転職して半年で辛くなったら?辞めるべきか判断する3つのポイント
転職後、半年で「辞めたい……」と感じる人は少なからずいます。会社のことを理解できてきて、自分の理想と違う点に気が付くタイミングだからです。でも、その気づいたタイミングで辞めていいかどうかは、個人の状況によって違います。この記事では「辞めるべきかどうか判断する3つのポイント」を解説し、半年で辞めた場合のメリット・デメリット、次の転職を成功させるために気をつけることを解説します。
辞めるべきかどうか判断する3つのポイント
自分のキャリアにプラスになるかどうか
今の仕事を辞めるべきかの見極めには、働き続けていれば自分が理想とするキャリアに近づけるか否かを慎重に検討する必要があります。業務内容に不満があっても、その先にステップアップする可能性があれば、すぐに辞めるには惜しい職場かもしれません。また、ステップアップの可能性は低くても、理想のキャリアに活きるスキルや知識は得られないでしょうか。例えば、営業のはずがテレアポの仕事ばかりといった状況でも、業界や商品の知識は今後役に立つ、言葉遣いや営業トークが磨けるならば、あなたの市場価値を上げてくれる可能性があります。明確に自分のビジョンとズレている、全くプラスにならないと判断できたなら、辞めることを検討しても良いでしょう。
辛さが時間で解消できるかどうか
転職後すぐは、新しい環境で新しい仕事をする緊張感とプレッシャーからストレスがかかります。ですから、ある程度の辛さやしんどさを感じることは仕方のないことです。例えば、仕事を進めるのに多くの社内部署とのやり取りがあるとすると、社内の人脈を構築するまでは神経をすり減らすでしょう。でも、キーマンを知りその人となりを知り、コミュニケーション方法がわかってくると、ぐっと楽になってきます。業務内容も、覚えるまでは辛くても慣れるとスムーズにできることもあります。慣れで辛さが解消できる見込みが感じられるなら、もう少し踏みとどまって様子をみてはどうでしょうか。
辞めたい原因を交渉で解決できるかどうか
「辞めたい」と感じさせている原因が、会社側との交渉で解決できる可能性があれば、まずは交渉することを検討してみましょう。例えば、仕事内容や残業時間、給与などが入社前に提示された条件と違っている、つまり「聞いていた話と違う!」という不満の場合、上司に相談してみてはどうでしょうか。また、業務内容や人間関係がどうしても合わないという場合も、上司やマネージャーに相談することで部署替えなどの対処が期待できます。後悔しないためにも、「辞める!」という決断をする前に、ダメもとで会社側と交渉してみても損はないでしょう。相談のコツは感情を交えず、客観的な事実に絞ることです。「~だから辛い」ではなく「~のため~がしづらく、業務に支障が出ている」と伝えましょう。対処をしないと業務上のデメリットが発生すると感じられると、解決に向けて動いてくれる可能性が高いです。
転職して半年で辞めた場合のメリット・デメリット
半年で辞める場合のメリット
時間を無駄にしないで済む
自分の理想とするビジョンと違っていて「軌道修正したい」と明確に思える場合は、決断が早いほど大切な時間を無駄にしないで済みます。他にも、パワハラに遭っているが会社側が動いてくれない場合や、会社の業績悪化で不本意な仕事へと配置転換になってしまった場合など、早めに見切りをつけた方が前向きにリスタートできる状況もあります。自分では解決できない問題を抱えているなら、早めに辞める勇気を持ちましょう。
心身への悪影響を避けられる
明らかなオーバワークをしている場合や、精神的な強いストレスがかかっている場合、辞めた方が身体やメンタルへの負荷から解放されることは間違いありません。身体や心からSOSが出ていて「転職したい」と思いながらも、退職をずるずると引き延ばしていると、体力的・精神的に消耗していき、気づくと転職して今の環境から脱出する気力すらなくなってしまう場合もあります。自分を守る決断をできるのは自分自身だけですから、考える力や転職する力があるうちに、自分のビジョンを見据えて決断しましょう。
半年で辞める場合のデメリット
次の転職に影響を及ぼす可能性がある
転職して半年で会社を辞めた場合、一番のデメリットは次の転職に悪い影響を及ぼす可能性があることでしょう。応募先の企業から「またすぐに辞めるのでは?」「忍耐力がないのかも」「問題を起こす人ではないか」と疑われてしまう可能性があります。その疑念を払しょくするには、転職理由が前向きなものであることと、ネガティブさを感じさせずに伝える工夫が必要になってきます。どんな理由であれ半年で辞めるなら、次の転職活動では、前の転職活動ほどスムーズにはいかない可能性を覚悟しておきましょう。
辞めグセがついてしまう人もいる
