50代が正社員転職に成功する方法は?書類・面接対策と未経験からおすすめの職種

公開日:2022年03月03日 #転職準備 #キャリア #書類作成

50代が正社員転職に成功する方法は?書類・面接対策と未経験からおすすめの職種

50代で「正社員」としての転職は可能なのでしょうか?厳しいとされる年代でも転職を成功させるコツと、転職しやすい業種・職種を紹介します。書類審査で落とされにくい履歴書・職務経歴の書き方や、50代で面接を受ける際のコツも確認しておきましょう。

50代の転職は難しい?

50歳での転職が難しいというのは本当なのでしょうか?まず、実際にどの程度の難易度が想定されるのかを確認しておきましょう。50代での転職の実態について、厚生労働省のデータなどを元に解説します。

50代の転職の現状

20~30代に比べると、50代以降で転職をする人は「少ない」のが現状です。厚生労働省の実施した「令和2年上半期雇用動向調査」の結果から、50~59歳の入職率は「2.4~3.4%」で、30~34歳の「6.5%」と比較すると約半数であることが分かります。
企業側も、50代以降の採用を検討すること自体があまりなく、求人数が少ない状況です。厚生労働省の資料「中途採用に係る現状等について」によると、45歳以上55歳未満について「あまり採用は考えていない」と回答した企業が「48.9%」、55歳以上は「67.0%」と、かなり高い割合です。

こうしたデータから「全体的」に見ると50代の転職は厳しいといわざるをえません。

50代の転職が難しいとされる理由

50代以降の転職が難しいといわれる理由として、以下の点があります。

・正社員の求人数が少ない
・若手よりも人件費が高い
・長く働き続けることが難しい
・体力面の懸念

まず挙げられる理由は、前述の通り50代を対象に含む「正社員の求人」の数が少ないことです。

また「給与の平均水準」が20代より高いため、人件費が高くなりやすいことも理由として挙げられます。

さらに50代は定年が近いことから、採用して育成に時間をかけても「育成コストが無駄になってしまう」と思われやすいことも、採用されにくい要素です。
そして「体力が落ちてくる年代」として見られるため、肉体労働や長時間の勤務などを任せられるか不安があるという点も、理由として挙げられます。

50代での転職は不可能ではありませんが、成功のためには以上の点で不利であることを意識することが重要です。

50代から未経験職種にチャレンジできる?

50代以降、未経験での転職は難しくなるとはいえ、「職種をよく選ぶ」ことで成功する人もいます。どのような職種なら、50代でも転職しやすいのでしょうか。

50代が未経験から挑戦しやすい職種は?

50代が「未経験でも転職しやすい職種」を5つ紹介します。

介護・福祉系職種

介護や福祉関係の職種は「人手不足」の傾向が強く、50代での転職がしやすいといえます。
実際、50代で活躍している人の多い職種です。高齢者とのコミュニケーションという点で、人生経験が豊富な50代は、20~30代と比べて有利な面が多くあります。
「介護補助」や「生活支援員」など、専門資格がなくても転職できる職種があるため、未経験での転職も可能です。

営業

営業職は、未経験での募集が多い職種として知られ、50代も求人の対象になることがあります。さまざまな業種に共通して存在する職種なので、活躍する分野の選択肢が多いことが魅力です。
業種に関係なく、ビジネスマンとして培ってきた「コミュニケーション力」などが利用しやすいこともポイント。他業界で営業職の経験がある人はもちろん、コミュニケーション力の証明になる実績や経験があれば、50代でも採用されやすい職種です。

接客・サービス業

接客・サービス系の職種も、未経験歓迎の求人が多くあります。営業職と同じように、社会人として業界を問わず通用する「接客スキル」があれば対応できるためです。
若者と比べて「精神的な安定」や「落ち着いた対応」などが期待できることから、50代でも採用されやすい職種だといえます。

警備員・交通誘導

工事現場の「警備員」や「交通誘導」などの職種は、50代以上で働いている人が多く、年齢が高いことが不利になりにくい傾向です。
体力さえあれば特別なスキルが求められないため、未経験でも歓迎されやすい職種だといえます。工事や交通整理の需要は常にあるため、求人数が安定していることも魅力です。

運送・ドライバー

ドライバーなどの運送業も、50代にとってねらい目の業種です。
インターネット通販の需要が増えた影響などで「人手不足」の傾向にあり、必要な人員を確保するために50代以上も求人の対象になることがあります。
「配達員」や「軽作業員」などいくつかの職種がありますが、特別なスキルが不要なものが多いため、「未経験歓迎」の求人が珍しくありません。

50代が正社員での転職を目指すには?

