人間の直観の的中率は90%!?メンタリスト DaiGoが教える『直観力』の鍛え方

世の中には高い確率で正しい選択ができる人がおり、彼らの共通点は自分の直観を信じる力の高さだといいます。メンタリストDaiGoが、そんな「直感」の正体を解き明かした本を要約しました。「なんとなく」を制すれば、人生を制することができるというメッセージが詰まった一冊。

直観力

タイトル:直観力

著者:メンタリスト DaiGo

ページ数:256ページ

出版社:リベラル社

定価:1,404円(税込)

出版日:2017年03月25日

 

Book Review

世の中には非常に高い確率で正しい選択ができる人がいる。彼らの共通点は、自分の直観を信じる力の高さだ。しかも、なんとなく感じる最初の直観はまず正しい。イスラエルのある大学の研究によると、人間の直観の的中率は90%というから驚異的だ。
直観とは、脳が過去にインプットしてきた経験や学習のデータベースから、無意識に答えを引き出してくる超高速の脳の意思決定プロセスである。つまり直観は、記憶という根拠に基づいた、脳の論理思考の一種なのだ。
著者は自分の直観を信じて行動することで、ここぞという意思決定で間違いのない道を選び、活躍のフィールドを広げてきた。本書には、そんな著者が調査・研究を重ねて導き出した、直観力を磨き、日常生活に活かすための条件や事例、ノウハウ、偏った直観を回避するための習慣などが、わかりやすい図やイラストとともに丁寧に書かれている。正しい直観を妨げるバイアスを意識できるようになれば、しめたもの。「当たった直観を紙に書きだす」といったトレーニングを習慣化すれば、みるみる直観力が研ぎ澄まされていくのを実感できるはずだ。
直観はスピーディーに決断を下し、後悔のない生き方をするための強力な武器でもある。「試行錯誤を重ねれば誰でも直観力を磨ける」。この一貫したメッセージに、心救われる読者も多いのではないだろうか。「なんとなく」を制すれば、人生を制することができる。直観を手なずけるための一歩を踏み出してみてほしい。

直観を味方につけるために

直観とは何か

直観とは何か

直観とは「論理的な思考や意識的な観察を介さず無意識に意思決定や判断が行われること」を指す。直観を天賦の才だと思っている人も多いが、それは間違いだ。直観は、単なる当てずっぽうではなく、脳の意思決定プロセスの一つである。しかも、その能力はコンピュータでも太刀打ちできないほどであり、誰もが普段から使っている。
物事を「なんとなく」で判断するときと、熟考して判断するときでは、脳内で起きている情報処理プロセスが明らかに違う。そして、この「なんとなく」こそが、直観の正体だという。
直観を使いこなせる人は、意思決定が速く、後悔しない判断ができる。たとえ直観での判断が間違っても、「自分で信じた判断」であるためすぐに心を切り替えられる。このように、直観を使えば後悔しない生き方が手に入る。

直観の3原則

直観を味方につけるために押さえておくべき3つの原則がある。
1つ目は、「最強の根拠は『なんとなく』」ということだ。イスラエルのある大学の研究によると、「なんとなくこの人と気が合いそう」といった、日頃感じる最初の直観は、90%近い確率で的中することが証明されている。この精度の高さは、「過去の経験の記憶」という立派な根拠に基づいているためだ。現に、実際に面接をした場合と、映像で一部だけ見た場合とで、面接官による評価はほぼ同じだという実験結果もある。つまり、パッと見の直観とじっくり精査した結果で、相手の印象はほとんど変わらない。初対面での第一印象は、かなりアテになる。となると、判断に迷ったときは、わずか2秒程度で感じる「なんとなく」の直観に従ったほうがよいといえる。
ただし、何でもかんでも直観で決めればいいというわけではない。例えば、薬の効き目のように、科学的な実験や調査、分析によって答えを導くものに関しては、分析をしたほうが正確さを増す。課題によって判断のアプローチを使い分けることがポイントだ。
2つ目は「直観は技術」という原則だ。直観とは、過去に蓄積してきた経験や学習のデータベースから無意識かつ高速で引き出された答えである。よって、直観による判断経験や記憶、知識を積み重ねていけば、習得できる技術だといえる。
直観は理屈を超えた領域であるため、理性的な人ほど直観を否定しがちだ。しかし、自分の内なる感覚的なサインに従ったほうが、後悔しない選択につながりやすい。直観を最大限に活かすための鉄則は、自分の直観を信じることといえる。そのうえで、最初の直観と現実を照らし合わせ、ズレが生じた場合はその原因を検証する。このフィードバックの積み重ねで、先読み力、すなわち直観力が鍛えられていく。
そして、3つ目の原則は「行動なくして直観なし」というものだ。「ピン!」ときても、それに従って行動しなければ、直観が「なかったこと」になってしまう。直観力の鋭い人は共通して、直観に従って行動し、それが違ったらすぐに修正する。トライアルの機会が増えるほど、直観が的中する確率も高くなる。要は、物事の判断や決断に完璧を求めず「70%くらいで見切り発車」できるかどうかだといえる。

