スマホの5分で人生は変わる
今では生活に欠かせないものとして誰もが持っているスマホ。そのスマホの使い方を、5分改善するだけで人生がより良いものになっていくと語っているのが本書だ。そんな興味深い内容を、10分で読めるようにまとめてみました。上手なスマホ活用術とは?
タイトル:スマホの5分で人生は変わる
著者:小山 竜央
ページ数:240ページ
出版社:KADOKAWA
定価:1,404円(税込)
出版日:2016年09月28日
Book Review
今や私たちの生活に欠かせないスマホ(スマートフォン)。日本に登場して数年足らずにもかかわらず、電車に乗れば、多くの人がスマホの画面に釘付けという場面に出くわす。現代は仕事上でも、同僚や友人とコミュニケーションを取る上でも、スマホは必須のツールとなっている。あるマーケティング会社のデータによると、私たちは1日に約3時間もの間スマホの画面を見つめているという。つまり、多くの人がスマホに「依存」しているといってよい。この理由として著者は、「快楽物質のドーパミンを得られること」と「アクセスのしやすさ」という2点を挙げている。これらの要因により、何も考えずにスマホに手を伸ばし、時間を浪費してしまうというわけだ。
著者が今まで会ってきた成功者の共通点は、目的を持った上でスマホを戦略的に使用している点だという。スマホを目標達成のためにうまく活用して出世する人がいる一方、単にゲームやSNSで時間を浪費する人がいる。この両者の分かれ目は、スマホの使い方だ。スマホに使われるのではなく、スマホを使いこなせるようになる一歩として、著者は時間管理アプリでスマホに使った時間を測定し、視覚化するという方法を推奨している。使用時間を目で見て認識することで、長時間の使用を問題視できるのだ。
まずは日頃使わないアプリを削除し、トップ画面を整理することからスタートしよう。その後の進め方は、ぜひ本書で確かめてほしい。「スマホで使っている5分」の内容次第で人生が変わっていくと痛感できるはずだ。
ついついスマホに手が伸びるワケ
1年のうちに1ヶ月もスマホを使用する現状
スマホを持つ人を対象にしたアンケート調査で、約半数が1日に3時間以上スマホを使用していることがわかった。この習慣を1年続けると、約1ヶ月間に渡ってスマホに接していたことになる。さらにこれが一生続くとすれば、人生の約10%の時間をスマホの画面を見て過ごすことになる。しかし、この習慣をすぐにやめることは難しい。なぜなら私たちはスマホに「依存」してしまっているからだ。
人はドーパミンを常に欲する
スマホでSNSやゲームをしていると、「ドーパミン」という快楽物質が出るため、つい夢中になってしまう。もちろん、スマホを使用したときに出るドーパミンの量は、ギャンブルや薬物と比べるとわずかである。それでも依存を引き起こしやすい理由として、アクセスのしやすさという点が挙げられる。
日本人はギャンブルの依存率が世界一だという。激しいギャンブル依存を引き起こしやすいパチンコやパチスロが駅前など、いたるところにあり、簡単にアクセスできてしまうからだ。スマホはパチンコよりもはるかにアクセスがしやすいため、たとえドーパミンの放出が少量だとしても依存状態を生み出しやすいのだ。
新しい習慣を身につけるには約6週間が必要
スマホに依存する現状を変えたいと思っても、すぐには実行しづらい。脳の中にスマホを常に利用する習慣という名の回路ができているからだ。
新しい習慣を身につけるには、新しい脳の回路を作る必要があり、約45日、つまり約6週間がかかるといわれている。完全にスマホを断ち切ることは事実上難しい。そこで現実的な対応として、まずは「SNSをしばらく見ない」などと周囲に宣言することを推奨したい。逆に「少しくらいいいだろう」と誘ってくる人がいる場合は、相手と距離を置くか、最初から協力をあおぐのがよい。
また、自分が心地よいと感じている刺激が何なのかを解明することも重要となる。その刺激を自分の成長につながる他の刺激にすり替えるようにしよう。
だから時間を奪われる
カスタマイズという戦略
アプリの業界は、いかに顧客の時間を奪うかを競っている。ゲームアプリの戦略の一つとして「カスタマイズ性」がある。多くのスマホゲームでは、性別や容姿を自由にカスタマイズした自分の分身である「アバター」を使って遊ぶことができる。カスタマイズによって、ゲームの世界を思うままに変化させられる。これは「変化するものにハマる」という人間の性質をよくとらえている。さらに、カスタマイズで自己肯定感を満たす効果も得られる。このように、ゲームの世界では少額で理想の姿を実現できてしまう。
