朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる

朝はコーヒーで目を覚まし、夜はビールで疲れを癒すビジネスマンは多いはず。その飲み方を少し変えるだけで、仕事のパフォーマンスが上がることを知っていますか? そんな内容が記された1冊を要約した本記事。いつもの1杯を最強ドリンクに変える裏技をご紹介!

朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる (Business Life)

タイトル:朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる (Business Life)

著者:馬渕 知子

ページ数:208ページ

出版社:クロスメディア・パブリッシング

定価:1,490円(税込)

出版日:2017年07月21日

 

Book Review

「コーヒーとビールが自律神経を整え、仕事のパフォーマンスを上げる」。
日頃からコーヒーとビールを愛飲していても、それが健康に良い影響をもたらすということを知る人は多くはないはずだ。コーヒーとビールの恩恵を十分に受けるには、正しい「飲み方のルール」を守る必要がある。そのルールを余すことなく紹介する1冊があるとなれば、読まずにはいられない。
もちろん、これまでコーヒーとビールを漫然と飲んでいたことを嘆く必要は決してない。本書で正しい飲み方を学んで習慣化すれば、日常的な2つの飲み物が仕事のパフォーマンスを高めるための起爆剤へと様変わりする。また、ルールに面倒な点は一切なく、普段から取り入れやすいものばかりなのでご安心を。
著者は、東京栄養食糧専門学院副校長を務めており、栄養学や食文化にも精通しているドクターだ。かつてより、水は最高のサプリメントであり、1日に3リットルは飲むべきだと、水の重要性を訴え続けている。本書では、パフォーマンスを底上げする水分補給の秘訣についても詳しく解説されており、読者は水が体にもたらすメリットの幅広さに驚くことだろう。重要なのは、水はコーヒーとビールの効果を得るために欠かせない存在ということだ。そして、水を積極的に飲むだけで、健康への効果も期待できるという。
「いつもの1杯」を、絶好調で1日を過ごすための最強ドリンクにしていただきたい。

飲み物に秘められたパワー

一流は「飲むこと」にこだわる

一流は「飲むこと」にこだわる

1日の中で、人は必ず飲み物を口にする。しかし、飲み物に秘められた本来のパワーを理解している人は少ない。飲み物は水分補給、あるいは補助的な存在として捉えられがちだからだ。
そこでまずは、飲み物が体内に吸収されるスピードを理解したい。飲み物は、食べ物と比べると約50倍もの速さで消化吸収が行われる。具体的には、食べ物が胃で4時間もかけて消化されるのに対し、飲み物にかかる時間はたったの5分程度だ。
さらに飲み物の場合、その栄養分は小腸だけでなく胃からも吸収される。つまり、口にしてからわずか数分で栄養が全身を駆け巡るということだ。この利点を活用しない手はない。
もちろん、バランスのよい食事を摂ることは大切である。そのうえで、飲み物を上手に摂取することによって、多忙なビジネスパーソンでも心と体の健康を維持し、ひいては仕事のパフォーマンスや生産性を上げられる。必要なのは、飲み物に秘められたパワーを知ること、そして飲み物を効果的に取り入れる技だけだ。

なぜコーヒーとビールが効果的なのか?

コーヒーとビールが仕事のパフォーマンスを高める理由は、これらが自律神経を整えてくれるからだ。
自律神経は生命維持に欠かせないものである。情緒不安定、イライラ、集中力低下、疲労感、寝不足感。これらの症状はすべて自律神経の乱れによって引き起こされる。しかし、コーヒーとビールの飲み方次第で、交感神経と副交感神経のバランスを整えることが可能となる。
例えばカフェインが適度に含まれたコーヒーは、交感神経を優位に働かせる力をもつ。短期間で効率よく勉強したいなら、カフェイン濃度が高めのコーヒーを飲めば、集中力も高まる。一方、適量のビールは副交感神経を優位にし、リラックス作用を全身にもたらしてくれる。このように、両者の戦略的な飲み方を取り入れれば、仕事と人生のあらゆる問題を解決しやすくなる。

