毎日定時で帰っても給料が上がる時間のつかい方をお金のプロに聞いてみた!
「いつも早く帰るのに、常に結果を出している」そんな人はあなたの周りにいませんか? そういった人たちは一体どんな働き方、タイムマネジメントをしているのか気になるますよね。そういった人たちにスポットを当てその仕事術を深堀した1冊をご紹介します。
タイトル:毎日定時で帰っても給料が上がる時間のつかい方をお金のプロに聞いてみた!
著者:井ノ上 陽一
ページ数:224ページ
出版社:サンマーク出版
定価:1,404円(税込)
出版日:2016年06月15日
Book Review
いつも早く帰るのに、常に結果を出している。忙しいはずなのにそれを表情に出さず、しかもプライベートも充実している。そのため周囲からの人望も厚い。そんな「不思議な人」があなたの職場にもいるのではないだろうか。彼らは、なぜ定時で帰っているのに結果を出せるのか? そんな素朴な疑問に答えてくれるのが本書である。
著者は「不思議なあの人」には次の3つの要素が備わっていると述べる。それは、時間の本当の価値を知っているという点、時間のつかい方がずば抜けてうまいという点、そして仕事の質が高く、まわりからの評価も上がっているという点だ。時間の本当の価値を知っていれば、時間のつかい方に磨きをかけることができる。すると、1時間あたりの仕事の密度が濃くなるため、帰る時間が早くなり、仕事の精度も高くなる。結果的に評価が上がり、給料も上がる……という好循環を実現できるというわけだ。
著者が提唱する時間のつかい方を身につけることができれば、日々の仕事に圧迫されることなく、短い時間で成果を出し続けられるという。
本書を通じて、「日々の業務に追われることなく、仕事の精度を高めていくための時間のつかい方と考え方」を学び、「お金が増える時間術」を身につけていただきたい。生活習慣を変えて、「時間もお金も潤沢にある状態」をめざすビジネスパーソンにお薦めの一冊だ。
定時で帰って給料を上げる方法1
時間のマイルールを決める
効率的に成果を出し、「稼げる力」を高めるには、「時間を制限する」「時間をずらす」「スピードを加速させる」という3つの時間術を身につけることが欠かせない。
まずは「時間を制限する」という時間術について紹介していく。限られた時間で仕事の精度を上げるには、自分だけの「マイルール」をつくるところからはじめるべきだという。自分を律することができなければ、時間を制限することは困難になる。そこで「時間のマイルール」をつくり、自分の行動を縛ってしまおうという発想だ。
自分の意思で決めるのなら、一方的に強制されるような窮屈さはない。むしろ、「してはいけないこと」「すべきこと」が明確になるぶん、意思決定がスピーディになり、仕事の効率化にもつながるのである。
著者の場合は、「朝4時に起きる」「22時までに就寝し、徹夜はしない」「1日1冊のペースで本を読む」「午前中にアポを入れない」「毎朝必ず『経理』『タスク管理』『データ整理』『Evernoteでメモ整理』をする」という具合に、マイルールを決めているのだという。こうした小さな行動を習慣化することにこそ意味がある。
「やってはいけない」ルールを決める
同じように、「午前中は会議を入れない」「二次会には行かない」などと、「やらないことリスト」をつくって、自分に課すのも効果的である。「やるべきこと」よりも、「やってはいけないこと」のほうが、ルールとして守りやすいからだ。
マイルールとして決めたことにかける時間は、必然的に1日のスケジュールから天引きされる。そのため、つかえる時間が自然と制限され、ルールを守ろうとすることで、他の時間が引き締まるというわけだ。お金の天引きと同様に、時間もあらかじめ天引きすれば、時間のつかい方がうまくなる。
加速よりも減速
多くの人は、時間を有効活用するためには、「どうやってスピードを上げるか」と考えるのではないだろうか。しかし時間をうまく使うには、「加速よりも減速」、つまり「アクセルよりもブレーキ」のつかい方が重要なのだという。この場合の「ブレーキ」とは中断や静止、休息やプライベートを意味する。
仕事だけで突っ走っていると、体を壊しかねない。だからこそブレーキをタイミングよく踏むことが大切である。そこで、1日のうちに、自分の手をとめて、振り返る余裕を持ち、切羽詰まったときこそ休憩をとるようにしたほうがいい。なによりも、定時で帰ることこそがブレーキになると著者は主張している。
また、スタートに力を入れすぎるのも、後で力を発揮しづらくする原因となってしまう。スタートダッシュをせずに、淡々と毎日コツコツ継続するほうが、長時間、高いパフォーマンスを出せるはずだ。スタートに張り切り過ぎないのは、本当に必要なときにダッシュする余力をつくるためである。
