デスクがきれいだとチャンスが訪れる?「整理」「片付け」「段取り」で仕事のパフォーマンスを上げる方法
「デスクがキレイな人は仕事ができる」という噂は本当か? 仕事環境とそのパフォーマンスについて調べた1冊を要約しました。環境を整理できる人と仕事ができる人の共通点や、できない人との思考の違いとは? 仕事もデスクもスマートに片付けたい人にオススメです。
タイトル:超一流は、なぜ、デスクがキレイなのか?
著者:千田 琢哉
ページ数:184ページ
出版社:総合法令出版
定価:1,296円(税込)
出版日:2015年11月02日
Book Review
本書は、経営コンサルティング会社出身であり、のべ3,300人のエグゼクティブと対話した著者の経験に基づく、スマートな生き方をするための指南書だ。「整理」「片付け」「段取り」の3つの観点から、最高のパフォーマンスを発揮する環境のつくりかた、そして、段取りよく仕事を進めるために必要なスキルを、惜しげもなく語っている。
同じ実力なら、デスクの上がキレイなほうにチャンスが流れる――それは、デスクの上がキレイな人のほうが、頼んだ仕事にすぐに取り掛かると思われているからだ、と著者は主張する。反対に、両手が塞がっている人からは、人もお金も去っていくという。なぜなら、両手が塞がるほど荷物を持っているということは、要領が悪い人間であるという証拠だからである。仕事ができない人ほど、デスクの上が汚く、持ち物が多いという著者の指摘に、思わずギクリとさせられてしまう人は少なくないだろう。
デスクがキレイであるということは、仕事をする環境が整っているということであり、それはすなわち仕事の段取りがきちんとできているということである。超一流の人は、仕事のスピードが速い。そして、そのスピードを可能にしているのは、整理整頓されたキレイなデスクなのだ。
物があふれているデスクを前にして、終わらない仕事に埋もれているのであれば、本書を読まない手はない。今すぐページをめくろう。
研ぎ澄まされた環境が最高のパフォーマンスを生む
物が多い状態は恥ずかしいこと
貧しい人の家は、例外なく物が多い。安くて良さそうな物があると、我慢できずについ買ってしまうからだ。
また、バーゲンセールに突撃する人々をよく見てみると、闘争心やコンプレックスを剥き出しにして、殺気立っている人が多いことがわかる。あのような、物や人口の密度が高い場所には、不幸が生じやすいものだ。
一方、年収が上がり、役職が上がってくると、次第に物は少なくなっていく。なぜなら、自分に自信が出てくると、物に依存しなくなるからである。
物が多いということは、物に依存しているということであり、自分に自信がない証拠だ。まず大切なのは、物が多いということは恥ずかしいことなのだと認識することなのである。
成功者は仕事が速い
成功し続けている人たちの共通点は、仕事のスピードが速いこと、そしてそれを可能にさせる環境が整っていることである。最高のスピードを出すための環境を構築するためなら、いくら投資してもかまわない。
「自分の最高のスピードを出せる環境」とはつまり、余計な物がなく、自分の使いやすいように片づけられているということである。机の上が物であふれていたり、パソコンの画面上が汚かったりすると、余計な動きが生じる。その無駄をなくすことこそが成功への道だ。無駄な物がなく、無駄な動きが生まれない研ぎ澄まされた環境が、最高のパフォーマンスを生むのである。
物が増えるのは知恵に投資しないから
気がついたら身のまわりが物だらけになってしまう人がいる。自分としてはそんなに物を買っているつもりはないのに、知らず知らずのうちに買ってしまっている。それはもはや一種の病気である。
そんな人にオススメなのは、見える物ではなく、見えない知恵に投資することだ。勉強にたいする投資はその筆頭である。どんなことでも10年も続ければ、自己紹介で「ちょっとやっています」と胸を張ることができるはずだ。
また、本やセミナーへの投資も有効である。自分の持っているお金を、知恵というかたちで、自分の頭に入れてしまおう。そうすれば、物も増えないし、誰にも盗まれない。本当に価値ある投資対象は、目に見えない物なのである。
その他だと、株に投資することも立派な投資だ。株に投資すれば、否が応でも経済の勉強をしなければならなくなるし、少なくとも物が増えることはない。
無駄な物を持たない
物は手放すことで吸収できる
本は、手放す瞬間に内容が走馬灯のように頭の中を駆け巡る。本に限らず、この世のすべてには、手放すことによって吸収できるという法則がある。
また、1年間使わなかった物も取っておいてはいけない。例えば、1年間使わなかった資料を「またいつか必要になるかもしれない」という理由で取っておくと、机の上やキャビネットが資料であふれかえる。すると、実際よりももっと狭いスペースで仕事をするか、それに耐えきれずにもっと広いオフィスに引っ越すことになる。このように、1年使わなかったものは「貧乏の種」なのだ。