「何だか合わない」のように曖昧な理由で解決する努力をせずに会社を辞めてしまうと、いわゆる「辞めグセ」がついて転職回数を増やしてしまうことにつながります。「職場の雰囲気が悪い」場合でも、思い切って誰か一人でもランチに誘ってみて話しやすい人を作る、「新しく〇〇のスキルを得るまでは続ける」と割り切る、などで仕事が続けられるかもしれません。そんな風に問題の解決方法を探って努力する姿勢、少しでも長く働けるモチベーションを自分で作るという姿勢を持つと、短期の転職を繰り返さずに済みます。
退職金がもらえない可能性がある
退職金制度のある会社の場合でも、社内規定で退職金の受取に必要な最低勤続年数が決まっています。半年で辞めた場合、多くの会社で退職金がもらえないことは知っておきましょう。また、退職して次の転職先が決まるまで期間が空くなら、厚生年金から国民年金への切り替えをしておいて、次の転職先へ入社する時にまた厚生年金に加入します。厚生年金の方が将来の年金受取額が多くなり、また加入月が多い方がもらえる年金額が多くなるので、なるべく早く転職先へ入社した方が年金という観点からはお得です。
半年で転職して成功する人・失敗する人
成功する人の特徴
会社を半年で辞めても次の転職で成功する人の特徴は、退職する理由を明確に説明できることです。「今が嫌だから辞める」のではなく「自分のキャリアを見据え、現職では実現が不可能だと判断した理由」を根拠を持って説明できる人が、次の転職を成功に導けるでしょう。
また、理想の働き方や転職に求める条件(業務内容、給与、勤務地、勤務時間、評価制度、社風など)の優先順位をしっかり定めておくことで、企業選びに失敗しづらくなります。
失敗する人の特徴
会社を半年で辞めて次の転職で失敗する人とは、成功する人の反対で「今が嫌だから辞める」という感情のまま辞めて転職活動をする人です。次に応募する会社は、面接で「辞める前に何らかの問題解決のための努力をしたか」を見ています。企業側は「うちに入社してもすぐ辞めるかも」という疑念が払拭されない限り、採用という判断には至りません。現職を経験してスキルアップした、あるいは自分が必要とする条件を整理し直してキャリアプランが明確になった、といった進歩が見えなければ、企業側にとって採用したくなるような人物には感じられないでしょう。
次の転職を成功させるために気をつけること
辞めたい理由を分析して繰り返さないようにする
半年で辞めて次の転職で成功するには、「なぜ辞めたいのか」と「何が失敗を招いたのか」を厳密に分析しましょう。そうすることで、次の転職活動では何を確認すれば良いかが明らかな状態になり、同じ失敗を繰り返さないことにつながります。例えば、企画職へのステップアップを目指して営業企画として入社したものの、実態は営業担当のアシスタント業務ばかりだったという場合は、「先入観を持たず、面接で仕事内容を詳しく確認すべきだった」という反省点が見えてくるかもしれません。そして、自分はどんな仕事をしたいのかがより具体的に描けるようになってもいるでしょう。そんな風に、失敗を糧にする姿勢が大切です。
できるだけ在職中に転職活動をする
半年で会社を辞めたくなっても、転職活動中の生活費に支障が無いと言える方以外は、在職しながら転職活動をすることをおすすめします。次の転職先がどれくらいの期間で決まるか誰にもわかりませんし、そこで経済的に追い込まれると焦って転職先を決めてしまい、失敗する可能性が高まるからです。また、失業保険にも注意が必要です。倒産などではなく自己退職都合の場合、半年働いただけでは受給条件である加入期間12ヶ月を満たさないため、支給されません。離職前に、自分が給付対象になるかどうか確認しましょう。
企業側が安心・納得できる退職理由を語る
半年で会社を辞めた経験があると、企業側が不安を抱いて退職理由をあれこれと探ってくることは避けられません。企業側が安心・納得できる退職理由を述べること、悪口に聞こえないように感情や伝え方に注意することが大切です。職場への不平や不満を隠そうとするのではなく、主観や感情を除いて、事実と自身が深めた考えや反省を述べると良いでしょう。例えば、長時間残業が原因なら「残業時間の数値」と「解消するためにどう働きかけたか」を具体的に示したうえで、「企業研究や面接での質問が足りなかった」など前回の転職活動の反省点を伝えます。入社前の提示条件と違ったり、パワハラに遭ったりした場合は、隠して不自然な印象を与えるよりも素直に伝えましょう。悪口を言わず建設的に話すことを心がければ、企業側も納得してくれます。続いて、面接官が自社で活躍する姿をイメージできるような「こうなりたい」という前向きな未来を語れば、好印象を与えられるでしょう。
まとめ
半年で会社を「辞めたい」と感じた場合、すぐに辞めた方が良い状況と、仕事を続ける努力をした方が良い状況があります。この記事のポイントを参考にして、自分がどちらの側か判断できたなら、それぞれの道を自信を持って歩んでください。転職の成功には、経験者やプロのアドバイスをもらうことも有効ですから、一人で悩むよりも誰かに相談してみることから始めてみてはどうでしょうか。
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