50代が正社員としての転職を成功につなげる「4つのポイント」を解説します。

今までのスキルや経験を生かせる仕事を探す

50代の転職では、「今までのスキル・経験を生かせる仕事」を探すことが重要です。
50代が正社員として採用される場合、「即戦力」が求められることが多くあります。若者と比べた50代の強みは、社会人として培ってきた経験と能力です。
特定の職種に固執せず、培ってきた経験・スキルを基準にして「有利な職種」の中から選ぶことを意識しましょう。

条件ダウンもある程度は受け入れる

給与や手当などの条件について、基準が高くなりすぎないよう注意することも大切です。50代は特に、年収が高くなっていることが多いため、基準が高くなりやすい傾向があります。
「前職より好条件」という点にこだわりすぎると、応募できる求人の選択肢が限られてしまうでしょう。
条件のよい仕事を探すことも重要ですが、求人数が限られる50代は、条件を広げて探すことも重要です。

60代、70代が活躍中の仕事を探す

「60代、70代が活躍中の職種」は、50代にとってねらい目です。
例えばコンビニ・スーパーなどの「サービス業」や「警備・交通誘導」などは、60代、70代の職員が珍しくありません。
60代、70代が多い職種では、50代を採用することのハードルが低く、採用される可能性が高くなります。その職種が自分に合っていると感じれば、長く働きやすいこともメリットです。

仕事に生かせる資格を取得する

未経験職への転職なら、仕事に生かせる資格の取得も役立ちます。
資格の取得だけで、未経験職の「即戦力」になれるわけではありませんが、有資格者にしかできない業務が可能になることや、働く意欲のアピールになることがメリットです。
介護職なら「介護福祉士」、事務職なら「日商簿記」など、応募する職種に合った資格を選んで取得しましょう。
「社会保険労務士」や「宅地建物取引士」など、高度な資格を取得できれば、50代でも応募できる職種の選択肢が大きく広がります。

企業が50代の転職者に求めていることは?

転職活動を進める上では、50代の採用を検討する企業が「何を求めているか」を意識することも重要です。多くの企業が求めている4つの要素を解説します。

豊富な経験や専門的なスキル

50代を採用する企業の多くは、「専門的なスキル」のある人材を求めていることが多くあります。
自社のスタッフにはない専門スキルを持つ人材を探している場合や、不足している役職で即戦力となる人材を探している場合などです。若者にはない豊富な経験や、希少性の高いスキルがある人は、50代でも転職に成功しやすいといえます。
相手が求める専門スキルが何かを意識し、これまで培ってきた実績や資格などを利用して積極的にアピールしましょう。

良好な人間関係を築けるコミュニケーションスキル

50代には優れた「コミュニケーションスキル」も求められます。
50代は「新しい会社で良好な人間関係を築けるかどうか」が懸念されることがあるためです。
社会人経験が長いことは、「こだわりの強さ」や「プライドの高さ」につながることがあります。そのような人は、転職先のやり方に順応できず、他の社員と良好な関係を築くことが難しくなってしまうでしょう。
面接での話し方を通じて、「コミュニケーションスキルを持っている」ことを示す必要があります。これまでの実績を説明する際も、部下や同僚とスムーズなコミュニケーションをしてきたことが伝わるように意識しましょう。

若手育成が期待できるマネジメントスキル

50代は管理職として活躍する「マネジメントスキル」が求めれられることがあります。
例えば創業から歴史の浅いベンチャーやスタートアップでは、責任者のポジションに就く人材を確保するために、経験豊富な50代の転職者を採用することも珍しくありません。
マネジメントスキルのある経験豊富な50代は、若手育成の担当者としての活躍も期待できます。
メンバーをまとめ、若手の育成などができるスキルや実績があるなら、マネジメント職の求人に応募してみるのも一つの方法です。