定時で帰って給料を上げる方法2
時間をずらす
2つ目の時間術は「時間をずらす」という方法である。著者は、他の人と違った時間のつかい方をすること、または、これまでと同じ時間のつかい方を変えることを「時間をずらす」と表現し、それだけで「お金密度の濃い自分だけの時間」を生みだせると断言している。その最も効果的な方法が、早起きして、朝に時間をずらすことである。早起きには次の3つのメリットがある。
1つ目のメリットは、「自分だけの時間が簡単につくれる」ことだ。たとえば、2時間早く起きるだけで、他者から邪魔されない時間が2時間つくれる。その時間を使って、自分なりのマイルールを定めてから、プライベートや仕事に関することに挑戦するとよい。
なお、著者はこの時間には、仕事以外の、「重要度は高いのに、おそそかにしがちなこと」に取り組むことを推奨している。例えば、「勉強」「読書」「調べ物をする」「将来に向けた自己投資をする」などである。
2つ目のメリットは、早起きがイメージアップにつながるという点である。早起きをすれば、周囲に対して健康的な印象を与えることができ、周囲から一目置かれる存在になれる。
そして3つ目のメリットは、「夜の時間のつかい方がうまくなる」ことだ。早起きを継続していると、寝る時間が早まるため、必然的に早く帰宅するようになる。すると、ダラダラと残業したり飲み会につきあったりすることが格段に減って、夜の過ごし方にメリハリが生まれるようになるだろう。
朝型に移行するための4つのコツ
早起きが苦手な人に向けて、スムーズに「朝型」へと移行するための4つのコツを、著者は紹介している。
1つ目のコツは、「夜の予定を減らす」ことだ。具体的には、飲み会やお酒の量そのものを減らすとよいだろう。体調を整え、寝るのを早めるためには、お酒を控えるのが効果的だ。
2つ目のコツは、「心ではなく体を疲れさせる」ことである。30分程度のランニングやストレッチなど、適度な運動をして体を疲れさせると、寝付きやすくなり、早起きにつながる。ただし、ここで推奨する「疲れ」はあくまで「体の疲れ」に限られている。逆に心が疲れていると、眠りも浅くなりがちだ。ストレスや心配事をなるべく減らすことも大事なポイントとなる。
3つ目のコツは、早起きするために「目覚まし時計に頼らない」ことである。自然に起きられるようにならなければ、早起きを習慣化させることは難しいためだ。そのため、目覚まし時計の設定時刻を、これまでどおりにしておけば、自力で早起きする練習をしつつ、万が一の遅刻も防げるだろう。なお、目覚まし時計に頼らず、自然に起きるようにしていると、早起きできなかった際に、「ちょっとタスクが多すぎるのかも」などと、身体の異変や忙しさを体感することが可能になる。つまり早起きは、自分の調子を測るバロメーターにもなるというわけだ。
4つ目のコツは、「脳に勘違いさせる」ことである。人間の脳は、思い込みや勘違いをしがちであるため、1日でも早起きしてみると、有効に時間を使えている気分になり、無理なく「朝型思考」にシフトチェンジできる。
ここで強調されているのは、「早起きができた」という小さな成功体験を朝一番に感じることの大切さである。そうすることで、一日中気持ちよく過ごせるうえに、仕事の質も向上すると著者は断言する。
定時で帰って給料を上げる方法3
スピードを加速させる
「時間を制限する」、「時間をずらす」に続く、新たな時間をつくり出す3つ目の方法は、「スピードを加速させる」というものだ。一生モノのスキルを身につけることで、仕事のスピードを上げていくということだ。
たとえば「タッチタイピング」「ファイル管理スキル」「Word、Excel、パワポのつかい方」「ショートカットキー」といったPCスキルに磨きをかければ、業務時間を短縮できる。著者も毎月20万円以上を読書やセミナー、コンサルティングに投資することで、今では投資したぶん以上の高いリターンに恵まれているという。もちろん、スキルを磨くにはお金の投資だけでなく、時間の投資も欠かせない。両方がそろってこそ、仕事のスピードを一気に加速できるのである。
超時短情報収集術
人と差をつけるには、不特定多数がふれている情報を閲覧するだけではダメだ。大事なのは、自分が必要な情報を独自にとりにいく姿勢である。
インターネットで情報収集をするなら、自分が見たいニュースサイトやブログの更新情報だけを効率よく集めてくれるRSSという仕組みを使うとよい。さらに「Feedly」というサービスを使えば、RSSの更新情報を一覧できる。自分に合った情報を自動的に集めてくれる「スマートニュース」や「グノシー」などのサービスには、多少の恣意性がある。そのため、100%自分でニュースサイトをつくれる「Feedly」を駆使してみることを著者は薦めている。
PCのなかの整理整頓、できていますか?
