転職にベストなタイミングはいつ?年齢別、状況別に解説
転職を検討している人の中には、どのタイミングで転職活動を始めればいいのかわからないという人もいらっしゃるかもしれません。本記事では、転職を検討中の人に向けて、年齢別、状況別の転職に適したタイミングについて解説します。
また、転職すべきでないタイミングなどについても解説しているため、転職活動を始める時期を見極める際に役立ててください。
目次
転職に最適なタイミングはあるの?
時期によって企業の採用活動が活発になる時期があるため、転職を検討している人は動向を把握しておくことが大切です。4月入社に合わせて採用活動を行う企業は2~3月、10月入社の企業では8~9月が一般的です。
ほかにも、4月入社の企業の採用活動が一旦落ち着く4~5月はライバルが少ないため、転職活動に絶好の時期と言われています。
ただし、採用活動の時期は企業によって異なる場合もあるため、入社したい企業が明確な場合は企業の採用関連の情報やスケジュールを調べておきましょう。
また、ボーナスを受け取った後に退職の意向を会社に伝えるなど、転職のタイミングによって自身が不利にならないスケジュールを組むことも重要です。
コロナ禍の転職はあり?
新型コロナウイルス感染症が拡大する中、転職をするべきなのか悩んでいる人もいるかもしれません。ここでは、コロナ禍における転職活動について解説します。
有効求人倍率は回復傾向にある
厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和3年6月分)|厚生労働省」によると、2020年6月時点の有効求人倍率は1.13倍となり、前月比は0.04ポイント上昇しました。新型コロナウイルス感染症の拡大により、急激に低下した有効求人倍率ですが、徐々に回復傾向にあります。
採用活動を積極的に行っている企業があることから、コロナ禍が転職のタイミングに適していないとは言い切れません。
コロナ禍で転職活動には変化がある
従来は、企業に足を運び採用面接を受けることが一般的でしたが、コロナ禍ではオンライン会議システムなどを利用したWEB面接に移行する企業が増えています。
転職の希望者は、ZoomやSkypeなどのオンライン会議ツールの操作方法を確認する、WEB面接を受けるための環境の整備を行うなどの対応や心構えが必要です。また、自身が希望する働き方や将来のキャリアプランを見直すなど、先を見据えた転職活動を心がけましょう。
【年齢別】転職のベストタイミングは?
転職に適した時期は、年齢によって異なります。ここでは、転職にベストなタイミングを20代前半から40歳以降の年齢別に解説します。
第二新卒(20代前半)の場合
新卒以外の20代前半の世代の転職者は、第二新卒と呼ばれています。第二新卒は入社1年未満と3年未満に大きく分けて考えることが必要です。
入社1年未満での転職は、我慢強さに欠ける、何をしても長続きがしないといったネガティブな印象を持たれる可能性があるため、退職理由や転職の目的などを明確にしておく必要があります。
一方、社会人経験が2年以上3年未満の場合、基本的な社会人マナーやスキルを身につけた若い戦力として捉える企業が多く、入社1年未満と比べるとニーズの高いタイミングといえそうです。
20代後半の場合
20代後半は、若手としてポテンシャルの高さが重視されるかたわら、20代前半よりもスキルや経験を見られる傾向にあります。
社会人としてのマナーや専門的な基礎知識などが身についている前提の採用となるため、業種を問わず企業から求められる世代です。転職時は、自己アピールが可能なスキルや実績などを書類審査や採用面接に活かしましょう。
また、これから大きな成長が見込める年齢のため、未経験職種・業種への転職もチャレンジしやすいタイミングでもあります。
30代前半の場合
30~34歳までの30代前半で転職を検討している場合は、転職活動を早めに始めるようにしましょう。30代は20代に比べ、企業の中では中堅クラスに位置するため、年齢が上がるほど転職時に高いスキルや経験が求められる傾向にあります。
一般的に、マネジメント職を始めとする管理職の経験があるほうが転職に有利といわれています。30代で転職を考えるなら、後輩社員の教育や指導、プロジェクトリーダーなどのマネジメント経験を積んでおくと良いでしょう。
30代後半の場合
35歳以降の30代後半の転職者は、どの業界においても管理職や管理職候補として扱うようになります。マネジメント経験はもちろん、マネジメントに必要なスキルやマネージャーなどの肩書きが求められます。
マネージャーなどの管理職の肩書きを持つ人や、経営者としての経験がある人は転職のタイミングとしても適しているといえそうです。
こうしたマネジメント経験のない方は、チームを動かした経歴・実績を語れるようにキャリアを積んだり、今までにマネジメントに近い経験がないか自己分析をする丁寧に行う必要がありそうです。
40歳以降の場合
40代以降の転職は、管理職を対象にした求人が多くなります。管理職は、企業の経営や将来を担う立場であることから、気軽に利用できる転職求人サイトでは募集をしていない可能性もあります。
40歳以降で転職先を探す場合は、未公開求人のある転職エージェントの利用も視野に入れましょう。
40代以降は、年齢が上がるほど求められるスキルや経験はさらに高くなり、転職活動が長期に渡る可能性が高いため、早めに転職活動を始めましょう。
【場面別】転職タイミングに悩んだ時の対処法
転職を決める理由は、人によって異なります。未経験の職種・業種にチャレンジできるのはいつまでか、やりがいのない仕事を続けるべきかなど、転職するタイミングに悩む人も多いかもしれません。以下では、場面別の対処法について解説します。
未経験職種への転職は何歳がベスト?