豊富な人脈を活用して事業を成長させられる

「豊富な人脈」を持っている人は、年齢に関係なく企業にとって役立つ存在です。
人脈があると、知り合いを通じて「新規案件」を獲得できたり、前職のつながりで「優秀な人材」を紹介できたりなど、多くの面で会社に貢献できます。
「事業の成長につながる人材」として見られるように、豊富な人脈があることを効果的に説明できるようにしておきましょう。
これまでの実績から、既に多くの企業とのつながりがあることを示すことはもちろん、「新たな人脈を構築する能力」を示すことも役立ちます。これまでどのような工夫をして、どのように人脈を広げたのか、具体的なエピソードを交えて簡潔にアピールしましょう。

50代が転職を成功させるためのポイント

50代での転職を成功させる秘訣について、以下の3つポイントを順番に解説します。

ポイント
・基本として意識すべき4つのポイント
・履歴書・職務経歴書の書き方
・面接マナー

50代の転職成功に必要な4つのポイント

まずは50代の転職で意識すべき「4つの基本」を確認しましょう。

丁寧に自己分析を行う

応募の準備として「自己分析」が重要です。
これまでの実績や、培ったスキルを分析し、転職に有利になる要素がないかを改めて考えてみましょう。
経歴を見直してみると、これまでは意識していなかった「新たなアピールポイント」が見つかるかもしれません。
「自分にとって転職しやすい職種が何か」を改めて検討する機会にもなるでしょう。
自己分析によって、転職活動の方向性がいっそう明確になるはずです。

正社員以外の雇用形態も検討する

雇用形態にこだわりすぎないことも重要です。選択肢を広げ、正社員だけでなく、契約社員や派遣社員などの「非正規雇用」も検討してみましょう。
正社員登用制度があるなら、非正規雇用でスタートしても、最終的に正社員になることも期待できます。
あるいは「業務委託契約」の案件を探して、フリーランスとしての活動を始めてみるのも一つの手です。

会社に溶け込む「柔軟性」「謙虚さ」をアピール

会社に溶け込むコミュニケーションができる「謙虚さ」をアピールすることは、転職の基本です。新しい方法や情報を吸収する「柔軟性」があることも、面接官に伝わるように意識する必要があります。
面接では、プライドが高そうな印象を与えないよう、話す内容や話し方に気をつけましょう。
これまでの実績をアピールする際も、チームとの協力によって成功したことを強調するなど、「自己中心的」な印象にならないよう注意してください。

長期化してもあきらめない

50代の転職活動は「長期的」に活動する姿勢が求められます。
すぐに転職先が決まる人もゼロではありませんが、既に解説した通り50代の転職は「難しい」のが普通です。長期戦になることを前提にスタートしましょう。
長期戦のためには、「仕事をやめない」ことも重要です。仕事がない状態は「焦り」につながり、精神的なプレッシャーとなります。やむをえない事情がない限り、転職先が決まる前に仕事をやめることがないようにしましょう。
「長期戦がしやすい体制」で転職活動に挑むことが重要です。

書類審査で落とされない履歴書・職務経歴書の書き方のコツ

次に「履歴書」と「職務経歴書」の書き方を解説します。書類審査で落とされないために、50代が意識すべきコツを押さえておきましょう。

証明写真も重要

証明写真を工夫することは履歴書の基本です。「人柄」が重視されやすい50代にとって、企業に与える「第一印象」の重要度は特に高いといえます。
免許証の写真のような真顔ではなく、口角を上げた「明るい表情」を心掛けましょう。
清潔感のある「身だしなみ」も重要です。高価な服を用意する必要はありませんが、「きちんとした人」という印象を与えるように、しわやネクタイの位置などにも気を配りましょう。

長すぎる経歴は職務経歴書へ記載する

履歴書に記載する「経歴・職歴」は、長すぎると読みにくくなります。
経歴の内容が多くて書ききれない場合は、社名と入社・退社の年月だけを記載し、文末に「詳細は職務経歴書を参照」と記載してシンプル化しましょう。
経歴・職歴の欄では「職務経歴書を見たいと思わせること」が重要です。特に強調したい経歴を強調するなど「興味を引く書き方」をしてください。

