるようになり、民間給与は9年連続で減少している。我々の取り分はむしろ減っているのだ。

その背景として、「正規雇用から非正規雇用にシフトした労働者構造の変化がある」と説明するのは、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの吉田寿氏。それに加え、特にグローバルな大手企業は海外で過酷な競争を強いられており、「利益を内部留保や株主還元に回す傾向が強い」という。そのため、労働分配率が上がらないのだ。

一方、人事コンサル会社イマジナ代表で、海外の人事動向に詳しい奥山由実子さんは、日本企業の制度不備を指摘する。

「今は多くの企業が成果主義を導入していますが、報酬体系に連動していないケースが目に付きます。日本はボーナスを実質的な生活給と見なしているため、業績によって大きく報酬額が増減する欧米流の仕組みを取り入れる企業が少ないのです」

勤め先が好業績でも給料ががらないのは、企業論理が先行する状況に秘密があるようだ。


格差社会の「上流」にいる高所得者層は何を基準に選ばれるのか?


前述のように全体で見た時の給与支給額は減少気味だが、同調査によると年収2000万円超の層も微増ながら年々増えている。この高収入を獲得するハイパフォーマーたちは、どこを評価され、どう選抜されているのだろうか?

「大抵の場合、日本企業で高い評価を得られる人材は、実績評価と同等かそれ以上の割合で、部下育成や管理能力を見られています。短期的に成果を上げるだけでは、高収入が得られない評価制度を採る企業が多いと思います」(吉田氏)

ただ、企業の成長ステージによって評価基準は変わる。

「設立間もないアーリーステージでは、新しいビジネスを推進するパッションや圧倒的な行動力を有する人材が、そして成長拡大期から成熟期においては、既存のビジネスを継続的に拡大させ、組織の成長を着実に促せる人材が高く評価される傾向にあります」(サンブリッジヒューメトリクス森本明夫氏)

また、日本企業が人事制度の多くを欧米から「輸入」してきた経緯から、評価基準も今後変わっていくという見方もある。

「欧米では職種ごとにスキルをベースとした市場価値算定の仕組みを持つ企業が多く、報酬もそのスキルレベルと完全にリンクしています。日本にも、こうした仕組みが普及していく可能性はありますね」(奥山さん)


企業合併(M&A)後の処遇は どうやって決められるのか?


日本国内だけでも、過去1、2年は年間3000件に迫る勢いで行われた企業合併(M&A)。「買った」側と「買われた」側では人事制度に大きな隔たりがあるケースが多いため、「もしウチが買収されたら……」と不安を覚えるビジネスパーソンも少なくないはずだ。

合併後、公平な人事を行うことを内外に示すため、あえて買われた側の社員を高いポジションに据えるシンボリック人事≠ェ行われることもあるというが、実際のところどうなのだろうか? 合併人事に詳しい吉田氏はこう話す。

「『買った』側も『買われた』側も対等な人事・評価を行うというのは、正直建前でしかありませんね。多くの場合は資本の論理が働くので、ポジションなどの面で買った側の人材のほうが優位に立つものです。ただ、買われた側の社員であっても、突出した能力を持つ人材を離職に追い込むことは企業利益に反するので、そこは正当に処遇しているようです」

では、どんな特徴を持った人が高い評価を得ているのか。

「会社の規模や制度によって異なりますが、どんな組織でも高評価を得る人には共通項があります。簡単に言うと、自分が置かれた状況と果たすべきミッション、そこで上げるべき成果のレベルをきちんと理解している人です。こういう人は目標達成に向けて努力する人である場合が多いので、組織体制が変わっても評価されるのです」(吉田氏)


転職の際はスキルや能力を強調したくなるもの。だが、採用側は合否判断を「スキル4:人物6」程度の割合で行っている

企業が中途採用で重視している「人物面」とは一体何?

転職活動をしていて、スキルや経験といった諸条件を満たしていたにもかかわらず、応募先から不採用を宣告された……というのはよく聞く話。雇用条件の折り合いがつかないといった理由を除けば、その多くは採用側が「人物面」という見えない要件を満たしていないと判断した、ということだ。

では、採用側は応募者のどこを見て「人物面」を判断しているのか?

「経験・実績・スキルなどは提出された応募資料を見れば分かります。面接では、それらを確認すると同時に人物面の評価を行っています。職種や職位によってポイントは異なりますが、一般的に採用する側は面接を通して、『コミュニケーションスキル』『柔軟性』『目標達成意欲の高さ』『ストレス耐性』などを確認しています。前職での行動パターンやスタイル、何か大きな問題に直面した際の対処の仕方、周りからの評価などを質問したり、時には圧迫面接を行うのも、こうした人間性を確認したいがためです」(森本氏)




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