《お話を伺った方》
株式会社キープレイヤーズ
代表取締役 キャリアコンサルタント
高野 秀敏さん
金銭面だけではなく 転職市場もチャンスの時期
「ボーナスは、生活費の一部として位置付ける人も多い大事な収入源。できれば退職前にもらっておきたいですね。特に忘れがちなのが、転職直後の生活費の確保です。年俸制の場合を除いて、入社直後のボーナスは支払われないことが多いですし、転職先企業の給与システムによっては、入社月の給与が入るのが2カ月先という場合もあるので注意が必要です。」
こう語るのは、キャリアアドバイスのプロとして活躍する高野秀敏氏だ。前職でのボーナスが生活費として貯えられていれば、安心して転職活動に臨めるだろう。
一方、転職市場も4?6月はチャンスだと、高野氏は言う。
「ボーナスが支給される6?7月に向けての転職活動は、1?3月に比べて求人数も減るため厳しいと思われがちです。しかし、同時に転職希望者数も減るのでチャンスは同じです。新卒採用が終わり、人員配置が済むので、ポストの再検討を行う企業の非公開求人も出てくる。チャレンジする価値はありますよ」
金銭面以外でもメリットが多いボーナス後の転職。陥りがちな不安を解消して、お得な転職を成功させよう。
「ボーナス後転職」 4つのギモン
Question 1 もらった後の転職はもらい逃げと思われる?
「ボーナスは、在職中の半年間の成果が評価されて支払われる報酬というのが一般的。ドライに考えてください」と高野氏。とはいえ、ベンチャー企業など規模の小さな会社では、厳しい目で見られるケースもあるという。すでに転職した先輩や同僚にリサーチして、会社側の対応や考え方を知っておくことが重要だ。その上で、退職日や退職を告げるタイミングを見計らおう。
point
もらって当然のものだが
退職スケジュールに注意
Question 2 次の会社の入社は支給後まで伸ばせる?
企業が入社を待つ期間は最大で2カ月と考えよう。内定後は早めに退職を申し出るべきと高野氏は言う。しかし重要なのはボーナスをもらうことに執着しすぎないことだ。入社希望日が合わなかったばかりにチャンスを逃したり、在籍中の企業ともめて自分の市場価値を低下させるようでは意味がない。今後活躍できるフィールドを狭めないよう、長い目で判断したい。
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最長でも2ヶ月が限度
伸ばし過ぎは失敗のもと
Question 3 退職届けによりボーナス査定額は下がる?
「ボーナスは過去の成果に支払われる報酬ですから、基本的には減額されることはありません。ただし経営者の判断によって支給額が決定する会社の場合には、減額されてしまうことも」(高野氏)。不服を申し立てても本人の査定や会社の業績などを理由に逃げられるケースもある。ベストな金額を望むなら支給後に退職届を提出した方が良い。
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ボーナス支給後に
退職届け出すのが無難
Question 4 転職先のボーナス査定時期にも影響する?
転職先への入社時期によっては、ボーナス査定期間が短くなってしまうこともある。つまり、在籍日数が極端に短いと、入社後のボーナス支給は、あまり期待できないのだ。「ただし、前職のボーナス支給を逃してしまう転職者に対して『転職支度金』を支払う企業もあります。転職先のボーナス査定期間やメリットとなる制度等を確認したうえで、転職に動きましょう」(高野氏)
point
入社直後の支給額は期待薄
転職先の情報をチェック
「もらって辞める」を実現する理想のスケジュール
「転職活動には時間がかかるものです。6月のボーナス支給後転職を目指すなら、4月頭の今から動いてギリギリ。最短でも45日、現職中はさらに時間がかかります。成功のカギとなるのは4月中のエントリー応募。第1選考を通過する割合も平均40%というのが現実です。最低でも3社は応募してください。エントリーのための企業探しを続けるうちに、想定していないところから理想の転職先を発見することもあります」(高野氏)
一方で、退職届提出?退職まで思った以上に時間がかかる企業もあるので要注意。スケジュール調整が苦手という人は、人材紹介サービスの転職サポートを利用するという手もある。