どうしてもチャレンジしたい業種がある。あるいはどうしても働いてみたい会社がある。その時にチャレンジしたい業種、会社が「社員登用あり」の非正規社員で募集していたら、どうしますか? そんな時のために、非正規雇用から社員登用の実態をしっかりと把握しておくことが必要です。
独立行政法人労働政策研究・研修機構では『多様な就業形態に関する実態調査』を、個人ヒアリングで行いました。
まずは事業所に、有期社員(契約社員)の正社員登用があるかを調査しています。その結果『登用制度がある』は39.5%、『制度ではないが登用する慣行がある』は25.8%。合わせて65.3%で登用制度・慣行があると答えています。パートからの正社員登用は55.3%、派遣労働者からの登用は34.7%と、ある程度の制度・慣行は整っていると言えます。
では実際に入社時は非正規雇用で、その後正社員登用された従業員はどの程度いるのでしょうか?
2割の女性は非正規から正社員に
『非正規で入社後に正社員に登用された』という従業員は14.1%。性別で見ると男性は11.1%、女性は21.1%となっており、女性の方が倍近く高くなっています。
女性の場合を年齢別で見ると40~49歳が25.7%、50~59歳が27.4%と、比較的年齢層が高くなります。また勤続年数で見ても5~10年未満が30.6%と多くなっています。ひとつの職場で長く勤務した結果が評価されています。また子供がいる場合、子育てが落ち着く40歳以降に、正社員となる決意をしたということも伺えます。
男性には高いハードルがある
これが男性の場合は大きく異なります。年齢別で見ると30~39歳が13.2%でトップではあるものの、他の年代では10%前後と大きな開きはありません。また勤続年数で見ても4~5年未満が最も多く21.2%。5~10年未満が16.7%、1~3年未満が16.3%と続き、1年未満で正社員登用されたのは11.1%となっています。
また正社員への登用のために必要な要件を事業所に聞いたところ、『職場の上司の推薦』が72.4%と最も多く、『人事評価における一定以上の評価実績』が52.4%、『一定年数以上の勤務期間』が44.5%と続きます。
非正規雇用から正社員登用を目指す場合、非正規雇用での勤続年数が短いと正社員登用へのハードルは高くなっています。まず新しい職場に慣れたら、実績を積み上げていかなくてはなりません。実績も4~5年積み上げて初めて、正社員登用の道が開けていくということです。当然その間、収入は安定しなくなるでしょう。
もしチャレンジしたい業種、会社があるならば、ある程度の貯蓄が必要です。正社員登用アリの会社であれば、どの程度の人数が登用されているのか、どの程度の期間で登用されているのかを確認することも忘れないようにしてください。