30代未経験の転職は難しい?転職成功のポイントや注意点
「30代での転職は20代に比べて難しい」「30代から未経験の仕事に挑戦したいけど、できるか不安」と悩んでいませんか?
同世代の転職が上手くいっていなかったり、何社も面接で落とされたりする話を聞くと不安になりますよね。
しかし、30代からでも転職は充分に可能です。30代だからこそ活きる経験やスキルを求める企業はたくさんあります。
30代で転職を成功させるポイントや、未経験職種への転職方法を知り、理想の企業で働けるよう準備を整えましょう。
目次
30代から転職の難易度は上がる?
30代の転職は20代に比べると多少難易度は上がるかもしれませんが、多くの人が転職を成功させています。
ただし、20代に比べると求められるスキルや経験が変わるため、自己PRの方法も変えていく必要があります。
では30代がどのように転職を進めていけばいいのか。詳しく解説します。
30代の転職状況
厚生労働省が発表した「一般職業紹介状況(令和3年6月分)|厚生労働省」によると、令和3年6月の30〜39歳の「就職件数(安定所の紹介により就職を確認した件数)」は、「30〜34歳=9,343件、35〜39歳=9,982件」でした。
同じく、20〜29歳の就職件数を見てみると、「20〜24歳=7,827件、25〜29歳=9,540件」という結果でした。
結果をまとめると、「20代の就職件数合計=17,367件」「30代の就職件数合計=19,325件」になり、20代よりも30代のほうが多く就職・転職に成功していることがわかりました。
年齢 | 就職件数 |
20〜24歳 | 7,827件 |
25〜29歳 | 9,540件 |
30〜34歳 | 9,343件 |
35〜39歳 | 9,982件 |
また、30代後半の人材を採用したい企業は年々増えており、厚生労働省が発表した「一般職業紹介状況|有効求人件数」の求人募集件数の推移を2000年と2019年で比較したところ、25〜29歳の求人募集件数が約7.7%の増加に対し、35〜39歳は約28.1%も増えていることがわかったのです。
今後も、30代のニーズは増加していくことが予想できます。
30代から求められるスキル、経験は変わる
30代の転職は20代と比べ、求められるスキルや経験が変わります。
20代はポテンシャルを見込んで採用される傾向がありますが、30代は業界に関する知識やスキル、経験が求められやすくなるでしょう。
特に、30代後半に差し掛かると、マネジメントスキルやさらに深い専門知識、経験が求められます。
30代の転職を成功させるポイントの1つとして、「企業が求めるスキルや経験はあるか?」が非常に重要なのです。
転職回数によっては不利になる場合がある
30代の転職では経験豊富な人材を求められますが、転職回数が多すぎると逆に警戒される恐れもあります。
転職回数が多い求職者の場合、「採用してもすぐに辞めてしまうのではないか?」と思われてしまうのです。30代前半で転職回数が多い人は特に注意しましょう。
30代から未経験の職種を目指せる?
30代から、新たに未経験の職種や業種への挑戦を考えている人も多いでしょう。結論から言うと、未経験職種への挑戦は可能ですが20代と比べてハードルは高くなります。
「未経験職種への挑戦はハードルが高い理由」「未経験職種・業種の転職を成功させる4つのポイント」を参考にし、未経験からの転職を目指しましょう。
挑戦は可能だがハードルは高くなる
30代の転職では「マネジメント能力」「即戦力」「高い専門性」を求められる傾向が強いため、未経験の転職ハードルは高くなります。
30代前半では、今までの経験を活かして自社にない知識を持ち込み「業務の改善」や「早期の業績アップ」を期待できる人材が求められます。
30代後半では、管理職、管理職候補として自社を引っ張っていく人材が求められるため、「プロジェクト管理」「マネジメントスキル」「若手人材の育成・指導」の経験が必要になる傾向があります。
さらに、30代の未経験を募集する求人自体も少ないので、選択肢が狭くなります。これらの理由から、30代で未経験の職種への転職は難しいと言えるでしょう。
未経験職種の転職を成功させるには?
30代の未経験職種を成功させるには、以下の4つのポイントを意識して転職活動を行うことが重要です。
1.未経験職種に挑戦する理由を、キャリアの軸に沿って語れるようにする
2.未経験でも活用できる汎用的なスキルを整理する
3.仕事で求められるレベルを認識して、スキルを身につける
4.資格の取得、専門学校の卒業など努力をする
4つのポイントを意識し、未経験職種への転職を成功させましょう。
転職先を聞かれたら?