このほか、ヒットするゲームには人間の脳の特質に合わせた魅力がふんだんに盛り込まれている。たとえば、やればやるほどレベルが上がる「称号(レベル)」システムや、キャラクターやアイテムを集めてコンプリートしたいという欲求をかきたてる「コレクション性」などである。
くわえて、現在のスマホゲームの多くは、「クリアする」という状態にならないため、ユーザーの時間を奪い続けることになる。昔のゲームは、クリアすることでドーパミンが出るという仕組みになっていたが、今のゲームは単発のプレイで十分快感を得られるため、ゴールをめざす必要がない。すると、ユーザーは集中力や目標を達成しようという意識をも奪われてしまうのだ。
スマホ整理術
視覚化で課題を認識する
ここからは、スマホに人生を奪われないための方法を紹介する。人は人間ドッグや健康診断の結果を見て、急いで食生活を変えたり、病院に通い出したりする。それは病名や症状が視覚化されたためだ。目で見て認識しない限り、人は問題を問題として捉えない。同様に、スマホへの依存を問題視するようになるには、使用時間の記録をとって数値化してみるといいだろう。そこで初めて依存から脱却する一歩を踏み出せるのだ。
まずは、24時間で自分がどれだけスマホを使ったのかを測るといい。最近は「Forest」や「Timer Lock」といったスマホ依存対策アプリが登場している。これで自覚を促すことが大事な一歩となる。
行動と時間の使い道をアプリで管理する
スマホで浪費する時間をより良い時間にすり替えたいのなら、「自分の行動」について調べる必要がある。なぜなら、スマホを使用する時間を節約しても、ただテレビを見たり漫画を読んだりして浪費していては意味がないからだ。
行動そのものを視覚化するには、行動管理、タイムトラッキングをしてくれる「Toggl」などのアプリを使うと便利である。自分が行動し始めた時間と終了時間をタップするだけで記録が取れる仕組みになっている。
人生は1日の使い方で決まってくる。自分を変えたいならば行動を把握し、思慮深くなろう。そして、自分を成長させるために、用途を決めてスマホを使うことが重要だ。
自分を向上させるアプリはトップページに
スマホの整理は人生を変えるきっかけになる。まずは、アプリを厳選し、自分を向上させるアプリはトップページに置こう。娯楽やコミュニケーションのアプリは2ページ目以降に置くとよい。
配置を決めたら、部屋の片づけと同じように、不要なアプリは捨てるようにしたい。取捨選択の基準は、そのアプリを使えば使うほど、人生の質が良くなるかどうかである。また、1週間以上使っていないアプリはトップ画面に置かないことを著者は薦めている。なぜならトップは最も目につく画面で、様々な影響を受けやすいからだ。
スマホを使う上でのルール
理想の人生につながる「マイルール」を作る
スマホのトップページにどんなアプリがあるかで、あなたの行動や生活ぶりがある程度わかってしまう。つまり、スマホのトップページにあるアプリであなたの人生は決まるといってよい。
トップに置くアプリを決める際、自分の「マイルール」を作ることが重要だ。これは自分のフレームワークを作ることと同義である。多くの成功者に共通する人生の目的は、健康、人間関係、時間、お金の4つに分かれている。最終的には、この4つの分野を充実させることが幸せな未来につながる。まずは自分が向上させたいと思う分野に関するアプリを優先的にトップ画面に配置し、視覚化していこう。
ゴールの日程と夢を叶えるまでの展開を意識する
夢や目標の実現に役立つアプリとして、著者が推奨するのは、自分の脳に本当にやるべきことを認識させる「lino」というアプリである。なかなか夢が叶わないのは、脳がその夢を認識していないことがそもそもの原因だ。linoのビジョンボードに夢や目標を貼り付けて何度も見直すことで、脳はそれを大切なことだと認識する。すると、無意識にそれが行動や選択にも反映されていく。linoはクラウドサービスのため、パソコンからでも同じ画面を確認することができる。
目標達成に近づくには、目標を決めたときに、ゴールの日程を設定しておくのが効果的だ。そして、見直すたびに自分がわくわくする展開を想像するとよい。どのように夢を叶えていくかという展開を意識しなければ、夢のままで終わってしまうだろう。
成功するためのスマホ活用術
環境整備の重要性
スマホを自分の最適なパートナーにするために最初にすべきことは、自分が人生でどのような結果を得たいのかを明確にすることである。
