成果主義なのに、頑張っても評価が「平均」になるのはなぜ?
一時の成果主義導入ブームが一巡した昨今、多くの企業が成果主義を前提とした評価制度を取り入れている。しかし、導入してはみたものの、運用段階でつまずき、制度の見直しを迫られている企業も増えている。なぜそうなるのか?
奥山さんは、「そもそも日本企業特有のカルチャーを変えないまま、制度だけ導入したのが間違い。成果主義の導入後も、タイムカードで勤怠管理をして評価の材料にしているような企業が多いのが実態なんです」と話す。終身雇用制を敷いていた時のカルチャーを温存したまま、形ばかりの成果主義を入れたところで、機能しないというのは素人でも分かる話だ。
一方、「終身雇用制の中で出世してきた上司が、教育も受けずに部下を評価していることにも問題がある」と指摘するのは吉田氏。適切な評価方法を教育されないままに部下の能力を判定しなければならない上司にも同情するが、それで評価される部下はたまったものではない。その結果起きているのが、「評価の中心化傾向」なのだ。
「これは、評価の際に『どちらとも言えない』というあいまいな評価をしがちな傾向のこと。大抵の場合、評価はほかの社員との相対的な比較で決まるので、そこで差をつけられず評価が平均化するんです」(吉田氏)
運用側に問題があるなら、部下の立場ではどうすることもできない。ではどうすればいいのか?
「自分のキャリア志向に合う会社を選ぶしかないでしょう。評価の傾向というのは企業規模やビジネス戦略によって異なるものなので、それを踏まえて自分で情報収集することが大切です」(奥山さん)
評価に不満なら、転職も十分検討に値するということだ
人事の決定権は一体どこにあるのか?
以前は人事部が強大な権限を持っていて、人員配置や処遇の決定は人事主導で行われる企業が多かった。ただ「最近は少子化の影響による採用難や離職率の増加で、現場や事業部へと採用権を移譲する分権型の人事制度を持つ会社が増えている」と吉田氏は明かす。要は、部門トップの意向が処遇や採用に強く影響を及ぼしているということだ。
こうした人事部の分権が行われている会社には大企業が多く、一方のベンチャー企業ではトップマネジメント主導による人事・採用が多いという。
「ベンチャー企業では、スキルや経験以上に、経営者のビジョンや価値観に共感できるかどうかが、採用側にも転職者にも重要なポイントになるでしょう」(森本氏)
企業規模によって権限の所在は変わる。人事や評価に不満で転職先を探す時は、こうした視点も持っておくべきだろう。
なぜ「希望しない異動」を突然言い渡されるのか?
長い間同じ部署で仕事をし、安心しきっている時に、突然降って湧いてくる異動話。上司から「他部門を知って成長する機会」、「ステップアップの好機」と言われても、一方的な異動通告はやはり受け入れ難いものだ。
「主力部門や注力部門に人材が足りないことを理由に、人事や部門人事が他部署から配置換えを命じるというケースが多いですね。また、上司が部下の希望するキャリアをまったく理解していないために起こることもあるでしょう」(吉田氏)
ただ、こうした異動は日本企業独特の慣行。「外資系企業では入社時にジョブ・ディスクリプション(職務記述書)という一種の契約書を交わす習慣があり、職務範囲や報酬額などの諸条件を合意事項としてまとめるので、意に添わない異動はほとんどあり得ない」(奥山さん)という。
また、最近は職種別採用や社内FA制などを取り入れる企業が増えている。こうした制度があり、かつ運用実績もある会社へ移ることも不満解消の手だ。
転職は「35歳が限界」と言われるのはなぜか?
昨年改正された雇用対策法により、求人を行う際の「年齢制限禁止」が義務付けられたものの、採用の現場ではやはり年齢による判断も行われているという。しかも、転職市場では「転職は35歳が限界」といったうわさがまことしやかにささやかれている。では、その真偽はどうなのか。
森本氏は、「年収や組織という観点から、35歳以上だと企業が採用しにくくなるケースがあります。ただ『35歳』というのはあくまでも目安でしかありません」と説明する。
例えば、一部の企業では「上司となる人材が35歳未満だから」という理由で35歳以上の採用を躊躇するケースもあるが、企業が求める人材要件、つまり【スキル・経験+人物面】の評価を満たせば、35歳を超えていても採用に至るケースが少なくないのが実情だそう。
もし転職を検討しているのであれば、年齢にとらわれず、自信を持って応募してみる価値はあるだろう。
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