未経験の職種へ挑戦する前に「なぜ未経験でなくてはならないのか?」「そもそもなぜ転職をしたいのか?」を整理しましょう。
30代未経験の応募者を企業側から見ると、今までの経験を捨ててまで自社に応募してきた大きな理由があるのではないかと考えます。
その際に、「新しいことに挑戦したかった」「前職が嫌だった」などの安易な受け答えをすると、印象はよくありません。
しかし、転職をする理由を整理し今までの経験と照らし合わせることで、未経験職種への明確な志望動機・自己PRが見つかります。
例えば、前職が営業職だった場合、「人の悩みを聞き出すことが得意で、悩みを解決するための解決策として自社の商品を売り続けてきた」という実績を活かし、未経験の技術職でも「部下や後輩の悩みを上手く聞き出し、解決しながら業績アップに貢献できる」と、経験を生かした自己PRが可能です。
このように、未経験の職種に応募する場合は、職種自体の経験がなくても活かせるスキルや経験を探して、アピールするとよいでしょう。
未経験でも活用できる汎用的なスキルを整理する
未経験でも活用できるスキルは誰しもが持っているものです。「自分には何もスキルがない」と考えている人は今までの経験をさかのぼり、どんな職種でも活用できるスキルを見つけましょう。
以下の汎用的なスキルの例を参考にし、自分にあてはめて考えてみてください。
・目標を達成するまでの考え方や行動
・プロジェクトの立ち上げ経験
・マネジメントスキル
・部下の育成方法
上記以外にも、自分では気がついていない「どこでも使えるスキル」があるはずです。ゆっくり時間をかけて探しましょう。
仕事で求められるレベルを認識して、スキルを身につける
30代の転職は「即戦力」を求められるケースが多いので、未経験職種の職場で求められる「即戦力のレベル」がどれくらいかを認識し、それに応じたスキルを身につけましょう。
例えば、未経験のエンジニアとして転職をしたいのであれば、「時代の流れに沿ったプログラミング言語の習得」や「問題を分析し、解析する能力」などを事前に身につけるとよいでしょう。
また、転職エージェントを利用し、最新の転職市場を教えてもらうのも効率のよい方法です。
資格の取得、専門学校の卒業など努力をする
専門知識やスキルが必須の職種に未経験から転職したい場合は、実務で使えるレベルの資格を取得するか、専門学校やスクールに通い知識を身につける必要があります。
入社後に短い期間で習得できるスキルであれば問題ありませんが、ある程度の習熟が必要なスキルの場合、入社後の教育に時間や費用がかかるため、未経験者を採用する企業が少ないのです。
エンジニアならプログラミングスクールに通い、学習の中で開発したアプリやサイトのポートフォリオを使って転職活動をするなど、実務で活用できるスキルを身につける努力が必要になります。
業界・職種・企業を徹底的に調べ尽くす
未経験の職種へ応募する際は、「業界」「職種」「企業」について、徹底的に調べましょう。
興味のある業界、職種、企業について調べることで、論理的な志望動機や自己PRが作れるため、面接で好印象を与えやすいでしょう。
また、「なんとなく興味がある職種」という理由で応募した結果、入社後にミスマッチが起きるケースも少なくありません。
自分に合った業界や職種を見つけるために、妥協せずリサーチを行いましょう。
30代から正社員を目指せる?
30代から正社員での転職を目指すのは20代に比べ簡単ではありませんが、充分に可能です。
30代から正社員を目指すには、派遣社員やアルバイトで経験を積み正社員として採用してもらえる企業へ応募する方法があります。
例えば、自動車関連企業の場合「期間工」として入社し、6ヶ月〜1年間の実務経験を経て「正社員登用試験」に合格すると正社員になれるという採用方式があります。
アパレル関連企業でも、アルバイトから正社員登用をしている企業も多く存在するため、未経験でも経験を積めば正社員として採用してくれる企業を探すことも視野に入れましょう。
ただし、自分で上記のような企業を探すのは中々難しいので、「転職エージェント」を利用し、豊富な求人から紹介してもらうのもよい方法です。
30代で転職するメリット・デメリット
30代での転職には、メリットもデメリットも存在します。最近の転職市場では、30代の需要は高くなっていますが、必ずしも転職が正解とは限りません。
メリット・デメリットを踏まえた上で、実際に転職するかを検討しましょう。
30代で転職するメリット
30代で転職をするメリットは、主に以下の3つです。
・自身の経験やスキルを活かした転職が可能
・今まで培ってきた人脈を活かせる
・入社してすぐに、重要なポジションを任せてもらえる場合がある
それぞれのメリットを1つずつみていきましょう。
自身の経験やスキルを活かした転職が可能
30代は、20代で培ってきた経験やスキルを活かした転職が可能です。特に、前職と同じ業界や職種であれば、今まで上手くいった方法をそのまま転用し、早くから結果を出せます。
結果が出れば昇進や昇給にもつながるため、入社後の満足度も高くなるでしょう。
今まで培ってきた人脈を活かせる
30代の転職では、仕事だけに限らず今まで培ってきた人脈を活かせます。
例えば、前職でお世話になった企業から同じように仕事を受注したり、仕事につながりそうな人を紹介してもらったりすることで、有利に仕事を進められます。
入社してすぐに、重要なポジションを任せてもらえる場合がある
前職での経験やスキルが評価され、入社後すぐに管理職や役員などの重要なポジションを任されることもあります。
重要なポジションには責任が伴いますが、同時に待遇面もよくなる可能性が高いため、ポジションを狙った転職活動を視野に入れるのもよいかもしれません。
30代で転職するデメリット
30代で転職するデメリットは、以下の2つです。
・未経験での転職が難しくなる
・熱意だけでは採用につながりづらい
未経験での転職が難しくなる
30代は即戦力が求められるため、未経験の職種に転職することが難しくなります。どうしても未経験での転職がしたい場合は、「即戦力になれるスキルを身につける」か「未経験OK」の求人を探しましょう。
熱意だけでは採用につながりづらい
20代であれば、仕事への熱意が評価され採用につながるケースは多いですが、30代の場合は熱意だけでは採用されにくいでしょう。
20代と同じ方法で熱意だけをアピールするのではなく、スキルや実績を上手くアピールすることが大切です。
30代の転職で年収は上がる?下がる?