内容は簡潔に、情報の盛り込みすぎに注意

職務経歴書を作る際も「簡潔さ」を意識しましょう。
経験や実績をアピールしようとするあまり多く書きすぎると、強調すべきポイントがぼやけてしまい、逆効果です。分野の異なる経歴が複数あると、「どの分野が専門なのか分からない」と思われる可能性もあります。
経歴やスキルの種類が多い場合は、企業ごとにアピールすべき点を絞り込み、簡潔に記載しましょう。

履歴書の使い回しはしない

履歴書は、会社ごとに合わせて「個別に作成する」のが基本です。
50代の転職では複数社同時に応募することも多くなりますが、1つの履歴書を使い回すのではなく、企業ごとに志望動機やアピールポイントを変えるようにしましょう。
履歴書を使い回すことを前提に作成すると、「どこにでも出せるような、曖昧な志望動機」になりがちです。それでは熱意が伝わりにくく、書類審査で落とされやすくなります。
企業研究を行った上で、志望動機とアピールできるスキルを考え、「その企業に響く」履歴書や職務経歴書を作成しましょう。

50代が気をつけるべき面接マナー

次に、50代が面接を受ける際に気をつけるべき「マナー」を解説します。服装や立ち居振る舞い、話す内容についての注意点です。

清潔感のある服装で臨む

髪型や服装の「清潔感」を意識することは面接の基本です。新卒時代の気持ちを思い出して、改めて服装に気を配りましょう。
服や靴の「汚れ」や「しわ」はもちろん、「劣化」していたり、「サイズ」が体に合っていなかったりなど、マイナス要素がないか十分にチェックしてください。
自己主張の強い柄や、カジュアルすぎる服もNGです。服装では「自分の魅力をアピールする」というより「減点にならないこと」を意識しましょう。

話が長くならないように注意

面接では「簡潔」に話すことも重要です。
50代は実績や経歴を全て話すと長くなってしまうことがあります。
話が長すぎると、話の要点がぼやけてしまい、相手にうまく伝わらないかもしれません。「コミュニケーションスキルに問題がある」「説明が下手」などと思われるリスクもあります。
「話を簡潔にまとめるスキル」を見られていると考え、要点を押さえたシンプルな話し方をしましょう。

過去の話も重要だが、入社後の話はもっと大事

実績など「過去」の話ばかりにならないように注意しましょう。面接では経歴や実績・スキルを見られますが、「自慢話」や「過去の栄光」の話をしていると思われてしまうと、印象が悪くなります。実績が多い50代は特に注意が必要です。
過去の話が多すぎると、「前職でのやり方に固執しているかもしれない」と懸念されるリスクも高くなります。
過去の実績をふまえ、「どのように貢献できるか」「どのように活躍したいか」という入社後の話に持っていくよう意識してください。

謙虚な姿勢で面接に臨む

面接では謙虚な話し方が必要ですが、表面だけでなく本当に「謙虚な気持ち・姿勢」で面接に望みましょう。50代は「面接官が年下」という状況が多いため、特に注意が必要です。
「こちらの方が、社会人経験が豊富」という意識が少しでもあると、それが話し方に現れやすくなります。
入社後には「新人」として柔軟に学ぶ意欲があることを示し、新しい人間関係を作るスキルがあることをアピールしましょう。

まとめ

50代で正社員に転職することは、「求人数が少ない」などの点で不利ですが、ポイントを押さえて活動すれば決して難しくありません。
企業が50代の転職者を採用する理由はさまざま。応募先が「何を求めているか」を分析した上で書類を作成し、面接で話す内容を考えましょう。その際「簡潔さ」や「謙虚さ」を、常に意識してください。
未経験職に応募する場合には、「50代でも転職しやすい職種」を選ぶことも成功のポイント。職種や働き方の条件について、厳密なこだわりを持つことも重要ですが、50代はある程度の「妥協」が必要なこともあります。可能なら「正社員以外」の働き方も視野に入れて、検討の範囲をできるだけ広くすることが重要です。

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