コーヒーとビールの正しい常識

朝イチのコーヒーがだるさを招く

毎朝、眠気覚ましにコーヒーを1杯という人は多いはずだ。しかし、この飲み方こそ身体の慢性的なだるさを引き起こし、1日のパフォーマンスを低下させる可能性が高い。
これは「コルチゾール」というホルモンが深く関係している。コルチゾールは、目覚めに大きな影響を与えるホルモンである。早朝6時から分泌量が増えていき、午前8~9時にピークを迎える。その間にしっかりとコルチゾールが分泌されることで体が覚醒し、やる気も湧く。
しかし、このタイミングでコーヒーを飲んでしまうと、コルチゾールの分泌が抑制されて、本来得られるはずだった覚醒効果が失われてしまう。すると、眠気が覚めない、だるさを感じるといった症状を招くことになる。
さらには、コルチゾールの抑制を習慣化するとカフェインに対して耐性ができてしまう。すると、覚醒作用をはじめ、疲労回復作用、記憶力向上、ダイエット作用といったコーヒーの大切なメリットも得られなくなる可能性も生じる。
コーヒーを飲んでもよい時間帯は「午前9時半~11時半」「午後2時~5時まで」である。この時間であれば、1日の中で変化するコルチゾールの分泌を邪魔する心配もない。コーヒーには飲むタイミングがあるということを、基本ルールとして覚えておきたい。

缶コーヒーは疲労のもと

甘い缶コーヒーを常に飲む人は、缶コーヒーに含まれる多量の砂糖に注意が必要である。一般的な缶コーヒー1本の中には、10g以上もの砂糖が入っており、これはWHOが定めた1日の糖分摂取目安量の約半分にあたる。大量の糖分を、特に空腹のときに摂取すると、血糖値を急激に上昇させ、その反動で急下降を引き起こすことになる。これにより自律神経が乱れ、疲労を感じやすくなってしまう。さらには、脳機能や精神面に影響を及ぼす可能性がある。
したがって、コーヒーの働きをうまく享受するには、ブラックで飲むのを基本にするとよい。アロマ効果につながるコーヒーの香りを感じやすく、コーヒーの成分をストレートに取り入れられる。
甘みを足すにしても、白砂糖ではなく黒砂糖を選択したほうが賢明だ。白砂糖は体内に吸収されやすく、血糖値を急激に上げやすいためだ。一方、きび砂糖や黒砂糖は体内への吸収が緩やかであるため、血糖値も上げにくい。よって、メンタル維持やダイエットにも向いているのである。

ビールはダイエット飲料なのか?

「ビールは太る」と言われる本当の理由はビールそのものではなく、一緒に食べる「つまみ」にある。ビールはソーセージやピザなどの高カロリーな食事、とりわけ揚げ物との相性は抜群だ。ビール自体は決して高カロリーではない。まずは食事の内容に目を向けるべきである。
ビールは低GI食品のひとつだ。GIとは血糖値の上昇スピードを数値化したものである。ダイエットをしたいなら、GI値の低い食べ物や飲み物から口に入れるのが望ましい。ダイエット向きなのはGI値が60以下と言われるが、ビールのGI値は35と条件を満たしている。GI値は最初に胃に入れるものに左右されるため、「とりあえずビール!」は、正しい判断だと言える。

コーヒー活用メソッド

30分前のカフェインナップ

仕事のパフォーマンスを向上させる方法の一つが「30分前のカフェインナップ」だ。コーヒーを1杯飲んでから15分~20分の仮眠をとるだけで、疲れやだるさを効率よく軽減でき、脳もリフレッシュする。コーヒーに含まれるカフェインの覚醒効果は、飲んでから約30分後である。午後イチの商談といった重要な仕事の前には積極的に活用するとよい。

二日酔いのときこそコーヒーを

コーヒーは二日酔いの症状を和らげるのに最適な飲み物だ。二日酔いで頭痛が起こる原因は、体の許容範囲を超えたアルコールがアセトアルデヒドに変わり、脳内の血管を拡張させ、周囲の神経を刺激することである。よって、アセトアルデヒドを体外に排出させ、拡張した血管を元に戻すことが、二日酔いの改善策となる。
この両方に効くのがコーヒーだ。コーヒーの利尿作用がアセトアルデヒドの排出を促し、そしてカフェインが血管を収縮に導いていく。
二日酔いのときにおすすめしたいのは、牛乳を加えることである。牛乳は肝機能や疲労の回復を助けてくれるため、弱った胃腸の改善に役立つだろう。カフェオレやカフェラテなどを飲むようにするとよい。

コーヒーに含まれる「クロロゲン酸」の効果

ダイエットにもコーヒーが役に立つ。カギはコーヒーに含まれる「クロロゲン酸」という成分だ。
人が摂取したものは、細かく分解されることで体内に吸収される。ということは、体に余分なものは、分解されなければ身になることもない。クロロゲン酸には脂肪の分解・吸収を抑える働きがあるため、太りにくくなる効果が期待できる。そのほか、クロロゲン酸には、抗酸化作用、糖尿病の予防、老化抑制作用など、健康をサポートする作用がある。
ただし、どのコーヒーにもクロロゲン酸が多分に含まれているわけではないので、コーヒー豆の煎り方や挽き方にも留意したい。クロロゲン酸をダイエットや健康促進のために多く取り入れるには、「浅煎り中挽き」を選ぶとよいだろう。

ビールの効能はこんなに多彩!