30代で転職をすると、前職で積み上げてきた評価や待遇はなくなるため、年収が上がる人もいれば下がる人もいます。
実際に30代で転職を成功させた人のデータを元に、転職後の年収状況を見ていきましょう。
転職で4割の人が年収アップを実現
厚生労働省が発表した「転職入職者の賃金変動状況別割合」によると、2019年に転職をした人の内37.0%、約4割の人が年収アップを実現しています。
しかし、年収が減少したと回答した人も34.2%と、3割程度いることがわかりました。
転職後に必ずしも年収が上がるわけではありませんが、減少している人に比べ増加している人のほうが多いと言えるでしょう。
年収は一つの指標として、総合的に転職すべきか考えよう
転職をする際は、年収だけに囚われないようにしましょう。年収だけを求めすぎてしまい、激務に追われ体を壊してしまったり、仕事にやりがいを感じなくなったりするケースはよく耳にします。
転職で何を求めるのかを明確にして、総合的に転職すべきか見極めることが大切です。
30代が転職を成功させるためのポイントとは?
30代が転職を成功させるために必要なポイントを3つ紹介します。20代とは異なる転職活動の方法を身につけ、理想の企業へ転職を成功させましょう。
30代の転職者に企業が何を求めているのかを見極める
30代の転職者に企業が求めているのは、「即戦力として活躍できるか?」という点です。「マネジメントスキル」「入社後の早期売り上げアップ」など、企業があなたに求めているものを見極めなくてはいけません。
応募先の業界全体の動向や、企業の業績などを細かくリサーチし、企業が欲しがる人材を目指しましょう。
長期戦を見据えて在職中に転職活動をする
30代の転職は長引く可能性が高いため、現職を続けながら転職活動をしましょう。一般的な30代の転職にかかる期間は3ヶ月から半年と言われており、年齢が高いほど転職活動は長期化する傾向があります。
転職に集中したいからといって仕事を辞めてしまうと、長い間給与がもらえず不安になってしまい、妥協した転職先に入社してしまう恐れがあるのです。
金銭面のストレスは正常な判断を鈍らせるので、給与をもらいながらじっくりと転職活動を行うことをおすすめします。
自己分析を徹底的に行う
転職を成功させるために、自己分析を徹底して行いましょう。前職での売り上げ金額や売り上げ個数といった実績を、具体的な数字で語れるように準備しておくことが大切です。
自分の歴史を振り返るための「自分史」や「WILL」「CAN」「MUST」などのフレームワークを使い、自己分析を行ってみてください。
30代が転職に失敗しないための注意点
30代の転職で失敗しないために注意すべき点を意識し、スムーズに転職活動を進めましょう。
希望条件に優先順位をつける
転職先に求める希望条件は「優先順位をつけて」「絞り込むこと」が大切です。
条件を求めすぎると応募できる求人が限られてしまい、転職活動が進まなくなってしまいます。自分が求める希望条件を紙に書き出し、その中から優先順位の高い条件をピックアップしましょう。
プライベートを充実させたいのであれば、残業が少なく休日が多い企業を選び、キャリアアップや年収を求めるのであれば、給与が高くキャリアアップを狙いやすいスタートアップ企業を選ぶとよいでしょう。
ただし、30代は家族を持つ人も増えてくる年代なので、家族でしっかりと話し合いながら転職活動を行うことが重要です。
退職のスケジュールにも気を払う
転職をスムーズに行うためには、就職活動を行いながら退職のスケジュールも計画しておきましょう。
抱えている仕事の量が多いと引き継ぎに時間がかかり、予定していた退職日をオーバーしてしまう可能性があります。
また、役職についている場合は、退職を引き止められる可能性もあるため、早めに退職する旨を伝えましょう。
多くの仕事を抱えがちな30代の転職は、今の職場と転職先に迷惑がかからないように、しっかりとスケジュール調整を行うことが大切です。
まとめ
30代の人材を求める企業は年々増えており、今より条件の良い企業へ転職を考える人も多くいます。
30代の転職は20代と違った視点で転職活動を行う必要があるため、重要な以下のポイントを押さえておく必要があります。
・未経験職種に応募する際は、明確な理由や資格の獲得が必要
・自分のスキルや経験を整理する
・自分が求めている条件や価値観を整理する
・自己分析や企業・業界研究を徹底的に行う
・退職のスケジュールを念入りに計画する
30代での転職を諦める必要は全くないので、正しいやり方で転職活動を行い、理想の転職を成功させましょう。