著者によると、「机の上を片付ける」といった、目に見える整理整頓だけでなく、PCのなかの整理整頓も重要だという。現代ではPC中心の仕事が多いだけに、目的のデータファイルをすぐに見つけられないと、時間を浪費するし、ストレスもたまってしまう。そこで、「超時短PC整理術」と名づけて、次の3つの方法を推奨している。
1つ目の方法は、「デスクトップにファイルを置かない」ことである。PCのデスクトップにファイルを置くと、見栄えが悪いだけでなく、ファイル名が他人に見えるうえに、気が散って集中力が薄れてしまうといったデメリットが生じる。そのため、デスクトップ以外の、決まった場所にファイルを保存することが重要となる。
2つ目の方法は、「単純なファイル名をつける」ことだ。「取引先名 仕事の種類」だけで十分だという。たとえば「A社 プレゼン」「B社 営業報告書 2016年」というようなファイル名なら、すぐに判別がつく。日付を入れるのは、必要だと判断したときのみでよい。
3つ目の方法は、「フォルダーを2つ以上使わない」ことである。フォルダーの階層が深すぎると、目当てのファイルを探すのにフォルダーを何度もクリックする手間が生じ、かえって非効率になる。著者の場合は、データファイルを入れる「Dropbox」という名前のフォルダーと、一時的な保管場所としての「Inbox」という仮のフォルダーだけを使用しているという。一度「Inbox」に入れて、翌朝にファイルを整理すれば、思考の整理にもつながる。フォルダーは、必要最低限にするべきだということだ。
時間術のゴールは「時間術を捨てること」
「稼ぐ力」を高めるというゴールを達成するには、本書で紹介したような時間術を無意識に実践できる状態になることが必要だ。時間術を自分のものにするために、心がけるべきポイントの一部を紹介する。
まずは、集中力を維持するために「見えない化」をすることである。メールやデスク回りの書類、PCのデスクトップ、メモ、Twitterなどを、普段目につかないようにすることで、集中力が途切れるのを防ぐことができる。SNSやメールの通知音をあえて切り、チェックする時間を限定することが効果的だという。
また、人に任せる、PCをつかいこなしてPCに仕事を任せるという発想も、時間術を体得するうえで必要だ。そのためには、PCの操作スキルや、わかりやすい伝え方が求められる。やりくり上手とともに、任せ上手をめざすとよい。
※当記事は株式会社フライヤーから提供されています。
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著者紹介
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井ノ上 陽一(いのうえ よういち)
株式会社タイムコンサルティング代表取締役。税理士。
1972年大阪府出身宮崎県育ち。「残業」「休日出勤」が当たり前の総務省統計局、税理士事務所、ベンチャー企業を経験しながらも、目の前の給料ではなく時間を重視し、定時に帰るための時間術を身につける。その後、休みなく働くのが当たり前のフリーランスとなっても、「セイゲン・ズラシ・カソク」などさらなる時間術を駆使することで仕事とプライベートのバランスをとり、仕事の時間をどんどん短くしつつ、年収を会社員時代の2倍以上に増やすことに成功した。 ブログを3200日以上毎日更新しており、1ヶ月60万PV以上を数えている。トライアスロンが趣味。 著書に『そのまま使える 経理&会計のためのExcel入門』(日本実業出版社)、『社長! 「経理」がわからないと、あなたの会社潰れますよ!』『ひとり社長の経理の基本』『フリーランスのための一生仕事に困らない本』(いずれもダイヤモンド社)などがある。 -
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