物を手放せば、すこぶる快適に仕事ができるようになり、仕事のパフォーマンスが飛躍的に上がる。万が一、捨てたものがまた必要になったら、たとえ何万円かかっても、もう一度購入すればすむ話である。
デキる人は荷物が少ない
同じ実力なら、普段机の上が綺麗なほうにチャンスが流れる。机の上が綺麗な人のほうが、すぐに仕事にとりかかって成果を出してくれると思われているからだ。逆に言えば、荷物が多い人や、分厚いデカ鞄を持っている人は信用されない。荷物が多いのは、要領が悪いと言って歩いているようなものだからである。
デキる人の場合、例えば出張で3泊するとしても、下着は自分で手洗いするか、コインランドリーのあるホテルを選ぶ。そのため、荷物は3泊分も必要としない。そして、目的地のホテル周辺にある、24時間使えるコインランドリーやコンビニの有無、あるいはホテルのクリーニングの時間を入念にチェックする。そうすることで、いかに荷物を減らすか、知恵を絞っているのである。
今この瞬間に片づける
整理と整頓はまったく違う
整理整頓という言葉があるが、整理と整頓とでは、まったく意味が違う。整理とは要らない物を捨てることであり、整頓とは美しく並べることだ。
整理上手が裕福になる理由は簡単である。いつもスッキリした状態で、生き生きと仕事ができるからだ。また、物の整理ができる人は、人の整理も得意である。三流の人に関わりつづけると、膨大な時間とお金がかかってしまう。三流の人とは綺麗さっぱり決別するのが、整理上手な人である。
一方で、整頓上手が貧しくなる理由も簡単である。いつも物で溢れかえっており、捨てられなかった物を小奇麗に並べることに時間をかけすぎてしまうからだ。しかも、物の整頓ができる人は、人の整頓も上手にできてしまう。つまり、三流の人たちともうまく付き合えてしまうので、縁をうまく切ることができないのである。
整頓することも必要だが、それはきちんと整理できる力を持っている人にのみ許される権利だ。整理ができない人に、整頓する資格はない。すべては、勇気を出して、余計な物を捨てることから始まるのだ。
余計な物を置かなければ仕事は速く終わる
余計な物というのは、今取り組んでいることに関係のないことすべてを含んでいる。例えば、せっかく集中して作業に取り組んでいるのに、机の上に携帯が置いてあるとどうなるだろうか。メールの着信音がなろうものなら、その瞬間に集中が途切れてしまう。
携帯にかぎらず、今使っていない物を置いておくのははっきり言って、「異常」だ。目の前のことに集中してさっさと作業を終わらせればいいのに、余計な物を置いているだけで余計な用事を思い出してしまう。余計な用事を思い出すと、今の作業を中止してでもそれをやってしまう。
そもそも今取り組んでいること以上に大切なことなんてこの世に存在しないはずである。それなのに、余計なことに気を奪われてしまうから、約束の時間にも間に合わせられないのだ。
机の上には余計なものを置いてはいけない。今この瞬間に使うものだけを置くようにしよう。そうすれば、大幅なスピードアップが可能だ。
片づけは周囲のために
机の上の片づけをするのは、自分のためではなく周囲のためだ。
あなたは「ちょっと出かけるだけだから」などと言って、机の上を散らかしたまま出かけてはいないだろうか。散らかされた場所というのは、隣や付近にいる人にとっては気持ちが悪いものだ。いくら自分が片づけていても、近くに片づけられない人がいると、自分まで散らかっているような気分になってしまう。また、オフィスを出入りする業者が、机の上が散らかっている様子を見たら、「この会社は信頼できない」と考えてしまうだろう。
仕事をしていないのに机の上を散らかしたままでいるということは、それだけ罪が重いのだ。プロは自分が席を外す際に、やりかけの仕事をそのまま放置などしない。百歩譲って、お手洗いに立つ場合でも、資料はちゃんと閉じて紙も裏返しておくべきである。
たったこれだけのことを習慣にするだけで、あなたは一気に信頼される人間になる。出かける際に机の上に物を置かないのは、マナーではなく義務だと考えることだ。
段取りがうまい人は運も良い
早く終わる人はスタートが早い
段取りが良い人は、スタートが早い。その仕事を何時間やるかよりも、何時からスタートするかのほうがずっと重要だ。逆に、できない人ほど、あれこれ理由をつけてスタートが遅い。締め切りに間に合わない人は仕事が遅いのではなく、スタートが遅いのだ。
本当に仕事ができる人であれば、毎朝しなければならないことは何もないはずである。なぜなら、今日の仕事は前日にすでに終わっているからだ。今日の仕事を今日やっているようでは、仕事をしていることにはならない。
段取りの良い人に変身するための方法は簡単だ。たった1日だけ、がんばればいい。どこかで1日だけがんばって、明日の仕事を今日終わらせてしまえば、あなたの人生は嘘のようにゆとりのあるものになる。その結果、急な仕事を頼まれても、余裕をもって取り組めるようになるはずだ。