次はセットアップ、つまり「環境整備」を行う。結果を得るためにやるべきこと(ToDo)を作り、それをサポートするアプリを取り入れていく。その際、自己管理に夢中にならないよう気をつけてほしい。機能の優れたアプリはライフログなどにはうってつけだが、決めたことをただやり続けても、人生は大きく変化しない。なぜなら、想像できる範疇でしか行動しなくなるからだ。
また、フレームワークを作って自分を管理することは大切だが、時にはそのフレームから飛び出すことが重要となる。その際に、イベント予約系のツールを取り入れるとよい。たとえば「英語をマスターしたい」という夢があれば、「英会話体験レッスンに参加する」というように、現実に参加が求められるイベント予約を行うのだ。お金と時間を使う強制力のあるイベントであればあるほど、夢の実現につながりやすい。
新しいジャンルのイベントを予約
セットアップ(環境整備)でイベントを予約する際、「予期せぬイベントを引き起こす」ことも、わくわくする人生を送るための一歩となる。脳には新しい刺激を避ける傾向があるため、意識しなければ今いる世界から抜け出すことが難しい。しかしスマホがあれば、簡単に新しいことにチャレンジするきっかけをつかめる。セミナーや交流会などのポータルサイト、アプリをチェックすれば、新しいジャンルのイベントに遭遇しやすくなる。セミナーであれば「セミナーズ」、遊びや体験を求める場合は「asoview!(アソビュー)」といった有名なサイトがあり、アプリ化されているものもある。
「watav(ワタビ)」というアプリは、自分の趣向に合ったイベントをシステムが判断してピックアップし、情報提供してくれる。このようなアプリを駆使すれば、新たな体験とともに人生を充実させる出会いが待っているはずだ。
脳のRAS機能を使う
実現させたい夢を、脳に重要なものと認識させるには五感に訴えかけることが大切だ。たとえばlinoは、夢をビジュアル化して貼り付けられるアプリなので、毎朝それを眺めるだけで実現まで導いてくれるツールとなる。その理由は脳のRAS機能にある。RAS機能は自分にとって必要な情報と、そうではない情報を自動的に分ける仕組みを持つ。忙しいと夢を現実化するための行動がつい後回しになってしまうのは、このRAS機能によって「それほど重要ではない情報」に振り分けられてしまうからだ。
そのため、何度も見たり触れたりすることにより、脳にそれが重要だと認識させなければならない。そうすれば、普段選択する情報が変わってくるので、チャンスの幅が確実に広がっていく。
※当記事は株式会社フライヤーから提供されています。
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著者紹介
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小山 竜央(こやま たつお)
株式会社ライブクリエイト代表取締役。講演会コンサルタント。
1982年香川県生まれ。2003年個人で運営するオンラインゲームサイトが月間3600万PVを突破。ゲーム業界にてアバターを用いたアバガチャを広める。2005年大手広告代理店に入社しSNS開発、ゲーム開発、マーケティングに携わる。 その後、独立し、過去に培った知識を元に「ゲーム理論マーケティング」を取り入れた法人へのビジネス指導と、講演会を全国で開催。さらには、世界的な著名人の海外教育研修プログラムを直接プロモートし、そのノウハウをいかし効果の高いセミナーの実施をトータルに支援する。また自身も幕張メッセ、東京ビックサイトなど、大規模な講演会にて聴衆から絶大な支持を誇る人気講師として活躍する。統計学、認知心理学、脳科学などにも携わり、日本、世界で活躍する経営者、投資家とコネクションを持ち、成功者の脳の特性や仕組み、成功パターン等についても科学的に分析、独自の研究を重ね、体系化している。 現在、講演会コンサルタントとして活躍すると同時に、後進の指導を行っており、指導した延べ人数は5万人を超え、何千人ものセミナー講師を日本全国に送り出している。アンソニー・ロビンズ氏来日セミナーの公式スポンサーをつとめ、ロバート・アレン氏のセミナープロデュースなども手がける。 著書に『5分の使い方で人生は変わる』『人生の悩みはお風呂で消える』(ともにKADOKAWA)、『強運になるお風呂習慣』(宝島社)、『なぜか、自動的に幸せになれる72の習慣』(サンマーク出版)、『ストーリー思考で奇跡が起きる』(大和書房)など多数。 -
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