代謝アップに、消化・吸収の促進も

代謝アップに、消化・吸収の促進も

ビールには優れた効能が数多くある。まず、ビールは副交感神経を高めてくれる。仕事終わりにビールを飲めば、ビールに含まれる麦芽やホップの香りなどと相まって、体がリラックス状態に移行し、その日の疲労がリセットされやすくなる。
また、ビールには代謝をアップさせる働きがある。ビールに含まれる「ビール酵母」には、ビタミンB群が入っており、これが栄養をスムーズにエネルギーに変換する役割を果たすからだ。食事に上手くビールを組み合わせれば、ダイエット作用も期待できる。
注目したいのは、ビールに含まれる炭酸と、原料であるホップがもたらす効果だ。炭酸は胃腸の働きを活発にし、二酸化炭素が血流を促進して消化・吸収を助けてくれる。また、ホップの苦みが胃腸の消化酵素の分泌を活性化させる。胃腸を活発にすることは、健康的な腸内環境を維持するのに非常に重要だ。

ビールは薬として重宝されていた

ビールがアミノ酸、ビタミン、ミネラルといった栄養素を豊富に含んでいることからもわかる通り、ビールは健康飲料だと言える。歴史を辿ると、ビールは薬として扱われ、明治初期には薬局で売られていたという。ビールの主原料であるホップはハーブの一種で、古くから鎮静や薬理作用などがあることで知られている。
ビールと健康の研究結果によると、ホップに含まれる「キサントフモール」は、動脈硬化の予防や善玉コレステロールを上昇させる働きがあるという。心疾患や脳血管疾患などの血管系の病気で亡くなる確率の高い日本人にとっては朗報である。
いずれにせよ、過度な飲酒は避け、人それぞれ適した量のビールを摂取するようにしたい。

なによりも大切な「水」

水分不足はコーヒーとビールの効果を台無しにする

コーヒーとビールでいくら自律神経を整えても、水分不足ではその効果が失われてしまう。両者には利尿作用があるため、水分補給と併せて考える必要がある。
水分の摂取が不十分だと、あらゆる不調につながる。新陳代謝の滞りからくる肥満やむくみ、老廃物の蓄積による疲労、便秘、ストレス増加、免疫力低下など挙げればきりがない。水こそが人間の生命活動を根源から支えている。適切な水分摂取量を心がけたい。
ベストなコンディションを保つには、飲食から1日3リットルの水分を摂ることを目標にするとよい。多すぎると感じるかもしれないが、のどが渇いたと感じる前に、コップ1杯(200ml)をこまめに飲むように習慣づければ、想像するよりはるかに簡単である。
また、水分補給には真水を選ぶようにしたい。コーヒーや緑茶などのカフェイン飲料や、糖質やカロリーを含む清涼飲料水は注意が必要だ。このように、適量の水分を継続的に摂取することで、健康増進や老化予防が期待できる。

一読の薦め

本書にはお酒を飲んでも酔いにくくする方法や、ビールと痛風の関係など、日々を健康に過ごすための秘訣が詰まっている。普段から大いに活用したい。コーヒーとビールは、ほんの少し飲み方を意識するだけで、想像を大きく上回る効果が期待できる。正しい飲み方のルールを知り、最高の恩恵を享受しよう。

※当記事は株式会社フライヤーから提供されています。
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著者紹介

  • 馬渕 知子 (まぶち ともこ)

    マブチメディカルクリニック院長/学校法人 食糧学院 副学院長
    東京医科大学医学部卒業後、同医科大学病院皮膚科学講座に所属しながら同病院に勤務。その後マブチメディカルクリニックを開院、現在に至る。内科・皮膚科学、アンチエイジング医療、分子整合栄養学を専門に、あらゆる科との提携を結び、人間の体を総合的にサポートする医療を推進している。栄養学や食文化にも精通しており、2014年~ミラノ国際博覧会日本館サポーター、2015年~東京栄養食糧専門学院副校長に就任。「水は1日3リットル」を推奨・実践するなど、かねてより水分補給の重要性を説いており、カフェインやアルコールを摂取したときの人体への影響などについても独自に調査を重ねている。主な著書に『からだを救う水の飲み方、選び方 水は最高のサプリメント』(講談社)がある。

  • flier

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