一般的に、入社3年以上の20代が未経験職種への転職にベストなタイミングといわれています。社会人経験が3年以上の人は基本的なビジネスマナーを備えているため、新人教育にかけるコストを削減できることや、企業のカラーに染めやすいこともあり、未経験の職種でも転職が可能です。
異業種への転職はいつまでにすべき?
異業種への転職を希望する場合は、遅くとも30歳までに行う必要があります。一般的に、30歳を超えると、従来とは異なる業界や企業の文化・風土などに適応しにくいといわれています。
30歳を超えて異業種に転職する場合は、異なる環境に対してこれまで以上にストレスを感じやすくなるリスクがあることを考慮しておきましょう。
仕事がつまらない、やりがいを感じない
現職の仕事が希望する配属先や職種と異なる場合、仕事がつまらない、やりがいを感じられないという悩みから転職を考える人も少なくありません。すぐに転職を決断するのではなく、まずは仕事に対する向き合い方を見直してみることが大切です。
たとえば、よい条件の企業に転職するためにキャリアを積み重ねる、マネジメント職にチャレンジするなど、自身のスキルや経験を増やすことに注視するようにしましょう。
資格は転職前と後どちらに取得したらいい?
資格を活かせる転職先であれば、転職前に資格取得を目指すことをおすすめします。転職前に資格を取得していれば自己アピールに活かせるため、転職活動で有利に働きます。
たとえば、経理職なら日商簿記を取得する、外資系企業や海外営業職を希望するならTOEICで高得点を目指すなどが挙げられます。
ただし、資格を取得しても実務に活かせるものでなければ、アピールポイントにはなりません。
会社の方針が変わりついていけない…
働き方改革や感染症対策など、社会はめまぐるしく変化しています。企業でもさまざまな制度の導入や方針の転換が求められており、会社に対する不信感を抱く人も少なくありません。
なかには、業績不振からリストラを言い渡され、転職の必要に迫られる人もいます。転職に向けて、これまでの実績や実務で得たスキルを棚卸ししておきましょう。
転職を考えている中で昇進を打診された
転職を検討中に会社から昇進を打診され、悩むというケースもあります。昇進後の待遇や条件意外に、5年後10年後もポジティブに働き続けるイメージが沸くのであれば転職を断念するのも一つです。
ただし、将来も同じ会社で働くイメージがネガティブなものばかりな場合は、転職を決断すべきかもしれません。上司から引き止められる可能性もあるため、強い転職の意思を持つことが必要です。
頑張りが評価に反映されず不満
会社から正当な評価を受けられず、既存の人事評価制度や会社への不満から転職を検討する人もいるでしょう。自己評価と会社や上司からの評価に大きな差があると、会社への不信感を感じるだけでなく、仕事へのモチベーションが低下してしまいます。
適切かつ透明性のある人事評価制度をもつ企業を転職の希望条件に加え、情報収集を徹底しましょう。
結婚・出産などライフイベントと転職のタイミング
結婚や出産などのライフイベントの前後に転職をすべきか、しても良いか不安になる人も多いです。ここでは、ライフイベント別に転職に適したタイミングについて解説します。
転職は結婚の前・後どちらが良い?