すべてにおいて一石二鳥を狙う
段取りとは能力の問題ではなく、習慣の問題だ。そのため、頭の良し悪しに関係なく、誰でも訓練次第で身につけることができる。
例えばコンビニに出かける際、段取りの悪い人は、コンビニに出かけて自分の弁当だけ買って帰ってくる。一方、段取りの良い人は、コンビニに出かけるついでに、何かできることはないかと真っ先に考える。
このわずかな手間を惜しまないだけで、あなたの人生は確実に変わる。つまり、どんなに些細なことでもいいから、すべてにおいて一石二鳥を狙うのだ。周囲に「今からコンビニに出かけるけど……」と一声かけるだけで、周囲に感謝されると同時に、何かあった時に助けてもらいやすくなる。
クオリティを言い訳にしてはならない
もし仕事が遅いことで悩んでいる人がいたら、自分の胸に手を当てて考えてもらいたい。
「クオリティ」という言葉に逃げてはいないか。
クオリティというのは逃げの口実にもってこいの言葉だ。しかし、クオリティというのは、あなたが決めることではなく、相手が決めることだ。そもそも締め切りが守れないのに、クオリティもなにもない。期限を破ってしまうということは、0点よりもはるか下の評価を受けるということだと心得る必要がある。
どんな仕事においても、仕事が速い人はクオリティも高い。正確に言えば、クオリティが高い人は、仕事も速いのである。
クオリティを上げるには、クオリティを常に意識しながら、ひたすら量をこなすことに尽きる。圧倒的な量をこなそうとすれば、必然的に能力が高まる。そして能力が高まれば、さらに量がこなせるという好循環が生まれるのである。
段取りがうまい人は運も良い
運が良ければ成功するとは限らないが、運がなければ成功はできない。運が良ければ幸せになれるとは限らないが、運がなければ幸せにはなれない。
運を良くするためには、段取りを良くすることが1番の近道になる。仕事の段取りがすぐれている人は、人生の段取りにもそれを応用できるからだ。
人生の段取りを良くすれば、人生がスムーズに運ぶ。たとえ多くのトラブルに見舞われても、段取りが良ければ、それをチャンスに塗り替えていける。その姿が、はたから見ると「運の良い人」に映るのである。
段取りは訓練で誰でも身に付けることのできる習慣である。毎日の習慣が、幸運を引き寄せるのだ。
※当記事は株式会社フライヤーから提供されています。
copyright © 2024 flier Inc. All rights reserved.
著者紹介
-
千田 琢哉(せんだ たくや)
文筆家。
愛知県犬山市生まれ、岐阜県各務原市育ち。 東北大学教育学部教育学科卒。 日系損害保険会社本部、大手経営コンサルティング会社勤務を経て独立。 コンサルティング会社では多くの業種業界における大型プロジェクトのリーダーとして戦略策定からその実行支援に至るまでの陣頭指揮を執る。 のべ3,300人のエグゼクティブと10,000人を超えるビジネスパーソンたちとの対話によって得た事実とそこで培った知恵を活かし、”タブーへの挑戦で、次代を創る”を自らのミッションとして執筆活動を行っている。 著書は本書で113冊目。 -
《本の要約サイトflier フライヤー》は、話題の書籍や名著を1冊10分にまとめた要約が読めるサービスです。経営者や大学教授などの著名人・専門家などが「ビジネスパーソンがいま読むべき本」を一冊一冊厳選し、経営コンサルタントなどのプロフェッショナルのライターが要約を作成しているので内容の信頼性も安心。無料ユーザー登録をすれば、20冊分の要約を読むことができます。
この記事に似たテーマの要約
中島 聡『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』を10分で読める要約でチェック
著者:中島 聡
出版社:文響社
米マイクロソフト本社でWindows95の開発に携わった伝説のプログラマー、中島聡氏が記した1冊を要約しました。仕事を順調にこなすだけではなく、心にも余裕が生まれるようになるという中島氏のビジネスノウハウとは?
仕事の生産性を上げる自分のコントール法 「良い1日」は作り出せる!
著者:キャロライン・ウェッブ
出版社:草思社
あなたにとって「良い1日」とは? どんな働き方ができれば、満足感を得て1日を終えることができるのでしょうか。そんなヒントが詰まった一冊を要約しました。本書で紹介されているテクニックを身に付けて、今よりも満
「パソコンよりも紙」「メールは短く」–今すぐできる仕事を速くする簡単…
著者:木部 智之
出版社:KADOKAWA
仕事が速い人が普段どのようなやり方で仕事に取り組んでいるのか、その「見えざるコツ」を詰め込んだ1冊を要約しました。「仕事の速い人」を見て、彼らのように仕事が速くできたらと思いつつ、どこかで諦めている――