直観力がアップする7つの条件

プロ棋士は直観で次の一手を打つ

直観が発揮されやすい状況をつくるための7つの条件のうち、一部を紹介する。
1つ目は、「多くの知識・経験」である。例えば、将棋や囲碁のプロ棋士が対局で最善の一手を瞬時に選べるのは、膨大な量の専門知識と経験の裏付けがあるためだ。つまり、ある分野のエキスパートであればあるほど、その道の直観力を発揮しやすいといえる。その分野について学習や経験でしっかり準備できていることが、直観力を発揮する基盤となる。

直観に耳を傾ける余裕を持つ

2つ目は、直観に耳を傾けられるような「脳の余裕と心の安定」だ。例えばTo Doリストは作業効率を上げるだけでなく、「今やるべきことを明確にする」効果があるため、余計なことを考える必要がなくなる。すると、脳に余裕が生まれるため、直観がより働きやすくなるのだ。同様に、リスクをとるほど直観は鈍る。生活の安定を捨てて背水の陣で物事に臨むと、どうしても慎重になり過ぎて、直観による決断を貫きにくくなってしまう。よって、できるだけリスクの少ない安定した状態をつくることが、直観に正直になるための大事な条件となる。

専門バカにならず、趣味を極める

3つ目は、専門とは異なる分野で「一芸に秀でる」ことだ。ある分野に精通したエキスパートほど直観が鋭くなるが、いわゆる「専門バカ」には必ずしもそれが当てはまらない。ノーベル賞を受賞した研究者や科学者の中には、舞台芸術に携わっている人が非常に多いという。そればかりか、音楽、美術、工芸、文筆といった芸術関係の趣味を持っている科学者のほうが、ノーベル賞の受賞率が高い。人間の脳は、一つの分野に秀でると、それとは直接関係のない分野でも能力が活性化されるようになっている。そのため、玄人はだしの趣味を持っている人は、より鋭い直観力や高い創造性を発揮できるのだ。このように、専門外の刺激が直観を引き寄せる。

CSREのサイクルで直観を働きやすくする

直観が鋭い人は、思考が行き詰まったときに一度リセットするというメリハリを重視している。そのとき有効なのは、「集中して思考する(Concentrate)」→「思考を一度止める(Stop)」→「リラックスする(Relax)」→「ユリイカ=直観で感じる(Eureka)」という4つのステップを踏むことだ。これを直観が働きやすくなるサイクル「CSRE」と呼ぶ。
ある課題についてわき目もふらず集中して考え抜き、その後「いったん休憩!」と、スパッと思考を完全に停止させる。そして課題について考えずにボーっと過ごせば、緊張した脳が弛緩し、これまで出てこなかった名案が降りてくるのである。つまり、仕事を離れて散歩をしたり音楽を聴いたりするといったリラックスの最中に、脳内データベースが熟成されると考えてよい。人事を尽くした後は、直観が引き出されるのを待つだけだ。

直観をニブらせる7つのワナ

正しい直観を妨げるバイアスというワナ

決めつけや無意識の先入観といった「バイアス」が直観に入り込むと、直観の精度はガクンと下がってしまう。そこで、バイアスや固定観念といったノイズを捨て、最初にパッと見て感じた「まっさらな印象」で物事を判断することが必要となる。
また、一般的に人は、自分のことに関しては予想も評価も判断も、他人のことに比べてかなり甘くなるといわれている。正しく直観を発揮するには、代表的なバイアスと、その影響を知っておくことが欠かせない。バイアスの一部を紹介する。

確証バイアス・自己奉仕バイアス

確証バイアス・自己奉仕バイアス

バイアスの代表例の一つは、自分にとって好都合な情報や、自分の先入観の裏付けとなるような情報だけを集めようとする傾向、「確証バイアス」である。例えば、面接で履歴書を見ることによって、第一印象の正確さがマイナスの影響を受けてしまうというのも、この確証バイアスの仕業である。好都合な情報だけを集めることで、思い込みの度合いが強まり、正しい情報を見逃してしまう。
同様に、「成功したら自分の手柄、失敗したら誰かのせい」だと考える傾向、「自己奉仕バイアス」にも気をつけたい。自分のプライドを守るために、無意識にこうしたバイアスが働き、直観を鈍らせてしまう。