結婚の前と後のどちらが転職に適しているかは、転職先に求める条件や考え方などによって異なります。そのため、転職のタイミングに絶対的な正解は存在しません。
結婚後の新生活を過ごし、必要な収入やプライベートに必要な時間が見えてから希望条件に沿った転職をするのも1つです。ただし、パートナーから結婚後の転職を反対されるケースもあります。
どちらにせよパートナーとよく話し合った上で、結婚前後どちらに転職すべきか検討する必要があります。
出産前後・育児中の転職タイミング
近く出産を控えている場合は、入社後1年以上でなければ育休や産休を取得できない場合もあるため取得条件を事前にチェックしましょう。
出産後に転職を行う場合、現職の会社の産休や育児制度を活用できるうえに、復職によって安定した収入を得られます。キャリアが長く、良好な信頼関係を築けていれば、同僚や上司などからサポートしてもらえる可能性があります。
ただし、出産後や育児中の転職は、子育てと同時進行で行わなければならないため、思うような活動ができないことも考慮しておきましょう。
転職が住宅ローンの審査に影響する?
住宅ローンを利用する予定がある場合は、転職するタイミングに注意が必要です。勤続年数に制限を設けている金融機関もあるため、転職後に住宅ローンを申請すると融資を受けられない可能性があります。
一般的に、住宅ローンの条件として半年~2年以上の勤続年数が設定されています。転職前後に住宅ローンを申請する場合は、審査を通るために必要な条件をあらかじめ確認しておくことも重要です。
また、住宅ローンの返済中に転職した場合は、融資を受けている金融機関への届け出が必要なため、忘れずに連絡を入れましょう。
職種・ポジションによって転職にベストなタイミングは異なる?
転職するタイミングは、どのような職種やポジションなのかによっても異なります。ここでは、職種やポジション別の転職のタイミングについて解説します。
ITエンジニアの転職タイミング
経済産業省が2019年3月に公表した「IT人材需給に関する調査」では、2021年には31万人のITエンジニアが人材不足になるという調査結果が出ています。
そのため、年間を通してITエンジニアのニーズが高いのはもちろん、今後の転職市場でも有利な時期が続くことが予想されます。
そうした状況を鑑みると、市場の状況よりも「さらにスキルアップをできる環境に身をおきたい」「よりニーズの高いプログラミング言語を扱う仕事をしたい」「現在関わっているプロジェクトが完了してから」など、ご自身の状況に合わせて転職するのがベストのタイミングと言えるでしょう。
営業の転職タイミング
営業職では、ノルマがきつい、コミュニケーションが得意ではないなどの理由から強いストレスを感じ、転職を決意する人も少なくありません。
営業職から未経験の職種にチャレンジするなら、実績や経験よりもポテンシャルを評価されやすい20代のうちに転職をするのがおすすめです。
ただし、ストレスなどによって心身の健康に問題が出てしまっている場合は年齢にかかわらず、健康状態の回復を最優先に考えるようにしましょう。
経理の転職タイミング
3月に決算を迎える企業が多く、期末決算の時期に合わせて採用活動を終えておきたいという実状から、1~2月に経理職の求人数が急増する傾向にあります。
さらに、入社などで多忙になる4月や税務申告を行う5月末には、採用した人材を即戦力として活用したいという企業の狙いが読み取れます。ほかにも、6~7月と10~11月の時期にも求人が増えるため、自身の退職の時期に合ったタイミングを見極めるとよいでしょう。
なかでも、20代前半や経理の実務経験が少ない人は、より人材育成に時間を取れる10~11月の時期を目指すことをおすすめします。
管理職の転職タイミング
管理職から管理職へ転職する際に適した時期は4月頃です。4月から上期が始まる企業では、4月に後任への引き継ぎ完了の目途が立ちます。そのため、上期が始まるタイミングで転職する人が多くなる傾向にあります。
裏を返せば、後任への引き継ぎが終わるまでは管理職としての責務を果たさなければなりません。また、転職にあたって、会社は管理職に適した人材を探す必要があるため、後任探しや引き継ぎに必要なスケジュールを加味した上で退職の意思を会社に伝えましょう。
後述する退職を伝えるベストなタイミングを参考にしてみてください。
退職を会社に伝えるのはいつがベスト?
転職活動をするうえで、退職を会社に伝えるタイミングに悩む人も少なくありません。以下では、退職を会社に伝える際の具体的な方法や退職までの流れについて解説します。
基本的には社内規定に沿ってスケジュールを組む
退職は本人の意思だけでなく、社内の規定に合わせてスケジュールを調整する必要があります。退職までの大まかな流れは、以下のとおりです。
・退職の意思を会社に伝える
・退職日をいつにするか会社と相談する
・退職の手続き、後任への仕事の引き継ぎ
・取引先に退職の挨拶と後任者の紹介
・社内での退職の挨拶回り、備品の返却など
退職の意思表示は、法律では遅くとも2週間前に伝えることが義務づけられています。しかし、後任探しや引き継ぎ、取引先への挨拶など、退職後でも円滑に業務を進めるためには、退職日の1~2カ月前に退職を申し出るのが一般的です。
申し出後は、退職日を会社と相談して決める、退社の手続きを行う、後任者に仕事を引き継ぐなどを計画的に行います。また、取引先との接点がある場合は、取引先への挨拶や後任者の紹介などにも時間を割く必要があります。
転職先が決まってから退職の意思を伝えるのが一般的
転職を決意すると、すぐに退職の意思を伝えたくなるものですが、退職の意向を会社に伝えるのは次の転職先から内定をもらってからにしましょう。
転職先が決まらないまま退職の意思を伝えてしまうと、内定をもらえないまま退職日を迎えて仕事を失ってしまう可能性があります。
また、転職先が決まっていないために退職を先延ばしにされることも考えられます。退職の意向を伝える際は、会社や上司、現状への不満があったとしても、円満に退職するために個人的な都合を伝えるようにしましょう。
引き継ぎをしっかりと行い円満退職を目指す
退職日が決まると内定先への転職後のことばかりに気が向き、引き継ぎが疎かになる可能性があります。退職日までの期間は、会社の一員であることを自覚し、自身の責務をしっかり果たすことに集中しましょう。
とくに、退職後に同僚や上司、取引先に迷惑がかからないよう、後任者へ引き継ぎをしっかりと行うことが重要です。
たとえば、誰が担当しても同一の仕事ができるような引き継ぎ資料を作成しておく、仕事の進捗状況、取引先や顧客の特徴や正確など、自分にしか知らない情報なども資料にまとめて共有しておくようにしましょう。
すぐに転職すべきでないタイミングは?
転職への意思が強い場合でも、転職が必ずしも正解とはいえません。ここでは、転職は先延ばしにしたほうがよいタイミングについて解説します。以下で該当する項目がある場合は転職を急がず、転職に向けた準備に徹しましょう。
転職して1年以内
中途入社1年未満での転職はおすすめできません。1年以内に再転職する場合、採用側からすると「我慢強さがない」「自社に入社してもすぐに辞めてしまうかもしれない」といったマイナスなイメージを抱かれてしまいます。
また、社会人1年目の人の場合、入社3年以上の人に比べて社会人としてのマナーや実務における知識が備わっていないと判断され、採用後の教育コストがかかることも懸念事項となり、採用を見送られてしまう可能性があります。
熟慮した結果、転職1年以内で再転職したい場合は、採用面接時にポジティブな退職理由を説明できるようにしておきましょう。
転職の目的が定まっていない
今の職場を退職したい、何となく転職して成功したいなど、漠然とした理由で転職活動を始める人も少なくありません。明確な目的もなく転職活動を始めるため、内定をもらえない、自分の市場価値の低さに自信を失うなど、転職が失敗に終わる可能性があります。
転職の目的が明確に決まっていない場合は、すぐに転職活動を始めるのではなく、転職をしたいと感じた理由や転職後に何をしたいのかを考えるようにしましょう。
たとえば、給与などの待遇面の不満を解消したいのか、キャリアアップのために新しい職種や業界にチャレンジしたいのかなどが挙げられます。転職の目的が明確になった上で、イメージに合った企業を探し始めることをおすすめします。
景気の良し悪しをチェック
転職の目的が明確で優れたスキルや経験を持っている場合でも、転職の時期として避けるべきタイミングがあります。とくに、景気が悪化している場合は、転職を避けることをおすすめします。
大手の企業であっても、景気が悪いと求人数が減ったり、即戦力になるハイレベルな人材でなければ採用を見送ったりするといった状況になりやすく、不利な転職を強いられてしまうかもしれません。
景気の良し悪しを確認する上で参考になる指標は、有効求人倍率です。有効求人倍率が1を下回る場合は、景気が悪化していると判断できます。
有効求人倍率は、厚生労働省が定期的に発表しているため、厚生労働省のホームページなどで確認し、転職に最適なタイミングを見極めましょう。