正常性バイアス・多数派同調バイアス

「自分だけは大丈夫」と考え、自分にとって都合の悪い情報を無視する傾向、「正常性バイアス」も直観の妨げとなる。オレオレ詐欺や振り込め詐欺の被害者は、この正常性バイアスを利用されているといえる。直観で得た違和感を勝手に打ち消して、根拠なく「正常」と思い込んでしまうのだ。度が過ぎると、「異常事態」を正常と認識してしまい、命を危険にさらすこともありえるので要注意である。
また、行動に迷ったとき、人は周囲の人に合わせておけば安心だと考える心理傾向、「多数派同調バイアス」に陥りやすい。「みんなの総意」を担保にして「自分も大丈夫」と思い込むと、危機を察知するという本能に近い直観も機能しなくなってしまう。さらにこれが悪化すると、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」と言わんばかりに、慎重さを欠いたリスキーな選択をする「リスキーシフト」が生じかねない。
このように、バイアスに惑わされる危険性を自覚し、フラットな気持ちで物事を見直す姿勢が求められる。

バイアスを回避するための5つの習慣

偏った直観=バイアスを防ぐ

バイアスとは、無意識に生まれた先入観や思い込みで偏りが生じた直観といえる。このバイアスを回避して、直観を正しく発揮させるには、凝り固まった頭をやわらかくすることが必須となる。そこで、具体的に役立つ習慣の一部を取り上げる。
1つ目の習慣は、「直観を紙に書く」というものだ。「こうしよう」と直観的に下した判断や決断などを紙に書き、可視化することで、冷静に客観視できる。すると、思いついた瞬間には気づけなかったバイアスがあぶり出せるようになる。
ここで大事なのは「手で書くこと」だ。ペンを使って手書きするほうが指先からの刺激がより多く脳に伝わり、直観の精度が上がる。さらには、自分の思考を書き出して直観と比較することで、本心に気づきやすくなるというメリットもある。

ブジャデを感じて「いつも」から脱却する

2つ目の習慣は、「ブジャデ」を感じて普段から創意工夫をすることである。「デジャブ」は、一度も体験したことがないのに、すでに体験したことがあるかのように錯覚する現象を指す。ブジャデはその真逆であり、「何度も経験しているのに、まるで初めてのように新鮮に感じる現象」である。慣れ親しんだ友人や行きつけのお店といった、「当たり前」のものに、新しい視点で向き合うことで、直観を邪魔する様々なバイアスを払拭しやすくなる。
実際、与えられた環境に安住せず、「もっと良い方法はないか」と工夫する習慣を持つ人は、ビジネスにおいても高い成果を出す傾向にあるという。ブジャデによって「いつも」の中に新しさを見出すことが、直観を活かすことにつながる。

※当記事は株式会社フライヤーから提供されています。
copyright © 2024 flier Inc. All rights reserved.

著者紹介

  • メンタリスト DaiGo

    慶応義塾大学理工学部物理情報工学科卒業。英国発祥の人の心を読み、操る技術“メンタリズム”を駆使する日本唯一のメンタリスト。テレビ番組への出演多数。現在は、作家、大学教授、企業顧問として活動中。心理学を応用し、ITサービスから遺伝子検査まで様々なプロダクトを開発している。ビジネス、話術から恋愛、子育てまで、幅広いジャンルで人間心理をテーマにした著書は、累計160万部を突破。主な著書は、『一瞬でYESを引き出す心理戦略。』(ダイヤモンド社)、『自分を操る超集中力』(かんき出版)、『ポジティブ・チェンジ』(日本文芸社) 、『トークいらずの営業術』(リベラル社) など多数。

  • flier

    《本の要約サイトflier フライヤー》は、話題の書籍や名著を1冊10分にまとめた要約が読めるサービスです。経営者や大学教授などの著名人・専門家などが「ビジネスパーソンがいま読むべき本」を一冊一冊厳選し、経営コンサルタントなどのプロフェッショナルのライターが要約を作成しているので内容の信頼性も安心。無料ユーザー登録をすれば、20冊分の要約を読むことができます。

人間の直観の的中率は90%!?メンタリスト DaiGoが教える『直観力』の鍛え方
この記事が気に入ったらいいねしよう!

その他のコンテンツを見る